40 / 123
ディーンアデライトsaid
しおりを挟む私はこのジェラルド国の第二王太子、ディーンアデライト・トラバルト
今日は婚約者候補達に会いに行く日だが、すでに憂鬱だ…
別にこの国は貴族だから絶対に政略結婚しなければならないとかそういう決まりはないし、なんなら女性の割合が割と少ない為、滅多にないが複数婚も有りなくらい結婚等に関しては寛大な部分がある
ただ国の王太子となると話が別だ、誰でも良いわけではなく、国を支えていくのに相応しい品格の妃が選ばれる
主に家柄と容姿が重視され、それ以外だと何か国に関わるような特別な力を持っていたり、貢献したりしていれば話は別なのだが…易々とそんな都合の良い人物はいない
なので私には父上から見繕われた婚約者候補達が4人ほどいるのだが…
確かに皆美人揃いだが誰もピンとはこないし、そもそも私ではなく妃という立場を狙っているのだ
特に今向かっている婚約者候補の1人、ヴィヴィアンヌ嬢は性格も最悪だ
見た目は美人なのだが裏は苛烈な性格だ
婚約者候補達が集るお茶会では何が気に入らなかったのか、私の見えない所で他の令嬢に嫌味を言い散らし、お茶をひっかけたり、わざと転ばせるような事をしたりしている
それらは私の影による調べで全てバレているのに…
母上から女性は花のように大切に扱うものだと教えられてきた
当然誰に対してもその様には振る舞っているが、ヴィヴィアンヌ嬢のする事には目に余る部分がありすぎる
それでも一応私の前では猫をかぶっているので見逃してはいるが…
「はぁ…」
深い溜め息が漏れる
「殿下着きましたよ」
「あぁ」
義務を澄ませたらすぐに帰ろう
馬車を降りて扉へ向かう
ガチャッ…
「ディーンアデライトさまぁ♡」
扉を開けてすぐヴィヴィアンヌ嬢が抱きついてきた
「久しぶりだね、ヴィヴィアンヌ嬢…」
こういう所も令嬢らしくないというか、普通ここは挨拶として淑女の礼をとる所なんだが…
顔が引き攣らないようになんとか王太子としての仮面を張りつける
「あぁん、ディーンアデライト様♡
私ずっと来てくださるのを待ってたんですのよ、前回から一月もあけて会われるなんて酷いですわ!」
私の腕をがっちり両腕で掴んで胸を擦りつけるように上目遣いで見上げてくるが、正直香水臭くて息が詰まりそうだし、ヴィヴィアンヌ嬢は色仕掛けのつもりかもしれないが、あまり膨らみの無い胸を押しつけられても何も感じない
「ヴィヴィアンヌ嬢…歩きづらいから少し離れてくれると嬉しいな」
それでも一応女性なので傷つけないようにやんわりと断る
「あらやだ、私ったら!
久しぶりにディーンアデライト様に会えたのが嬉しくって…
それに、私達の仲なのですからヴィヴィアンヌ嬢じゃなくてヴィヴィと呼んで下さい♡」
冗談じゃない、名前呼びなどしたらただでさえ私が婚約者に選ばれて当然などと周りに吹聴しているヴィヴィアンヌ嬢をつけ上がらせるだけだ
「あぁ…私も王宮での仕事にかかりきりで忙しかったからね…
今までの埋め合わせも兼ねて他の婚約者候補の令嬢達にもこの後会いに行くつもりだよ」
「私だけじゃないんですのね…」
少し意地悪な言い方しちゃったけど勘違いされても困るからこれぐらい言わないとね
「ごめんね、他の婚約者候補達にも示しがつかないから
ヴィヴィアンヌ嬢だけ特別扱いするわけにはいかないんだ」
「あぁ…分かりましたわ!建前上はということですわね!」
「え…いや建前なん「うふふ♡ディーンアデライト様、早く庭園でお茶にしましょう!!」
だめだ、ヴィヴィアンヌ嬢は自分に都合の良いように解釈しちゃったみたいだ…
ぐいぐいと女性らしかられぬ力で引っ張られながら庭園へ連れて行かれた
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
455
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる