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何事かと思ったら…

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「アルディス様には私からお伝えしておきますから、マナさんは早く帰ってあげて下さい」

「はい、ありがとうございます」


私はセバスチャンさんにペコリと頭を下げて、実家に帰る為に馬車へと向かう


実は珍しく両親からの手紙が来た
詳しくは書かれてなかったけど、すぐに帰ってきてほしいとの事だった

セバスチャンさんには、アルディス様に話すと面倒な事になるから、しばらくお暇をあげるので出かけてる今のうちに帰ってあげなさいと言われた
怪我や病気なんかだったら大変だからと、3週間ぐらいの長いお休み付き

うぅ…
丁度舞踏会が終わってしまうぐらいの休みだ
気にはなるけど、流石に両親が心配だから帰らないわけにはいかないし…

シャルさんにも舞踏会の仕事はできそうにないですと言って断った


はぁ…


溜息を吐きながら、馬車で実家まで帰った



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あれ…?


実家に着くと、もう1台立派な馬車が止まっていた


転生した時に流れ込んできた記憶の中では、父が事業に失敗してから家と、必要最低限の物以外、売れるものは何もかも売り払ってしまったはずなんだけど…

お客さんか誰かの馬車なのかな?


「ただいまー!」

「マナちゃ~ん!!」


ドアを開けると、私の父が抱きついて来た


「ちょ、お父さん苦し…いよ!!」

「やだやだ、お父さんじゃなくて、昔みたいにパパって呼んで!」

「わかったから、離してパパ!!」


このナヨナヨしたちょっと女々しい人が私のパパだ
子持ちとは思えないほどの童顔っぷりで、周りからはよく年齢不詳と言われている

この感じだと、怪我や病気じゃないみたい
一先ずホッとしていると…
    

「そうだよ、マナちゃん!
早く会ってほしい人がいるんだよ!」

「へ…?」


あ、会ってほしい人…?


「いや~、その事もあって
マナちゃんの勤め先のクロムハートさん家にお手紙を出したんだけどさ
実は、マナちゃんの舞踏会用のドレス一式を是非用意したいって人がいてさ!」

「う、うそ……」

「もちろん条件付きだったんだけど、マナちゃんをエスコートと、ダンスさえ踊らせてくれればそれでチャラにしてくれるってさ!」

「そ、そんな…
でもドレス一式って、エスコートやダンスぐらいでチャラになるような金額じゃないよ!?」

「僕もそう思ったんだけどさ…
どうしてもって言うし、わざわざ嘘じゃないって証明に、契約書まで用意してくれたんだよ!
内容もよく読んだし、問題なさそうだからサインしちゃった☆」


パパ…
娘に聞く前にサインしちゃったって、何してるの!?

そりゃ払える金額じゃないし、願ってもない話だけど…

一体どんな人なんだろ…?


「マナ!お帰りなさい!」

「お母さ……え…?」


奥の扉からお母さんが出てきたと思ったら、見覚えのある人も一緒に出てきた


「な、なんで…」

「ドレス一式を用意するって言ってくれたのはこの人だよ!
マナちゃんとも知り合いだって聞いたのもあって、サインしたんだ」


パパの話なんか全く耳に入ってこない
それぐらいびっくりしちゃう人が目の前にいた


「マナさん、お久しぶりですね」


私にニコッと微笑みながら挨拶してきたのは、インテリな雰囲気と片眼鏡が印象的な、サミュエルさんだった



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