ハッピーエンドの人魚姫たち

保仁矢らら

文字の大きさ
2 / 5
王子に恋した人魚姫、脚を手に入れ会いに行く〜エミーナが描いた1ダースの絵〜

エミーナと王子さま

しおりを挟む
 十五歳の誕生日。人魚姫は船上の王子さまを一目見て恋に落ちた。ところが船は難破し、王子さまは海に放り出されてしまう。人魚姫は王子さまを救助し、気を失った彼を浜辺に置いて、離れて様子を見ていた。すると若い女性が王子さまをみつけて人を呼び、救助してくれた。それを見届けた人魚姫は海の民の国に戻って行く。
 王子さまに恋した人魚姫は彼にもう一度会いたくて、自分の声と引き換えに下半身が人間の脚になる魔法の薬を海の魔女からもらうことに。
 ただし、歩こうとすると脚はナイフでえぐられるように痛む。それに、王子さまと結婚できなければ人魚姫は海の泡になってしまうのだ。
 それでも人間の脚がほしい。どうしても王子さまにもう一度会いたい。たとえ結婚できなかったとしても……。人魚姫は薬を飲み干した。
 と、ここまではアンデルセンの名作童話『人魚姫』の途中までのあらすじ。さて、それからの日々――。アンデルセンの名作童話『人魚姫』とは別のこんな展開はいかが?

 元人魚姫エミーナ・ド・ロマーヒは、浜辺で王子さまと再会を果たす。彼女は砂の上に絵を描き、身振り手振りも交えて当時の状況、つまり船が難破したことを説明した。
 王子さまはこの口の聞けない娘があの海難事故の目撃者で、何か大事なことを伝えようとしているのだと理解する。
 砂に描くよりもペンで紙に描くほうがわかりやすい。とりあえずこの娘を城に連れて帰ろう。何か服を着せてやりたい。身に付けている物といえば、胸のふくらみを覆う帆立貝の貝殻と下半身を覆う海藻だけ。まともな服を着ていないこんな半裸のままでは気の毒だ。
 ところがこの娘は歩こうとするとひどく脚が痛むらしい。可愛らしい顔が苦痛に歪むのを見ていられない王子さまは、彼女をお姫さま抱っこすると城に連れて帰り、そのまま城に住まわせることにした。
 言葉を話せず、脚も不自由なこの娘をたった一人で城外に戻しても、恐ろしい将来が待っているだけだろう。悪い人間に連れて行かれ、ひどい目に合わされ、私利私欲を満たすためだけに死ぬまで利用され続けるだろう。この脚では逃げ出すこともできず、声を出して助けを求めたり被害を訴えることもできないのだから。私が守ってやらなければ――。  
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結短編】ある公爵令嬢の結婚前日

のま
ファンタジー
クラリスはもうすぐ結婚式を控えた公爵令嬢。 ある日から人生が変わっていったことを思い出しながら自宅での最後のお茶会を楽しむ。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」 「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」  私は思わずそう言った。  だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。  ***  私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。  お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。  だから父からも煙たがられているのは自覚があった。  しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。  「必ず仕返ししてやろう」って。  そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。

処理中です...