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番外編(御礼やおまけ)
第13回BL大賞『ファンタジーBL賞』受賞の御礼ショート ある日の愛しの婚約者について(ラディウス視点)
※本編より少し先の未来です。
婚約後しばらくして、もうすぐ結婚! の、とある日の殿下の呟きです。欲求不満たらたらです。
「ヴィアと婚約もして、結婚ももうすぐなんだし、そろそろ先に進みたい……」
書類を吟味し、問題なかったので俺のサインを書きながら、リヒトに呟く。
「いえ、私に言われましても……。リヴィアス様に仰って頂けませんか……?」
何を言ってるんだ? と言いたげな表情を隠そうとしないリヒトに苦笑しながら、小さく息を吐く。
「……言えたら良いんだが、ヴィアは真面目だろう? 口付け以上はさせてくれないんだ」
「身持ちが堅くて良いのでは? 特に王太子殿下の伴侶……ひいては竜王妃陛下になられる訳ですから」
「周りのヴィアを狙っている有象無象に対してなら、俺もヴィアと同じ気持ちだ。たが、婚約者の俺にまでしなくてもよくないか?」
溜め息混じりにリヒトに不満をぶつける。
婚約者になってからヴィアは、彼を抱き締めたり、軽い口付けはさせてくれる。
が、それ以上の、深い口付けだとかはさせてくれない。
可愛い顔を真っ赤にさせて、上目遣いに「け、結婚してからにして下さい……っ!」と恥ずかしそうに必ずそう断る。
そんな可愛い顔が見られて、嬉しくなって、俺としてはつい絆されて終わってしまう訳で、可愛い婚約者のお願いに全敗なので、どうにか一度でもいいから一勝したい。
そうリヒトに告げると、何とも言えない表情を俺に向けてきた。
「……完全にリヴィアス様の尻に敷かれていますね、殿下。カエルム陛下やミーティア王妃陛下はどのように仰ってますか?」
「あー……結婚までは一線を越えるなと言われたな。王太子としての世間体もあるし、ミストラル大公の怒りが怖いと……」
その時の両親の形相は必死だった。
ミストラル大公に、何か含みを言われたのかもしれない。
そんな気がした。
「……答え、出てませんか?」
「確かにそうだが! 俺としては、もう少し刺激が……!」
「いい大人が、成人になりたての、もうすぐ学園を卒業される純粋無垢な美少年を穢されるおつもりで……?」
胡乱げな表情のリヒトに言われ、うっ……と呻いてしまう。
純粋無垢な美少年、と言われると、それはそれで背徳感がある訳で……。いや、それはちょっと人としてダメな気がする。
なので、つい、こう食い下がってしまった。
「こ、これでも二年は待ったんだ……! せ、せめて、せめて、深い口付けだけでも……!」
「……それをリヴィアス様になさったらアウトでしょう。殿下がその次に必ず進もうとなさいますよね? 無理です。ご結婚まで諦めて下さい」
バッサリと乳兄弟に切られ、俺は机に突っ伏した。
……確かに、深い口付けだけで止められる自信は、ない。
絶対に可愛いヴィアの表情が、艷めく。想像出来るくらいに、艶やかなヴィアに興奮すると思う。
……無理だ。止められない。
「ーーはい、答えは出ましたね? さぁ、殿下、お仕事の続きをしましょう。書類を精査して、サインをするだけの簡単なお仕事ですよ?」
にこにことリヒトは突っ伏す俺の机に、追加の書類を置いた。
流石、乳兄弟。容赦がない。
俺はその乳兄弟を恨みがましく見上げながら、身体を起こす。
渋々と書類を読み、仕事に戻った。
その後、まだ諦められなかった俺は、王太子妃教育をするために、レイディアンス大公領からやって来たヴィアに訴え掛けてみた。
卒業後、結婚式前なら深い口付けまでならいいとお許しをもらえた。
……少々、潤んだ目でお願いしてみたのが功を奏した。
卑怯とは思わない。
恋愛は駆け引きだ、と自分に言い訳する。
それを聞いたリヒトが、また何とも言えない表情で俺を見てくるが、何処吹く風と流した。
それからヴィアは学園を卒業し、エリスロース竜王国の陽光宮に住むことになった。
結婚も近くなり、約束をしたことをヴィアにお願いしてみる。
深い口付けをしたヴィアは、やはり綺麗で、可愛いくて、艶めかしくて、更に先に進みかけた俺は、まだ理性が飛んでなかった愛しの婚約者に止められた。
ちょっと、内心、舌打ちしつつ、惜しかったと思ったが、約束なので俺は我慢した。
「……我慢したのは偉いだろうといった顔をされましても、反則したのは殿下ですからね。ミーティア王妃陛下またはミストラル大公殿下に斬られないことをお祈りしておきます」
「……エリクサー案件にならないといいな、殿下」
呆れた顔のリヒトと一部始終を聞いたレインが他人事のように言ってきた。
ちなみに、ヴィアは俺の隣で顔を真っ赤にして、両手で隠していた。
その姿も可愛くて、俺はヴィアの頭に口付けを落とした。
※いつも読んで下さりありがとうございます!
近況ノートにも書きましたが、この度、第13回BL大賞で、拙作「婚約破棄をされたので、次の婚約をせずに薬師として生きます!」が、ファンタジーBL賞を受賞致しました!
ありがとうございます!
投票等応援下さいました皆様には感謝しかありません。
本当にありがとうございます!
今回のお話はその御礼ショートです。
初めてのジャンルで、投稿当初からお気に入り登録が今までの他作品の中で一番多く、ホットランキングも上位で非常に驚きと怯えで、普段書いているファンタジーや恋愛では全くかすりもしなかったので、この状態が不思議でした。
今でも夢では……? と思うくらいです。
2025年最後に嬉しいことが起きたのは、読んで下さる皆様のお陰です。
投票、お気に入り登録、感想、ハート、エールをして下さり、本当にありがとうございます!
これからも読んで下さる皆様が楽しんで頂けるように更新していきます!
本編はまだ少し続きます。
こちらの番外編では、キャラクター紹介とか載せられたらいいなと思ってます(ネタバレしない程度に……)
これからも宜しくお願い致します!
婚約後しばらくして、もうすぐ結婚! の、とある日の殿下の呟きです。欲求不満たらたらです。
「ヴィアと婚約もして、結婚ももうすぐなんだし、そろそろ先に進みたい……」
書類を吟味し、問題なかったので俺のサインを書きながら、リヒトに呟く。
「いえ、私に言われましても……。リヴィアス様に仰って頂けませんか……?」
何を言ってるんだ? と言いたげな表情を隠そうとしないリヒトに苦笑しながら、小さく息を吐く。
「……言えたら良いんだが、ヴィアは真面目だろう? 口付け以上はさせてくれないんだ」
「身持ちが堅くて良いのでは? 特に王太子殿下の伴侶……ひいては竜王妃陛下になられる訳ですから」
「周りのヴィアを狙っている有象無象に対してなら、俺もヴィアと同じ気持ちだ。たが、婚約者の俺にまでしなくてもよくないか?」
溜め息混じりにリヒトに不満をぶつける。
婚約者になってからヴィアは、彼を抱き締めたり、軽い口付けはさせてくれる。
が、それ以上の、深い口付けだとかはさせてくれない。
可愛い顔を真っ赤にさせて、上目遣いに「け、結婚してからにして下さい……っ!」と恥ずかしそうに必ずそう断る。
そんな可愛い顔が見られて、嬉しくなって、俺としてはつい絆されて終わってしまう訳で、可愛い婚約者のお願いに全敗なので、どうにか一度でもいいから一勝したい。
そうリヒトに告げると、何とも言えない表情を俺に向けてきた。
「……完全にリヴィアス様の尻に敷かれていますね、殿下。カエルム陛下やミーティア王妃陛下はどのように仰ってますか?」
「あー……結婚までは一線を越えるなと言われたな。王太子としての世間体もあるし、ミストラル大公の怒りが怖いと……」
その時の両親の形相は必死だった。
ミストラル大公に、何か含みを言われたのかもしれない。
そんな気がした。
「……答え、出てませんか?」
「確かにそうだが! 俺としては、もう少し刺激が……!」
「いい大人が、成人になりたての、もうすぐ学園を卒業される純粋無垢な美少年を穢されるおつもりで……?」
胡乱げな表情のリヒトに言われ、うっ……と呻いてしまう。
純粋無垢な美少年、と言われると、それはそれで背徳感がある訳で……。いや、それはちょっと人としてダメな気がする。
なので、つい、こう食い下がってしまった。
「こ、これでも二年は待ったんだ……! せ、せめて、せめて、深い口付けだけでも……!」
「……それをリヴィアス様になさったらアウトでしょう。殿下がその次に必ず進もうとなさいますよね? 無理です。ご結婚まで諦めて下さい」
バッサリと乳兄弟に切られ、俺は机に突っ伏した。
……確かに、深い口付けだけで止められる自信は、ない。
絶対に可愛いヴィアの表情が、艷めく。想像出来るくらいに、艶やかなヴィアに興奮すると思う。
……無理だ。止められない。
「ーーはい、答えは出ましたね? さぁ、殿下、お仕事の続きをしましょう。書類を精査して、サインをするだけの簡単なお仕事ですよ?」
にこにことリヒトは突っ伏す俺の机に、追加の書類を置いた。
流石、乳兄弟。容赦がない。
俺はその乳兄弟を恨みがましく見上げながら、身体を起こす。
渋々と書類を読み、仕事に戻った。
その後、まだ諦められなかった俺は、王太子妃教育をするために、レイディアンス大公領からやって来たヴィアに訴え掛けてみた。
卒業後、結婚式前なら深い口付けまでならいいとお許しをもらえた。
……少々、潤んだ目でお願いしてみたのが功を奏した。
卑怯とは思わない。
恋愛は駆け引きだ、と自分に言い訳する。
それを聞いたリヒトが、また何とも言えない表情で俺を見てくるが、何処吹く風と流した。
それからヴィアは学園を卒業し、エリスロース竜王国の陽光宮に住むことになった。
結婚も近くなり、約束をしたことをヴィアにお願いしてみる。
深い口付けをしたヴィアは、やはり綺麗で、可愛いくて、艶めかしくて、更に先に進みかけた俺は、まだ理性が飛んでなかった愛しの婚約者に止められた。
ちょっと、内心、舌打ちしつつ、惜しかったと思ったが、約束なので俺は我慢した。
「……我慢したのは偉いだろうといった顔をされましても、反則したのは殿下ですからね。ミーティア王妃陛下またはミストラル大公殿下に斬られないことをお祈りしておきます」
「……エリクサー案件にならないといいな、殿下」
呆れた顔のリヒトと一部始終を聞いたレインが他人事のように言ってきた。
ちなみに、ヴィアは俺の隣で顔を真っ赤にして、両手で隠していた。
その姿も可愛くて、俺はヴィアの頭に口付けを落とした。
※いつも読んで下さりありがとうございます!
近況ノートにも書きましたが、この度、第13回BL大賞で、拙作「婚約破棄をされたので、次の婚約をせずに薬師として生きます!」が、ファンタジーBL賞を受賞致しました!
ありがとうございます!
投票等応援下さいました皆様には感謝しかありません。
本当にありがとうございます!
今回のお話はその御礼ショートです。
初めてのジャンルで、投稿当初からお気に入り登録が今までの他作品の中で一番多く、ホットランキングも上位で非常に驚きと怯えで、普段書いているファンタジーや恋愛では全くかすりもしなかったので、この状態が不思議でした。
今でも夢では……? と思うくらいです。
2025年最後に嬉しいことが起きたのは、読んで下さる皆様のお陰です。
投票、お気に入り登録、感想、ハート、エールをして下さり、本当にありがとうございます!
これからも読んで下さる皆様が楽しんで頂けるように更新していきます!
本編はまだ少し続きます。
こちらの番外編では、キャラクター紹介とか載せられたらいいなと思ってます(ネタバレしない程度に……)
これからも宜しくお願い致します!
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感想、ありがとうございます!