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強者討伐 失われた武器
232 子供たちとアレス 1
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俺はロイ達を引き連れて、ローバンの屋敷へ向かっていた。
ロイたちが世話になっていた孤児院には、ある程度の寄付をして少しばかり離れることを伝えた。
『ローバン様。何卒よろしくお願い致します』
『ああ、何も問題はない。これまでよく頑張ってくれたな。それと、公爵家として力が及ばす申し訳なかった』
孤児院に手厚い支援なんてものはほぼ無い。
先に居た子供が大きくなり、色んな仕事の手伝いをしてお金を集めていた。
気前のいい冒険者達が、お金を置いていくこともあるが……毎度そんな事をしている余裕もない。
「孤児の問題をどうするかという話を、あの子達に背負わせるのも気の毒だな」
今の環境を改善するために、貴族連中に働きかけ支援をさせた所で……ある程度は解決するだろう。
だけど、孤児が大きくなっても任される仕事は少ない。だから貰える給料は少なく、冒険者になるにしても装備にそれなりの金は必要だ。
ロイたちが持っていた武器は、町に居た冒険者が置いて行ったもので古くてもう使い物にならない。そんな装備だった。
今はダンジョンに行く予定はないので、装備を買ってはいない。
ローバンへ向かうのに数日もあれば着くだろうから。
俺たちはのんびりした足取りで進んでいた。
「はぁはぁ……くっそ!」
「くっ……はぁはぁ」
「ロイ! 立ち止まるな、置いて行かれちまうぞ!」
もちろん、ただ歩かせるなんてことはしない。
街で大きめのかごを買い、その中は近くにあった石を入れベールとロイに背負わせている。
汗だくになりながらも、弱音を吐くこともなく付いてきている。
「だけど……僕はもう」
「分かった、ゆっくりでいいから付いてこい。俺がアイツんとこに行って、休憩にしてもらってくるから」
ベールは口が悪い。だけど仲間思いの良いやつだな。
ロイもベールに励まされ、下ろしたい荷物を手放すことはない。
女の子はと言うと、重りをつけないがただ走らせている。
これはこれで過酷なもので、俺の前後を行ったり来たりさせている。
もう少しペースを上げれば早く着くのだけど、ロイ達が遅いのでそうもいかない。
「はぁはぁ」
「ベール。よく頑張ったな、お前はすごいよ。そろそろ休憩にするか?」
「やっとか」
速度を落としていた俺にベールが追いついている。話は聞こえていたから、ベールの頭に手を置くと、そのまま腰を下ろし座っている。
ロイは必死に俺の所まで来て腰を下ろし、スミアやランも立ち止まって息を整えようとしていた。
「おいおい、お前らちょっと待て、俺は休憩するか? と言ったが、誰も休憩をしていいとは言ってないぞ?」
「嘘だろ……」
「ベール。お前の勘違いだぞ?」
「いや、だって、アレス様があんな事を言うから」
「後十五分頑張るか、飯抜きどっちがいいんだ?」
ベールからは、悪魔だの何だのと言われるが、ロイがベールを叱りつけていた。
ランには睨まれ、スミアからも少し怒られている。
なんというか……何処かの誰かさんに若干似ている気がしたのは気のせいだろう。
「後五分だ。それで休憩にする」
そう言うと二人は、力を振り絞りなんとか立ち上がって歩み始める。
半端に休憩をしたせいなのか、さっきより少しふらついている。
あのまま倒れられても困るので、女の子たちを呼び、二人にはかごを下から支えるように指示をした。
当然あまり効果もないが、二人共格好の悪いことは出来ない。
「それじゃ、休憩にするか」
「こんどは、嘘じゃないですよね?」
やれやれ、早々に疑うなよ。
「そうか……スミアはそんな事を言う子じゃないと思っていたんだが」
なんて言うものじゃなかったなと……後になって後悔する。
「じょ、冗談だ。いや、本当に休憩にするから、ほ、ほら。おやつだってあるんだぞ?」
「本当に?」
「いや、本当に悪かった」
俺が腰を下ろして、簡単な食事の準備を始めると四人はようやく腰を下ろした。
おいおい、スミアさん? 今のは嘘泣きじゃないよね?
