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4日目
女の子に囲まれる男の子たち
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「ふふ、おふたり仲良く寝坊だなんて……よほど昨夜はお楽しみだったのでしょうか?」
小陽と睦美が慌てて食堂へ入ると、イヨが朗らかに出迎えた。
昨夜のイヨは良く眠れたのだろう。眠たげなふたりとは対照的に、普段より肌艶が良いように見えた。
「おはよう、イヨくん、ミコトくん、弥生くん……久野絵くんも……」
イヨの対面にはミコトと弥生が座っており、隣には久野絵が不機嫌そうにテーブルに直接腰を下ろしていた。その恰好はパーカーから変わっていないものの、サイズがかなり大きくなっていた。大きなフードからは長い兎の耳のような物が垂れており、ぶかぶかの首元からは素肌が見えている。長い裾がズボンも兼ねているのか、外からは下に何も履いていないようにも見えた。
露出度が低いのか高いのかよくわからないその服装は女装とは言い切れなかったが、男装では無いのは確かだった。強いて挙げるならば、愛らしいウサミミが女の子ポイントなのだろうか。よく見ないとわからなかった目元のメイクも、心なしか濃くなっているように思えた。
「なんだよ、ジロジロ見やがって……どうかしたのか、朝比奈」
「ううん……何でもない……」
久野絵の正面に座る弥生も女装をしており、少し離れた場所に座るジジ、桃莉、菜々緒も女装をしている。小陽の隣に立つ睦美もセーラー服を身に纏っている。
数日前までは全員が男の子だったはずなのに、今では女の子の方が多数になってしまった。男装をしている自分の方がおかしいという錯覚すら覚えそうだった。
そんな中で、イヨは首元までホックを留めた学ラン姿で優雅にお茶を飲んでおり、ミコトは学帽の位置を弥生に直してもらっている。小陽とは違って一年生のふたりはこの状況に適応しているようで、イヨはともかくミコトの様子は小陽にとっては意外だった。
「ムツミさん、良ければわたくしの隣で朝食を食べてはいかがですか?」
隣の椅子を引いて睦美を誘うイヨ。そのあからさまな態度は小陽の目には挑発的に映っていたが、睦美にとってはただのお誘いでしかなかった。勧められるままにイヨの隣に座ろうとする睦美の手を、小陽は力強く引き留めた。
「は、ハル君? どうしたのかな?」
「僕は睦美とふたりだけで食べたいんだけど、ダメ?」
「えっ? い、いいけど……い、イヨちゃん、そういうわけだからごめんねかな?」
「いいえ、こちらこそ無粋なお誘いをして申し訳ありません。どうぞ、おふたりでお楽しみください」
イヨは小陽を揶揄って愉しんでいた。己の有利を確信しており、ちょっかいを出して小陽の必死な様を愉しんでいるのだ。
それがわかっていても、小陽には耐えることしかできなかった。心を乱されて挑発に乗ってしまえば、久野絵のように拘束された状態で一方的に攻められかねない。
「それでは、わたくしたちはそろそろ教室に向かいましょう。遅刻をしては、えるさんに叱られてしまいますからね……コハルさんたちも、どうかご注意ください」
イヨの流し目に目線だけで応えて、小陽は睦美と共に急いで朝食を済ませるのだった。
小陽と睦美が慌てて食堂へ入ると、イヨが朗らかに出迎えた。
昨夜のイヨは良く眠れたのだろう。眠たげなふたりとは対照的に、普段より肌艶が良いように見えた。
「おはよう、イヨくん、ミコトくん、弥生くん……久野絵くんも……」
イヨの対面にはミコトと弥生が座っており、隣には久野絵が不機嫌そうにテーブルに直接腰を下ろしていた。その恰好はパーカーから変わっていないものの、サイズがかなり大きくなっていた。大きなフードからは長い兎の耳のような物が垂れており、ぶかぶかの首元からは素肌が見えている。長い裾がズボンも兼ねているのか、外からは下に何も履いていないようにも見えた。
露出度が低いのか高いのかよくわからないその服装は女装とは言い切れなかったが、男装では無いのは確かだった。強いて挙げるならば、愛らしいウサミミが女の子ポイントなのだろうか。よく見ないとわからなかった目元のメイクも、心なしか濃くなっているように思えた。
「なんだよ、ジロジロ見やがって……どうかしたのか、朝比奈」
「ううん……何でもない……」
久野絵の正面に座る弥生も女装をしており、少し離れた場所に座るジジ、桃莉、菜々緒も女装をしている。小陽の隣に立つ睦美もセーラー服を身に纏っている。
数日前までは全員が男の子だったはずなのに、今では女の子の方が多数になってしまった。男装をしている自分の方がおかしいという錯覚すら覚えそうだった。
そんな中で、イヨは首元までホックを留めた学ラン姿で優雅にお茶を飲んでおり、ミコトは学帽の位置を弥生に直してもらっている。小陽とは違って一年生のふたりはこの状況に適応しているようで、イヨはともかくミコトの様子は小陽にとっては意外だった。
「ムツミさん、良ければわたくしの隣で朝食を食べてはいかがですか?」
隣の椅子を引いて睦美を誘うイヨ。そのあからさまな態度は小陽の目には挑発的に映っていたが、睦美にとってはただのお誘いでしかなかった。勧められるままにイヨの隣に座ろうとする睦美の手を、小陽は力強く引き留めた。
「は、ハル君? どうしたのかな?」
「僕は睦美とふたりだけで食べたいんだけど、ダメ?」
「えっ? い、いいけど……い、イヨちゃん、そういうわけだからごめんねかな?」
「いいえ、こちらこそ無粋なお誘いをして申し訳ありません。どうぞ、おふたりでお楽しみください」
イヨは小陽を揶揄って愉しんでいた。己の有利を確信しており、ちょっかいを出して小陽の必死な様を愉しんでいるのだ。
それがわかっていても、小陽には耐えることしかできなかった。心を乱されて挑発に乗ってしまえば、久野絵のように拘束された状態で一方的に攻められかねない。
「それでは、わたくしたちはそろそろ教室に向かいましょう。遅刻をしては、えるさんに叱られてしまいますからね……コハルさんたちも、どうかご注意ください」
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