エミリオとアリエッタ

柴咲もも

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わたしの意地悪なご主人様

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 それは、昨年の夏のことだった。洗濯したシーツを抱え、廊下を歩いていたアリエッタは、夏季休暇で帰郷したウルバーノと廊下ですれ違った。
 廊下の隅に身を寄せてアリエッタが頭を下げると、ウルバーノは朗らかに声を掛けてきた。

「アリエッタ、新しい遊びを覚えたんだ。今夜、部屋に来れるかな」

 ウルバーノはカードゲームが得意だった。子供の頃などは、度々エミリオとアリエッタを誘い、三人で夜通しゲームをしていたものだ。
 使用人として身分を弁えるよう心掛けてからというもの、エミリオやウルバーノと話す機会も減っていたアリエッタは、久しぶりの誘いについ嬉しくなって、こくりと小さく頷いたのだった。

 まさかそれが、穢らわしい大人の遊びへの誘いだとは思いもせずに。



 その日の夜、アリエッタは約束どおりウルバーノの部屋を訪ねた。部屋の中へと通されて、アリエッタはきょとんと室内を見回した。
 エミリオの姿がないことをウルバーノに尋ねると、彼はくすりと意地悪な笑みを浮かべ、今夜の遊びについて説明した。

「アリエッタ、きみはうちの使用人で、僕はきみの主人だ。わかるね?」

 何の話かわからないまま、アリエッタはこくりと頷いた。ウルバーノは気を良くして更に続けた。

「使用人であるきみにとって、主人である僕の命令は絶対だ。だから、今日からきみに奉仕して貰うことにした。誰にも言っちゃいけないよ。言っても傷付くのはきみだけだから」

 ウルバーノがそう言い終えると同時に、かちゃりと音がした。後ろ手に扉に鍵をかけて、ウルバーノはアリエッタに躙り寄る。

「そこに跪いて」

 その声色はとても穏やかで、アリエッタを見下ろす瞳は優しいのに、アリエッタの身体はいつの間にか恐怖でかたかたと震えていた。
 ソファに腰掛けて、アリエッタを床に座らせて、ウルバーノはズボンから男根を取り出した。
 薄い皮を半分被ったそれは、アリエッタの目の前でうな垂れるようにぷるんと震えた。

「握って、優しくね」

 促されて、アリエッタはおそるおそる、それを手に取った。柔らかくてあたたかいそれは、アリエッタが触れるとぴくりと攣縮した。

「ゆっくり手を動かして。……そう、ん、いい感じ、あ……」

 アリエッタが指を、手を動かすたびに、それは徐々に硬さを増し、熱を帯びていった。ウルバーノの吐く息も徐々に乱れていった。にゅるりとした感覚のあと、先端からピンクの肉が現れた。その先っぽで、透明の雫がとろりと光っていた。

「は……、それ、舐めて、アリエッタ」

 息を荒げ、頬を紅潮させて、ウルバーノは熱っぽい瞳でアリエッタを見下ろして言った。
 アリエッタはふるふると首を振った。目の前の硬く熱いそれは、どくどくと脈打っていてグロテスクだった。放つ臭いも生乾きの小便と似ていて、口に含むようなものではないように思えた。
 けれど、ウルバーノは拒むことを許さなかった。アリエッタの赤い髪を鷲掴んで引き寄せると、桃色の唇にそれを押し付けてきた。

「んん、むー!」

 いやいやと首を振って抵抗するアリエッタの顎を捉え、両側から頬を押しつぶすようにして、無理矢理に口をこじ開けると、ウルバーノは強引にアリエッタの口に熱杭を捩じ込んだ。

「おっと、歯を立てないで。傷付けたりしたら、このことをエミリオに言うからね」

 優しく宥めるようにそう告げられて、アリエッタの翠の瞳に涙が滲んだ。嫌な臭いとともに、塩っぽい味が口内に広がっていた。喉の奥まで圧迫されて、苦しくて呼吸もままならなかった。
 それでも何故か、アリエッタはこのことをエミリオに知られたくなかった。知られてはいけない気がした。
 アリエッタがおとなしくなったのを見届けると、ウルバーノは強引に抽送をはじめた。

「あ、歯、引っ込めて、んんっ、あ、いい」

 アリエッタは必死で歯を引っ込めて、ウルバーノが満足するのを待った。まだ身体の小さいアリエッタには、ウルバーノのそれは大き過ぎて、顎が外れそうで顔の半分が軋むようだった。
 両手で頭を固定されて、逃げ出すことはおろか、顔を背けることもできなくて。
 意識が遠のいたところで、ウルバーノはようやくアリエッタを解放し、その顔に熱い飛沫を迸らせた。

「う、おご、おえ」

 アリエッタは床に蹲り、溢れる唾液を吐き出した。生臭い雄の臭いに、腹の奥から熱い胃液が込み上げて、それも一緒に吐き出した。
 満足そうにその様子を眺めていたウルバーノは、呼吸を整えて男根をズボンに収めると、アリエッタに言った。

「それ、綺麗に片付けておいてね」



 その日を境に、ウルバーノとアリエッタの関係は歪で汚れたものになった。
 休暇のあいだ、ウルバーノは毎晩のようにアリエッタを呼び出しては、口での奉仕を強要した。
 アリエッタは怖くて苦しくて、誰かに助けを求めたかった。けれど、普段のウルバーノは誰の目から見ても品行方正で、アリエッタの立場を考えれば考えるほど、助けを求めたところで意味などないような気がした。
 幸いにも、ウルバーノは普段、寄宿学校の寮で暮らしていた。季節ごとの長期休暇の間だけだと、そう自分を奮い立たせて、アリエッタはウルバーノへの奉仕を続けた。

 幾度目かの夜のこと。
 踏ん反り返るようにソファに身を預けていたウルバーノは、アリエッタに男根を咥えさせながら呟いた。

「なんかさぁ、マンネリじゃない?」

 聞こえない振りをして、アリエッタはウルバーノの男根に舌を絡め、扱き続けた。その頃にはアリエッタも口での奉仕に慣れていて、嘔吐くことなく彼を満足させられるようになっていた。
 熱い吐息を度々漏らしながら、ウルバーノはじっとりとした瞳でアリエッタの胸元をみつめていた。

「ねえ、ねえってば、アリエッタ」

 アリエッタの名を呼んで、ウルバーノはアリエッタの頭を股間から引き剥がした。呆然とするアリエッタの衣服に手を伸ばすと、彼は何の躊躇いもなくアリエッタの胸元を強引に寛げた。
 透き通るような白い肌が、蝋燭と暖炉の灯りに浮かび上がった。まだなだらかな胸元を舐め回すようにみつめると、ウルバーノは小さく息を吐いて「まだはやいか」と呟いた。



 その後も、長期休暇で帰郷するたびにウルバーノは深夜にアリエッタを呼び出した。
 彼が求めるのは口での奉仕だけだったけれど、少しずつ成長してゆく自分の身体に、アリエッタは只ならぬ恐怖を募らせていった。

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