英雄が嫌われ魔女に恋をしちゃった話

namihoshi

文字の大きさ
12 / 15
出会い編

突然の求婚

しおりを挟む
あれから1週間がたち、今日も薬を売りに街へと向かう。
今日は先週よりは薬の量が多くないにしろ、重いものは重いのだ。


「つい、たぁ...。」


ギルドに着く頃にはいつも通りヘロヘロになっている私は、ギルドに着いた瞬間にそんなことをこぼす。
それからギルドの扉を開けて、いつも通り薬を売って、帰る。それだけだったはずなのだ。

(なんか…今日のギルド、混んでる?)

やけに今日のギルドは混んでいて、リーシェさんのところに辿り着くにもいつもの二倍ほどの時間がかかった。


「あっ、魔女様~!いつもの薬ですね。ありがとうございます。」


いつも通りリーシェさんは笑顔で迎えてくれた。


「あ、はい。…あの、どうしてギルド、こんなに混んでるんですか?」


「あ~!今日は王太子様たちが街にくる日ですからね~。最初にギルドへよってギルド長と話すのではという噂なんですよ。それに英雄様も来ますから、一目見たいという方も多いのでしょうね。」


「あー…。」


私は人混みが大の苦手だ。
ぶつかってしまったらたまに舌打ちしてくる人とかもいるし、優しい人でも心の中ではあんなことやこんなことを思っているのではないかと、変な勘潜りをしてしまって、申し訳なさで死にたい気持ちになるから。

何にせよくる時期を失敗したのだ。今日はもう買い物せずにすぐ帰って、明日買い物しにこよう。
そう思った瞬間、ドアが大きく開く。
周りの歓声から誰が来たかなんて見なくても察した。


「あ、話をしていたら来ましたよ!王太子様たちです。」


リーシェさんの声と共に振り返ると、そこには人ごみに囲われた数名ほどの男性がいた。
真ん中でいかにも王子様といった服装をしているのが王太子様で、あとの騎士服の人たちは騎士様だろう。

(…帰るタイミング、逃しちゃったなぁ…。)

王太子様たちが今いるのはギルドの入口つまり入口を塞がれて暫くは人混みで帰れないだろう。
ぼんやりそんなことを考えながら王太子様御一行のことを眺めていると、ふと黒髪の騎士服を着た男性と目が合った。
時間にしたら1秒にも満たないくらいだったが、何せ私は超人見知りコミュ障魔女である。
私の心の中は

(な、なな、なんか目が、目が合った気がするぅぅ!!ど、どうしよう、すぐに目を逸らしちゃったから不敬罪で死刑とか言われたらどうしようぅぅぅ!)

と、大変パニクっていた。
そもそも目を逸らしただけで不敬罪にはならないし相手は騎士のため不敬罪も何もないという一般常識を、パニックで脳内から吹っ飛ばしていた私は全速力でリーシェさんの方に向き直り、王太子様がここを去るまでリーシェさんと世間話でもしようと思っていた。


ーーコツコツッ、コツ。


リーシェさんの方に向き直った瞬間、人はたくさんいるはずなのに、後ろからやけに慌ただしい足音だけがはっきり聞こえてきた。

(...あ、れ?なんか、嫌な予感が、)

その足音は私のすぐ後ろで止まった。
リーシェさんの受付に並んでいる人かなと思いちらりと後ろを振り返ると、そこにはさっきの黒髪の男性がいて、思わず2度見して固まった。
 
(ふ、不敬罪!?死刑ぃ、私殺される!!!?)

猛烈にパニックだった私は

「あの、そのぉ...え、えっとご、ごめんなさ、」

としか言葉を紡ぐことが出来ない。
そんな私を見て彼は私の発言を遮るように大きな声で私に


「あなたのことが好きだ!結婚を前提に付き合っていただけないだろうか!」


と告げ、私の両手を包み込むように両手でぎゅっと握りしめた。
その瞬間、ギルドの人たちの視線がいっせいにこっちを向いた。
大勢の人の注目を受けながら頭にハテナしか浮かんでない私は10秒ほどたって言葉を理解したあとに、涙目でこう叫んでいた。


「むむむむ、むりりり、無理です!ご、ごご、ごめんなさいぃ!!」








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

二十年以上無視してきた夫が、今さら文通を申し込んできました

小豆缶
恋愛
「お願いです。文通から始めてもらえませんか?」 二十年以上会話もなかった夫――この国の王が、ある日突然そう言ってきた。 第一王妃マリアは、公爵家出身の正妃。だが夫はかつて、寵愛する第三王妃の話のみを信じ、彼女を殴ったことがある。その事件が原因で、マリアは男性恐怖症が悪化して、夫と二人きりでは会話すらできなくなっていた。 それから二十年。 第三王妃はとある事故で亡くなり、夫は反省したらしい。だからといって――今さら夫婦関係をやり直したいと言われても遅すぎる。 なのに王は諦めない。毎日の手紙。花を一輪。夜食の差し入れ。 不器用すぎる求愛に振り回されるうち、マリアの中で止まっていた感情が少しずつ動き始める。 これは、冷えきった政略夫婦が「文通」からやり直す恋の話。 ※本作は「存在されていないことにされていた管理ギフトの少女王宮で真の家族に出会う」のスピンオフですが、単体で読めます。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ@『桜の嫁入り』発売中です
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

処理中です...