美味しそうにカップケーキを食べているが……嘘泣きじゃないよな?
ロイたちが世話になっていた孤児院には、ある程度の寄付をして少しばかり離れることを伝えた。
『ローバン様。何卒よろしくお願い致します』
『ああ、何も問題はない。これまでよく頑張ってくれたな。それと、公爵家として力が及ばす申し訳なかった』
孤児院に手厚い支援なんてものはほぼ無い。
先に居た子供が大きくなり、色んな仕事の手伝いをしてお金を集めていた。
気前のいい冒険者達が、お金を置いていくこともあるが……毎度そんな事をしている余裕もない。
「孤児の問題をどうするかという話を、あの子達に背負わせるのも気の毒だな」
今の環境を改善するために、貴族連中に働きかけ支援をさせた所で……ある程度は解決するだろう。
だけど、孤児が大きくなっても任される仕事は少ない。だから貰える給料は少なく、冒険者になるにしても装備にそれなりの金は必要だ。
ロイたちが持っていた武器は、町に居た冒険者が置いて行ったもので古くてもう使い物にならない。そんな装備だった。
今はダンジョンに行く予定はないので、装備を買ってはいない。
ローバンへ向かうのに数日もあれば着くだろうから。
俺たちはのんびりした足取りで進んでいた。
「はぁはぁ……くっそ!」
「くっ……はぁはぁ」
「ロイ! 立ち止まるな、置いて行かれちまうぞ!」
もちろん、ただ歩かせるなんてことはしない。
街で大きめのかごを買い、その中は近くにあった石を入れベールとロイに背負わせている。
汗だくになりながらも、弱音を吐くこともなく付いてきている。
「だけど……僕はもう」
「分かった、ゆっくりでいいから付いてこい。俺がアイツんとこに行って、休憩にしてもらってくるから」
ベールは口が悪い。だけど仲間思いの良いやつだな。
ロイもベールに励まされ、下ろしたい荷物を手放すことはない。
女の子はと言うと、重りをつけないがただ走らせている。
これはこれで過酷なもので、俺の前後を行ったり来たりさせている。
もう少しペースを上げれば早く着くのだけど、ロイ達が遅いのでそうもいかない。
「はぁはぁ」
「ベール。よく頑張ったな、お前はすごいよ。そろそろ休憩にするか?」
「やっとか」
速度を落としていた俺にベールが追いついている。話は聞こえていたから、ベールの頭に手を置くと、そのまま腰を下ろし座っている。
ロイは必死に俺の所まで来て腰を下ろし、スミアやランも立ち止まって息を整えようとしていた。
「おいおい、お前らちょっと待て、俺は休憩するか? と言ったが、誰も休憩をしていいとは言ってないぞ?」
「嘘だろ……」
「ベール。お前の勘違いだぞ?」
「いや、だって、アレス様があんな事を言うから」
「後十五分頑張るか、飯抜きどっちがいいんだ?」
ベールからは、悪魔だの何だのと言われるが、ロイがベールを叱りつけていた。
ランには睨まれ、スミアからも少し怒られている。
なんというか……何処かの誰かさんに若干似ている気がしたのは気のせいだろう。
「後五分だ。それで休憩にする」
そう言うと二人は、力を振り絞りなんとか立ち上がって歩み始める。
半端に休憩をしたせいなのか、さっきより少しふらついている。
あのまま倒れられても困るので、女の子たちを呼び、二人にはかごを下から支えるように指示をした。
当然あまり効果もないが、二人共格好の悪いことは出来ない。
「それじゃ、休憩にするか」
「こんどは、嘘じゃないですよね?」
やれやれ、早々に疑うなよ。
「そうか……スミアはそんな事を言う子じゃないと思っていたんだが」
なんて言うものじゃなかったなと……後になって後悔する。
「じょ、冗談だ。いや、本当に休憩にするから、ほ、ほら。おやつだってあるんだぞ?」
「本当に?」
「いや、本当に悪かった」
俺が腰を下ろして、簡単な食事の準備を始めると四人はようやく腰を下ろした。
おいおい、スミアさん? 今のは嘘泣きじゃないよね?
美味しそうにカップケーキを食べているが……嘘泣きじゃないよな?
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