舞台の幕が下りるまで

代永 並木

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ゼラ

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夜はやる事が無いので家に帰る

「騎士団長からだ」

ゼラは携帯を確認すると1件メールが来ていた
用事がないゼラは騎士団本部へ向かう
道中に自動販売機で飲み物を買う

「ゼラさんだ」

ファンに見つかる
ショーをしている時と服装は違うが仮面を付けていて一目で分かる

「おや」
「ファンですサインください」

ファンはバックから1枚の紙を取り出す

「サインかぁ」

(今ペン持ってないんだよなぁ)
今は騎士団に行く為の準備しかしていない
手品をする際はサインを求められる事がある為ペンを持っているが今は持ってきていない

「ペンは持ってる?」
「あっ、ちょっと待ってください」

バックの中を探し始める
しかし見つからない

「あっ、そうだ昨日別のバックに入れたんだった……持ってません」
「僕も今持ってないんだよね」
「そ、そうですか」

落ち込んでいる
1人で接触出来る機会は少ない
ゼラは人気の多い道を歩く為基本誰かに見つかれば連鎖的に広まる
その場合サインを求める事が出来ずゼラは手品をするか逃走する
(まぁ軽い奴なら出来るから手品見せるかな)
手品を見せようとした時横から声がする

「ペンならあるよ」
「天音さん」

天音が立っていた
丁度近くを通った時に話が聞こえていた
天音はポケットから取り出したペンを手渡す

「ありがとうございます。借りますね」

ペンを受け取り紙にサインを書いてファンに渡す

「はい、どうぞ」
「ありがとうございます! 大事にします。騎士団の仕事も手品も頑張ってください」

そう言って頭を下げてファンは立ち去る
天音にペンを返す

「ありがとうございました。ところで天音さんは何故ここに?」
「今丁度騎士団に向かってるところ」
「私もいます」

天音の後ろから夢が現れる

「夢、珍しい組み合わせ……でも無い?」
「二人でいるのは珍しいかも今連行中」
「何かしたんですか?」
「ちょっと規則違反しただけです」
「それはちょっとでは済まないと思うんだけど?」

騎士団の規則は比較的緩い
元々探索者や一般人が騎士になる為かなり厳しい規則を作ると人が集まらない
但しその分破れば罰則は重い

「あんまり進んで無いです」
「でも魔物エリアで魔物倒したからその報告を騎士団長にしないと」
「魔物を、どんな魔物を?」
「3等級のダンジョンの主クラス」
「それは魔物エリアじゃなくても報告する物では?」
「そうだよ」
「…………」

(本当に狡い……まぁ今更ではあるけど)
夢はこの前にも3等級のダンジョンの主クラスの魔物を討伐しているが報告はしていない
バレたら更に問い詰められる

「ゼラはその服装なら騎士団に用事?」
「メールで騎士団長に呼び出されていたので」
「騎士団長から? 内容は?」
「暇な時に騎士団本部へ来て欲しいとだけ」
「暇な時にって事はそんな至急では無いんですかねって私にも来てますねそのメール」

夢は自分の携帯を確認する
騎士団長からゼラと同じ内容のメールが来ている

「至急ではなく暇な時に? 変」
「取り敢えず行きましょう。報告と一緒に聞けば良いですし」
「そうだね」
「説教は1人で受けてね」
「話題を逸らせば……」
「レイさんにその手は通じないよ? 結構しっかり覚えてるから」
「手強い、流石騎士団の団長」

3人は雑談をしながら騎士団本部へ向かう
騎士団本部、執務室で団長が書類仕事をしていた

「どうした?」
「メールで暇な時にって言われたので」
「私は規則違反をした子を連れてきました」

天音は夢を前に出す

「あぁ、あの件か……それで規則違反?」

レイは夢を睨みつける
ビクッと身を震わせる
(こっわ、それは人に向ける目では無いって)

「あれ伝えてなかったんですか?」
「まぁどうせ行くから伝えなくていいかなと」
「どんな規則違反をしたんだ?」
「……魔物エリアに入って魔物を討伐しました」
「はぁ、魔物エリアは危険だ。それ故に下手に入らないようにと入団時に伝えてあるはずだが……理由は?」
「えぇっと、夜さんが1人で向かっていたので着いていきました」
「成程、それでどんな魔物を倒したんだ?」
「これが魔物の魔石と素材です」

天音が2つを机に置く
レイは魔石を見て驚く
(この大きさは3等級じゃないか)

「2人で討伐したのか?」
「は、はい2人で」
「3等級を2人で……夢、お前の実力を見誤っていたようだな。いや実力を隠していたのか」
「そんな事は……」
「ダンジョン防衛の時、少なくともこちらが持つ情報以上の活躍をした事は知っている。その上3等級の主クラスを討伐はこちらが持つ情報の範囲で考えればほぼ成し得ない事だ」
「夜さんが強くて」
「強いのは知っている。しかし直接見た恋歌の判断だと強いが単独で倒せるのは精々3等級の中ボスクラスまでの実力だと言っていた」

恋歌は人の実力を測るのが得意でその判断はほぼ間違えが無いレベル
見回り中に見つけた探索者の戦闘を見て良さそうな人材が居れば騎士団に報告している
その恋歌から見て夜の実力では3等級の主クラスを倒す事は出来ない
夢が実力を隠していたと考えるのが自然

「…………」

何か言い訳を考える

「まぁ良い。ダンジョンの主は復活しない。魔物の戦力を削れたと考えるか。次は報告をするように」
「は、はい!」
「それで2人にメールしたのはなんの話なんですか?」
「奪還作戦の話だ。まぁ始めるとしてもまだまだだがな」

守護隊が話していた内容

「奪還作戦?」
「その話でしたか」
「あぁ、1ヶ月後、我々は土地の一部を奪還する。その範囲は現殲滅エリア全体」
「それは中々」

殲滅エリアはそこそこ広い
その全体の魔物を殲滅して安全を確保した後に新しい城壁を築く作戦
城壁が作られている間、騎士団が守護しなければならない

「ルナルールスは?」
「参加させる予定だ。奴は資源を集めてそれまでに何やら作ると言っていた」
「なんでしょうか」
「さぁな」
「私が魔物エリアに入ったと言ってもそれは殲滅エリアからそう遠くない範囲です」
「近くに他にもダンジョンの主クラスが居ると?」
「恐らく」

ダンジョンの主は強い、そして中には異能を持つ魔物が居る
並の騎士や異能騎士では戦えない
数が少なければ問題無いが数が多ければ奪還作戦は破綻する恐れがある

「念の為に早い段階で騎士を編成して偵察しましょう」
「そうだな、異能騎士を派遣するか」
「なら私も参加します」

夢が立候補する

「……そうだな」

偵察隊が安全に偵察する為には実力者を入れる必要がある
ただ実力者はそう多くは無い
夢の実力は分かった
この作戦に相応しいだろう

「ただ偵察であって討伐では無いからな」
「であれば僕も行きます」
「丁度いい、監視者が必要だったからな」
「監視者……あっ、私監視対象ですか」
「規則違反した人間だからな」

今回は罰則が無いだけで今の夢は規則違反をした注意すべき人物

「しっかり監視します」
「後最低でももう1人は誰か連れて行け」
「それは事情を知ってるなら誰でもいいですか?」
「あぁ誰でもいい」
「であれば宛があります」

(宛? 誰だろう)

「すぐにである必要は無い。焦らず進めてくれ」
「はい」
「分かりました」
「話は終わりだ」
「それでは失礼します」

ゼラと夢は執務室を出る
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