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過去の私

私のお母さん[1]

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「私の旦那、つまりアリスのおじいちゃんは体が病に毒されていたんだ。私はその病の薬を作ることが出来たが、どうにも材料代が高くてねぇ...。私が薬を売ったお金だけでは到底稼げなかった。」


おばあちゃんは昔を懐かしむような目をしながらそういった。


「だからアリスの母親はそんな状況を見ていられなかったのだろう。私も働くと言い出したのだ。16歳でな。」


(16歳で働くというのは早いものなのかな、あの場所ですれ違ったメイドのような人の中にも私を扇子で叩いてくる人以上に若々しい人がいた気がする。)

こてんと首をかしげた私におばあちゃんはこういった。


「まあ、普通の仕事だと16歳は別に早い訳では無いよ。私のような庶民だと特にね。でも、アリスの母親は仕事に、言わゆる夜のお店っていうのを選んだんだ。稼ぎが良かったからね。」


その時の私は、夜のお店というものを理解はしていなかったが、おばあちゃんの口ぶり的に16歳で働くところでは無いのだろうと推測していた。


「まあ、体を売るというより、お話をするというのが近かったんだがね、でもある日、とある貴族に気に入られてしまってね。たくさんのお金を払うから一夜を過ごしてくれないかと言われちまったんだよ。」


その話をされた時の私の年齢は5歳である。ましてやほぼ監禁状態だったのだ。
この話の意味はほぼ分からなかった。


「...幼いアリスにはまだよく分からなかったか。ま、アリスがこの話を理解できるようになるまで、、後でこの話のメモ書きでも残しておこうかね。」


そういうとおばあちゃんは話を続けた。


「そこでアリスのお母さんは考えたんだよ。そのお金さえあればアリスのおじいちゃんの病を完全に治せるかもしれないって。今までの薬は病の進行を遅らせる薬だったんだ。病を治す薬は私たち庶民には手が届かない値段をしていたから。」


おばあちゃんは悔しそうに告げた。


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アリスのお母さんは、
キャバ嬢のようなものをしていて、客にお金をたくさん払うから抱かせろって言われたという状況が1番近いかもしれません。

あと長い長い過去編は多くてもあと3話くらいで終わらせる予定です。英雄様の登場が遅くてごめんなさい。

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