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ディーンアデライトsaid4
しおりを挟む「あの、本当に離してください!」
手を振って引き離そうとしているがその程度の力じゃ離れない
さっきの毛むくじゃらの事や、まだ名前も聞いてないのに何をそんなに焦ってるんだ?
「ディーンアデライト様ー??」
そういえば先程からヴィヴィアンヌ嬢の幻聴が聞こえるような…
と、いきなり繋いでいた手を引っ張られる
「王子様!ちょっとこっちにきて下さい!!」
「え…」
ぐいぐいと物置小屋に押し込められ、体勢が崩れる
「何をし…もがっ」
なぜこんな所に押し込める…と文句を言いそうになったが手で口を塞がれた
「ディーンアデライト様いらっしゃるの…あら?」
小屋のすぐ近くでヴィヴィアンヌ嬢の声が聞こえる
なんてことだ、いつからだ?
王太子ともあろう私が彼女に興味津々でヴィヴィアンヌ嬢の気配に気づかなかったらしい…
「気のせいかしら、誰かの声が聞こえたような…
まぁ!洗濯がやりかけじゃない!?
ここの侍女はどこ行ったのよ、後でとっちめてやるから!!」
それにしても…先程から彼女の身体が密着しすぎてて色々とまずい、心臓は煩いし、ちゃっかり手は繋いだままだ
しかも私の口を塞いでいる手からは石鹸のいい香りがする
普段香水臭い令嬢達とは大違いだ、ずっと嗅いでいたい
ヴィヴィアンヌ嬢から隠れる為とはいえ、こんな薄暗い所に連れ込むなんて誘われているようにしか思えない等と自分に都合のいいように考えてしまう
「もしかして…お花でも摘みに行ったのかしら…
きっと恥ずかしくて言いだせなかったから黙っていなくなったのね、もうディーンアデライト様ったら私達の仲ですのに♡
ここは何も知らない顔するのがいい女ってものよね!」
盛大な勘違いをしたヴィヴィアンヌ嬢の足音がだんだん遠ざかって行く
「あ…危なかったぁ…」
ホッと胸を撫で下ろしているが、私の口を塞いでいた手の平を舐め上げる
「ひゃあっ!?」
「大胆な誘惑の仕方だね…」
「へ…?」
「女性に押し倒されたのは初めてだよ…」
「押し倒す…?」
彼女は今どういう状況になっているのか分かってなかったようだ
でももう遅い、完全に火がついてしまった
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