まさか俺が異世界転生ものの主人公になるなんて!

越路遼介

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第16話 復讐の結末

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※今回のお話は残酷なシーンもあるので注意してください。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「あーはっはっはっはっはっは!」
 フィオナ王国王城オルフェン、その国王の間にカトレアはいた。
 後の歴史年表上に『フィオナ王国滅亡』と記される日である。

 王子オレンストは四肢を切られて、股間も撃ち抜かれた。そんな芋虫になっているオレンストをチカラ任せに蹴る。
「ぐほおっ」
 血反吐を吐いて国王の間の床を転がっていくオレンスト。
「バカな真似はよせ!そんな復讐をして何に、げぶ」
 居合わせたカトレアの父コーザの頭部は氷の弾丸を受けてはじけ飛んだ。
「そんな復讐をして何に?バカ野郎、私の無念が晴れるだろうが!あっははははは!」

 国王ロングレイは
「弓を!魔法を撃って、この女を殺せ!」
 王城の朝、国王と宰相、重臣たち、王子を交え、朝議を行っていたころ、カトレアは城門から殺戮を繰り返して殴り込んできた。その手には王子がカトレアを捨てて走った子爵令嬢のイライザの首が握られていた。レンヤから贈られた美しいメイド服が返り血に染まっていた。そして表情は血に飢えた殺戮の魔女そのもの。イライザの首をオレンストに投げつけたカトレア。
「お前ら、みんなぶっ殺してやる!」
 戦慄する国王と重臣たちにカトレアの報復が始まったのだ。


「もはや妹とも思わぬ!」
 キュイジーヌ公爵家の跡取りにてカトレアの長兄ルードは魔力を帯びた弓を妹に放つ。
 しかし、氷の壁に弾かれ、ウォーターソードで右腕と右足を切断された。
「ぐあああっ!」
「このゴミクズ!お前のことなんか兄とも思ったことはない!」
 母の虐待から庇ってもくれず、反抗的な態度を取れば殴ってきた兄。
「わっ、私を怨んでいるのは分かる…!しっ、しかし、好きでお前に厳しく当たったと…ぐああっ」
 蹴られて吹っ飛んだルード、内臓が破裂し血反吐を吐いて七転八倒している。
「やっ、やめろ…!こんな復讐をしても……!」
「あ?」
「せめて…!父と私だけで終わらせ…」
 長兄ルードの頭部を踏み潰して飛び散った脳にツバを吐いたカトレア。

 さらに城内にいた魔法士と弓士の攻撃、すべてがカトレアの魔法で弾き返され、ついに
「ぎゃふっ」
 国王ロングレイの頭部がウォーターキャノンで吹っ飛んだ。
「やっ、やめてくれぇ、カトレア…」
 芋虫のようになって倒れている、かつての婚約主オレンストの髪の毛を掴んで持ち上げてニコリと笑い
「私がそう言った時、アンタやめてくれた?ねぇ、やめてくれた?」
 身の毛のよだつほどの恐怖の微笑み、撃ち抜かれた股間から尿が垂れ流しだ。
「悪かった…。悪かったよぉ」
「ははははは!許すわけねえだろっ!バーカ!」
 顔面を何度も床に打ち据えられ、死にそうになったら治癒、その繰り返しだ。

 カトレアは魔法使いとして天才的とも言えた。魔力の覚醒をして以降、水魔法に限らず魔力を用いて応用を利かせた技も繰り出している。
 短時間で湖畔から王城まで疾駆で踏破できたのは身体強化によるもの。レンヤの精により身に付けた魔力と武力は、まさに無人の野を行くがごとしの強さだ。

「これから貴様の取り巻きと、私の家族皆殺しだわ!私を虐げ、裏切った報いを受けるのよぉ!あははははははは!あーははははははは!」
 すでに国王の間に生存者はいない。ウォーターソードを出しながら腕を横に振るだけで、相手の胴体や首は宙に舞う。オレンストの髪の毛を握り引きずっていき、城のテラスから放り投げた。命乞いするオレンストだったが無駄だった。高所より落下、成す術も無く、ぐしゃ、という音を立てて肉塊となったオレンストだった。


「狂ってしもうたか…」
 老爺イグナシオがカトレアに歩んでいく。
「あら先王…。ふん、アンタがこの世にいなければ、あのクソ野郎も生まれなかった。ご主人様の絵の素晴らしさを理解しているのは感心だけど…同罪だね。殺すよ」
「…どのみち、オレンストが王位を継いだら、この国は滅んでいただろう。遅いか早いかの違いでしかないわ。せめて自決させてもらえぬか」
「いいでしょう。特別に許してあげるわ」
 イグナシオは国王の間で自らの首に剣を刺して果てた。
「ふっふふふ、次は王子の取り巻きたちと外道の母親と兄たちだわ!」


 王子の取り巻きたちは隠れていたが、カトレアは魔力を応用して探索して、すぐに見つけて惨殺した。止めに入った家族たちも躊躇なく。城に火を放ち、公開刑の時に自分を笑って見ていた市民の顔すべて覚えていたカトレアはそれらも皆殺しにした。
 

 やがて実家キュイジーヌ公爵家の屋敷に殴り込んだカトレアは他の兄弟たち、使用人たちを躊躇なく殺した。
 悪疾で顔が崩れて以降は、手のひらを返したようにカトレアを侮辱するようになった兄弟と使用人たち、許すはずがなかった。
 腰を抜かした母マリアンヌは必死に命乞いした。家臣と領民のため王家に従うしかなく、泣く泣く見捨てた。本意じゃない。幼少から厳しくしたのは後の王妃となるため必要な教育だったからで、けして貴女が憎くてしたことじゃないと泣いて弁明した。しかし、そんなものはもうカトレアに届かなかった。

「あーはっはっはっはっ!」
 人の五感で最後まで残るのが聴覚と言われている。その残る聴覚で娘の嘲笑を聴きながらマリアンヌは思っていた。どうしてこうなったと、どこで間違えたのかと。

 先の言い訳、まったくの嘘でもない。男の子ばかりが生まれて、ようやく授かった女の子、可愛くて仕方がなかった。可愛がった。愛しくてならなかった。
 しかし王子の婚約者として選ばれた以降、マリアンヌは優しい母親であることが許されなくなった。体の具合が悪く、今日の勉強とお稽古ごとは休ませてほしいと申し出たカトレアに心ならずも平手打ちして従わせた。『未来の王妃となる自覚がない』と。

 その日以来、カトレアは母を怯えて見るようになり、長じては憎悪の視線さえも向けて『私はお母様みたいな母親に絶対なりません』と言った。もはや母親とさえ思われていない。そうなると可愛さ余って憎さ百倍となる。いつの間にか演じていた冷酷な母親が本当になってしまったのだ。

 カトレアはマリアンヌをチカラ任せに殴り、蹴り、指で全身を刺しまくった。死にそうになったら治癒魔法で回復して繰り返している。
「いい気味!どう?虐待していた娘に繰り返し嬲り殺される気分はさぁ!あはははははは!」

 赤子から王子の婚約者となるまでは愛情を注がれて育てられたことなんてカトレアは覚えていない。鬼のような母しか知らない。
 優しい母親でありたい気持ちを封じてでも行ってきた王妃になるための厳しい養育、それは娘カトレアにとって悪、虐待でしかなかったのだと改めて思い知らされたマリアンヌは薄れる意識のなか、自分に訪れた最低最悪の最期に絶望していた。娘にここまで怨まれていた我が身を呪い、こんな凶行をさせてしまったことを詫びた。
 もう口が利くことも出来ないので心の中で『ごめんなさい、ごめんなさい』そして『私みたいな母親になってはダメよ…』と。
 最後、カトレアはマリアンヌの頭部を踏み潰した。
「ざまあみろ、クソ女!私はお前みたいな母親に絶対ならない!あはははははは!」
 炎上するキュイジーヌ公爵家の屋敷の前、カトレアは母親の頭部を踏み潰したまま高笑いをしていた。
 復讐達成の瞬間だった。



「…ずいぶんと派手にやったな」
「あら、ご主人様」
「気分はどうだ?」
「最高の気分!復讐って素晴らしいわ!あはははははは!あは…ははは」
「…………」
「あはははははは!あーはっはっはっは!バカどもが!こんな目に遭ったのも自分が悪いんだよ!アンタらが何もしなきゃ私だってこんなことしないっ!自分を呪えええッ!あっはっはっはっはっ!」
「…………」
 レンヤは城下町と王城オルフェンを見た。城は炎に包まれ、城下町ところどころ火災が発生している。前世消防士の彼でも手に負えない、復讐の炎の大火だ。

