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Ⅳ セブンリーフ新北中同盟女王選定会議
決着と夜の庭の二人…… 下② 帰還
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ブンッ!!
巨大な炎を纏う魔法剣を振り回し、シールドの裂け目から魔ローダー蛇輪の銀色の機体が姿を現す。そしてそのまま三人が座る薔薇が咲く庭園に強制着陸して来た。
バシャッ!!
「砂緒さん、フルエレさん助けに来ましたよ!」
「セレネはろ~~~!!」
上下のハッチが同時に開き、メランが血相を変えて兎幸がいつもの満面の笑顔で飛び出て来た。
「兎幸!?」
「メランちゃん??」
色々な騒動の後、砂緒達はメランに応援を要請していた事を完全に忘れていた。
「あの……三人庭園で抱き合って何してるんですか?」
「ん、三人で此処で寝ようって相談してたのよ」
「へ?」
メランの顔が急激に曇って行く。
「フルエレさん誤解されるでしょ」
「誤解って貴方達さっきまでキスしてたじゃない」
コキーーン
フルエレの不用意な言葉にメランは固まった。
「それは違う」
「してないしてない」
二人同時に手と顔を高速で振るが、その様子が如何にも怪しい。
「あの、この城が占拠されたとかなんとかって?」
「ああ、それはもう解決したでござるよ」
「一段落して、三人でこのベンチで和気あいあいとしてたのよ」
「だから誤解されるって」
血相変えて急いでやって来たメランは裏切られた気がして首をふるふると振った。
「ふ、フケツよ……こっちはナメ国にまで応援要請したり大変だったのに……帰りますっ!!」
「ほえースナコちゃんのままでキスしてたんだ?」
不思議がる兎幸を無視して、メランはそのまま飛び去って行った。急遽メランから出動要請の中止がナメ国の大アリリァ乃シャル王に伝えられたという……
「メラン行ってしもうた……」
「むふふ」
「いくら何でも可哀そうでしょ! フルエレさん後で女王としてメランさんとナメ国王にちゃんと感状出して下さいよ!」
セレネは言いながらも最近無かったフルエレの笑顔をぼーっと見ていたが、自身も激しく眠たくなってどうでも良くなって来ていた。
―次の日。
「七華さま、地上でオープン魔ーがお待ちで御座います」
朝食を終えた七華に執事が伝えた。
「はぁ、此処を降りるだなんて地獄ですわ。セレネ私を背負って降ろしなさい」
「断る」
コトッ
猫呼がチョコ味のコーンフレークを食べていたスプーンを置いた。
「わたし変な夢見ちゃったのよねー、猫弐矢お兄様がこの城にいて、黒猫仮面の姿で僕は普段エロい事しか考えて無いとか口走っていたのよ……」
「変な夢ね忘れなさい」
「そうですぞ、一刻も早く忘れなさい」
「庭師のシルベーヌさんの見間違いだろ?」
ネコミミ庭師のシルベーヌさん(64)は、今日も朝から元気に庭の整備に勤しんでいる。
「でもミョーにリアルだったのよねえ」
猫呼が額に手を置いた。
「そんな訳無いじゃない、猫弐矢お兄様は永遠の清純派よ!」
「そうよね、にゃははははははは、え?」
「うふふふ、え?」
「え?」
セレネは目を細めて二人を見ていたが、砂緒はもうメイクを落とした自分の顔を必死に鏡で見始めていた。そして七華を見送った後しばらくして皆は新ニナルティナに帰還して行った。
―それからさらに数時間後。
「ハッ」
リュフミュランに向けてひた走るオープン魔―の後部座席で、突然貴城乃シューネは目を覚ました。一瞬状況が理解出来ず辺りの流れる景色を見回す。猫弐矢が運転し、サングラスにスカーフの七華が助手席に座っていた。
「……おかしな夢を見ていましたよ。タカラ山新城でこの私があの小僧に負けてしまうのです」
「………………」
猫弐矢は黙って運転したままだった。しかしトランクにはしっかり黒猫スーツが畳まれて乗せられていた。
「それ夢じゃありませんわよ? うふふ」
突然振り返った七華はサングラスをずらしてシューネを見て笑った。その手には白いマスクが握られていた。
巨大な炎を纏う魔法剣を振り回し、シールドの裂け目から魔ローダー蛇輪の銀色の機体が姿を現す。そしてそのまま三人が座る薔薇が咲く庭園に強制着陸して来た。
バシャッ!!
