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第二部 ライバル登場?
優しい雇い主を癒やせ
しおりを挟む静かに社長室の重いドアを開けると巨大なデスクに大量の書類──そして少し焦燥の色が見える愁一がレザーソファーに背を預けて静かな吐息で眠っていた。
愁一さんが眠っている姿なんてなかなか見られない。
うわっ……これがイケメンってやつか。
悔しいくらい顔立ちが違いすぎる……
綾人は無意識にそのきっちり締められたネクタイに手をかけていた。するりとネクタイを緩めるとその手首を掴まれる。
「ひっ!?」
「──何をしていた、綾人」
寝起きの色気がある愁一さんの眸に思わずドキドキした。心臓が早鐘を打っているのがわかる。
「く、苦しそうだったので……愁一さんの襟を」
ぎくしゃくした動作のせいで小脇に抱えていた黒い箱ががつんと床に落ちた。その衝撃でロックが外れ、中から玩具……小さなローターとローションが転がる。
あの堅物秘書がこんなもんを大事そうに抱えていたのかと思うと笑いたくなるが、それ以前に、彼が言っていた愁一さんを癒せというのは冗談じゃなかったのか。
事の発端は一時間前に遡る。
『あっ……ああ!』
『凄い締め付け。もっと乱れて──綾人』
新作の玩具で弄ばれた俺は最後にご褒美として瑛太さんから甘い時間をいただいていた。
最中に5時から愁一さんの秘書である滝川に呼び出しを受ける。勿論、俺の雇い主は愁一さんなので、何があろうと愁一さんの命令が最優先される。
急いで運転手にT商事まで飛ばしてもらい、エントランスについた瞬間、待ち構えていた滝川にこの黒い小箱を渡された。
中身は? と尋ねるとそれで愁一様を癒やせとしか言われなかったので、まさかこんなものが入っていたとは。
「あの、これは……」
こんな卑猥なものを持ち込んで怒られると思い、慌てて愁一から離れようとするが、掴まれた腕の拘束はさらに強まり、ぐいっと腕の中に引き寄せられた。
「しゅ……んんっ」
唇を塞がれ、うっすらと開いた唇の中に、無遠慮な舌が侵入する。
高級なトワレの香りに脳みそが蕩けそうになった。この媚薬のような香りに包まれているとそれだけで変な気分になる。
舌の甘さにうっとりしているとするするとジャケットを脱がされていた。白いシャツのボタンも外され、露わになった胸の辺りを長い指が辿っていく。
「んっ……」
温かい指が乳首の周りを撫でまわすだけで全身の肌が粟立つ。
ちろちろと赤い舌先がそこを掠めると反対側の乳首まで反応した。少し触れられるだけで簡単に絆される自分の躰の浅ましさに、羞恥のあまり顔がかっと熱くなる。
膝には既に力が入らず立っているのもやっとだった。崩れそうになるところを愁一に腕を引かれてその広い胸に躰を預ける。
「……滝川が時間をくれたんだ。折角だから有効活用させてもらおう」
床に転がった玩具とローションを片手でひょいと拾い上げ、俺の手にそれを握らせる。
そのまま肩を抱かれたまま、ベッドルームの方へと連れていかれた。
「座りなさい」
「んっ……」
言われるままベッドの上に座ると、そのままゆっくりとシーツに躰を沈められる。
触れ合う唇は熱く、濡れた水音がちゅっと響いた。啄むようなキスを繰り返している間に、シャツをゆっくりと脱がされ、スーツの下から反応を示している箇所をするりと撫でられる。
愁一さんはまだキスしかしていない……それなのに何だろうこの自分の反応は。
少し触られるだけで疼いた熱が早く解放を望んで肉眼でもはっきりわかる程スーツを押し上げている。
俺だけこんな……せめて──少しだけ、もう少しだけ愁一さんを乱したい。
頭側に置いていたローターを手に取り、ぺろりとそれを口に含み舐める。
「愁一さん……これで、いじってください」
「全く……綾人、ここはラブホテルじゃないぞ」
「知ってます……でも、我慢できません」
潤んだ眸で愁一さんを見上げて腕を伸ばすと、少しだけ苦笑しながら優しく抱き返してくれた。
すぐに深くなったキスの雨に酔いしれながら甘い吐息を吐き出し、指先の辿る先を意識の片隅で追う。
T商事に缶詰状態だった愁一さんは俺の誘惑に乗ってくれたまでは良かった……が、小さいとは言え、ローター2個も突っ込まれた俺はその後散々啼いても解放してもらえなかった。
おまけに滝川さんがしれっと愁一さんに渡していたリングのせいで、簡単にイかせてもらえず……まさかそんなもの渡しているなんて。最初から言ってくれよ!
いつもより激しい愁一さんに何度も求められて──やっぱり気絶していた。
俺が目覚めた時、既に愁一さんの姿は無かったけど、尻にローターが挟まったままで歩けなくなってしまい、逃げることも許されなかった。
愁一の知らない一面を発掘して何故か満足する綾人なのであった。
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