上 下
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何でも屋のレオン

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 上は九歳から下は生まれたばかりまで、四人も幼い弟や妹たちがいるため、大工の父が必死で働いてもレオンの家は貧しかった。弟妹きょうだいたちはいつもおなかを空かせている。
 貧しかったが家族はみんな仲が良く、愛し合っていた。彼も十二歳ながら毎日楽しく働いていたし、つらくはなかった。彼は自分が不幸だとは思っていない。
 長男である彼は少しでも家計を助けるために、ヌッツェンマンとして日銭を稼いでいた。平日は主に「運び屋」として荷馬車で荷物を運んでいたが、土曜日は市場で「店番」や「使いっ走り」を引き受けていた。
 それにもう一つ商売をしていた。それぞれの稼業のすき間時間を利用して、いろんな人と話をしては情報を集め、その情報をほしそうな人に売る「情報屋」だ。レオンはまさにお金になることであればなんでもする何でも屋なのだ。
 まだ子供だから大人並みに稼ぐことはできないが、人々のいろんなニーズにいち早く気が付いて「お手伝いしましょうか?」と自分から声をかけては喜ばれ、チップをもらっていた。人の気持ちや表情に敏感な、気の利く少年である。
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