「砂緒さん、フルエレさん助けに来ましたよ!」
「セレネはろ~~~!!」
上下のハッチが同時に開き、メランが血相を変えて兎幸がいつもの満面の笑顔で飛び出て来た。
「兎幸!?」
「メランちゃん??」
色々な騒動の後、砂緒達はメランに応援を要請していた事を完全に忘れていた。
「あの……三人庭園で抱き合って何してるんですか?」
「ん、三人で此処で寝ようって相談してたのよ」
「へ?」
メランの顔が急激に曇って行く。
「フルエレさん誤解されるでしょ」
「誤解って貴方達さっきまでキスしてたじゃない」
コキーーン
フルエレの不用意な言葉にメランは固まった。
「それは違う」
「してないしてない」
二人同時に手と顔を高速で振るが、その様子が如何にも怪しい。
「あの、この城が占拠されたとかなんとかって?」
「ああ、それはもう解決したでござるよ」
「一段落して、三人でこのベンチで和気あいあいとしてたのよ」
「だから誤解されるって」
血相変えて急いでやって来たメランは裏切られた気がして首をふるふると振った。
「ふ、フケツよ……こっちはナメ国にまで応援要請したり大変だったのに……帰りますっ!!」
「ほえースナコちゃんのままでキスしてたんだ?」
不思議がる兎幸を無視して、メランはそのまま飛び去って行った。急遽メランから出動要請の中止がナメ国の大アリリァ乃シャル王に伝えられたという……
「メラン行ってしもうた……」
「むふふ」
「いくら何でも可哀そうでしょ! フルエレさん後で女王としてメランさんとナメ国王にちゃんと感状出して下さいよ!」
セレネは言いながらも最近無かったフルエレの笑顔をぼーっと見ていたが、自身も激しく眠たくなってどうでも良くなって来ていた。
―次の日。
「七華さま、地上でオープン魔ーがお待ちで御座います」
朝食を終えた七華に執事が伝えた。
「はぁ、此処を降りるだなんて地獄ですわ。セレネ私を背負って降ろしなさい」
「断る」
コトッ
猫呼がチョコ味のコーンフレークを食べていたスプーンを置いた。
「わたし変な夢見ちゃったのよねー、猫弐矢お兄様がこの城にいて、黒猫仮面の姿で僕は普段エロい事しか考えて無いとか口走っていたのよ……」
「変な夢ね忘れなさい」
「そうですぞ、一刻も早く忘れなさい」
「庭師のシルベーヌさんの見間違いだろ?」
ネコミミ庭師のシルベーヌさん(64)は、今日も朝から元気に庭の整備に勤しんでいる。
「でもミョーにリアルだったのよねえ」
猫呼が額に手を置いた。
「そんな訳無いじゃない、猫弐矢お兄様は永遠の清純派よ!」
「そうよね、にゃははははははは、え?」
「うふふふ、え?」
「え?」
セレネは目を細めて二人を見ていたが、砂緒はもうメイクを落とした自分の顔を必死に鏡で見始めていた。そして七華を見送った後しばらくして皆は新ニナルティナに帰還して行った。
―それからさらに数時間後。
「ハッ」
リュフミュランに向けてひた走るオープン魔―の後部座席で、突然貴城乃シューネは目を覚ました。一瞬状況が理解出来ず辺りの流れる景色を見回す。猫弐矢が運転し、サングラスにスカーフの七華が助手席に座っていた。
「……おかしな夢を見ていましたよ。タカラ山新城でこの私があの小僧に負けてしまうのです」
「………………」
猫弐矢は黙って運転したままだった。しかしトランクにはしっかり黒猫スーツが畳まれて乗せられていた。
「それ夢じゃありませんわよ? うふふ」
突然振り返った七華はサングラスをずらしてシューネを見て笑った。その手には白いマスクが握られていた。
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