 しばらくするとカトレアの高笑いも終わった。目の焦点が合っておらず、その目から涙、体を震わせながら泣き笑い。ふらふらと歩き出し、やがてカトレアは地に膝をつき、両手もまた地に付けた。
「はは……ははは……。なにこの感情…。ふ、はは…はは」
 復讐達成の虚無感が強烈に襲い掛かってきた。起き上がってレンヤの両腕を掴んで泣き叫ぶカトレア。

「ねえ、これ何なの?どういう感情!?私は衆目の場で裸にされて腕と両足を斬られた挙句、火まで着けられて!そのあとは肛門と膣に焼けた鉄棒!無実の罪でこんなヒドい目に遭った、その仕返しをしたのよ!王子とその関係者と、処刑を見て笑っていたクソ市民ども、私を裏切った外道の家族に!どうして気持ちが晴れやかになんないの!おかしいじゃないのよぉ!」
「…復讐の炎は…相手も自分も焼いてしまうんだよ…」
「…………」

「…そして復讐で殺した者の命を、一生背負っていく覚悟が必要なんだよ…。君にそんなものないだろう?ある日突然、すごいチカラを手に入れて…怒りのまま暴れて皆殺し…復讐成就後に待っているのは廃人への道だ。復讐はその後に繋がらない、終わりなんだ…」

「あはははは!ねえ、ご主人様!セックスしようよ!すんごいのして!私、快楽の海で、このわけわかんない気持ち忘れたいの!どんな恥ずかしい格好だってしてあげちゃう!変態プレイOK!さあ、ご主人様!あははははは!」
「すまない…!俺が君の魔力を解放したばかりに!水魔法を使えると教えたばかりに!」
 レンヤはカトレアを抱きしめて詫びた。
「なぁに、らしくないなぁ…。ほら、いつものように私のオッパイに顔を埋めてお尻を撫でて下さぁい。あはははは!」

 この時点でカトレアはすでに発狂していたのかもしれない。レンヤの抱擁を振り払い、ふらふらと尿失禁をしながら歩き高笑いするばかり。レンヤはカトレアの前に歩み
「さようなら、カトレア、君を愛している」
 カトレアを斬ったレンヤ。カトレアはニコリとほほ笑んだ。
「さすがです…ご主人様…。痛みすら……感じません……」
「カトレア…すまない…。本当にすまない!うっ、ううう…」
「ありがとうございます…。今度…生まれ来るときは…ご主人様の妻として……」
 カトレアは死んだ。レンヤは業火の魔法を放ち、カトレアの亡骸塵一つ残さなかった。
 そしてそのままフィオナ王国を出ていった。二度と振り返らずに。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 フィオナ王国は王位不在となり、貴族たちが次の王は自分がなると争い始めた。
 これは王国が滅亡するまで続けられる不毛な戦争だった。

 一方、城下町の方は各街区の長が話し合い、無難に治めているが危ういものだ。
 各貴族領や城下町から逃散する者が相次いだ。
 カトレアは今後、この地方で鬼のような存在として語られていくのだろう。カトレアの優しさと美しさを知るのは、もはやレンヤただ一人。

 斬ったことが正しかったか、そのままカトレアを連れて逃げて、彼女の心のダメージを根気よく治して伴侶にすべきであったのか、どれが正解なのかは分からない。
 しかし、レンヤ自身、反則的なチート能力を持っているからこそカトレアの挙を教訓とする必要があるだろう。そうすればレンヤは今後また長く生きようとも、カトレアのことはけして忘れないのだから。


 フィオナの湖畔に小さな墓を建てたレンヤ。遺骨も何もないが布団とレンヤの服にカトレアの髪の毛が何本か付着していたので、それを埋めた。
「カトレア、もう一度味わいたいな、君のミミズ千匹…」
 それかいっ!とカトレアに突っ込まれそうではあるが偽りのない本音だろう。
「しばらくフィオナは大変だろうが…。俺はまた旅に出る。そしてまた戻ってくる。もしかしたら君の生まれ変わりと会えるかもしれないからな。その子もきっと名器だと思うし」
 手を合わせたレンヤ
「じゃあな、カトレア。愛しているよ」
 レンヤはカトレアの墓から立ち去った。その時
(いってらっしゃいませ、ご主人様)
 と、聞こえた気がした。
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