53 / 83
4日目
目が覚めて、また微睡みに
しおりを挟む
閉じられた瞼、小さな鼻、穏やかな吐息を漏らす唇。小陽が目を覚ますと、眼前には睦美の寝顔が広がっていた。
「うぇっ!? ……あ、ああそっか……僕がお願いしたんだった」
昨夜、イヨからの夜這いを防ぐ為に小陽は睦美に同じベッドで寝てもらうようにお願いした。就寝時点では互いに背中合わせだったはずだが、寝ている内に向かい合わせの恰好になっていたらしい。
身体を起こそうとした小陽は、自身の右手が睦美の左手を握りこんでいることに気付いた。幼い頃はそんな寝方もしていたが、この年になっては気恥ずかしく、小陽は慌てて手を離した。
「ん……ハル君? ふわぁ……おはよう……かな」
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫……むしろ、起きるのがいつもより遅い時間になっちゃったかな? ふわぁ……」
気心の知れた仲とはいえ、さすがに一人用のベッドで二人は狭すぎた。睦美も中々寝付けなかったであろうことが、その眠そうな顔から窺えた。
「ハル君はまだ眠そうかな? 起こしてあげるから、もう少し寝ててもいいよ? ボクは朝の身支度してくるから、ベッドも広く使えるかなって」
そう言ってベッドを出ようとする睦美の手を、小陽は慌てて捕まえた。
「だ、だめ! 行っちゃだめだよ、睦美……もう少しだけ、いっしょに寝よう?」
「え、う、うん……ハル君がそう言うなら、もう少しだけ寝ちゃおうかな……?」
堪えきれない二度寝の誘惑に抗えず、小陽は睦美の手を握ったまま再び瞼を閉じた。恥ずかしいなんて言ってはいられない。小陽が男の子で在る為には、決して睦美から離れてはいけないのだから。
やがて睦美の穏やかな寝息が聴こえて来て、小陽の意識も後を追うように落ちて、ふたりは仲良く寝坊することとなったのだった。
「うぇっ!? ……あ、ああそっか……僕がお願いしたんだった」
昨夜、イヨからの夜這いを防ぐ為に小陽は睦美に同じベッドで寝てもらうようにお願いした。就寝時点では互いに背中合わせだったはずだが、寝ている内に向かい合わせの恰好になっていたらしい。
身体を起こそうとした小陽は、自身の右手が睦美の左手を握りこんでいることに気付いた。幼い頃はそんな寝方もしていたが、この年になっては気恥ずかしく、小陽は慌てて手を離した。
「ん……ハル君? ふわぁ……おはよう……かな」
「ごめん、起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫……むしろ、起きるのがいつもより遅い時間になっちゃったかな? ふわぁ……」
気心の知れた仲とはいえ、さすがに一人用のベッドで二人は狭すぎた。睦美も中々寝付けなかったであろうことが、その眠そうな顔から窺えた。
「ハル君はまだ眠そうかな? 起こしてあげるから、もう少し寝ててもいいよ? ボクは朝の身支度してくるから、ベッドも広く使えるかなって」
そう言ってベッドを出ようとする睦美の手を、小陽は慌てて捕まえた。
「だ、だめ! 行っちゃだめだよ、睦美……もう少しだけ、いっしょに寝よう?」
「え、う、うん……ハル君がそう言うなら、もう少しだけ寝ちゃおうかな……?」
堪えきれない二度寝の誘惑に抗えず、小陽は睦美の手を握ったまま再び瞼を閉じた。恥ずかしいなんて言ってはいられない。小陽が男の子で在る為には、決して睦美から離れてはいけないのだから。
やがて睦美の穏やかな寝息が聴こえて来て、小陽の意識も後を追うように落ちて、ふたりは仲良く寝坊することとなったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる