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舞踏会に出てみたいけど…
しおりを挟むあれから月日が経ち、いよいよ舞踏会まで1か月をきった頃
「マナは舞踏会に出ないのか?」
「はい、両親も忙しくてそれ所じゃないので…」
正直出てみたいけど…
ドレスを買う余裕なんてないし、エスコートする両親も出られないんじゃ仕方ない
「それなら俺がドレスと…
いや、エスコートが…この際あれの事はいいか」
「へ…?」
なんだかアルディス様はブツブツ独り言を言っている
「俺がマナをエスコートする
ドレスも俺が用意しよう」
「………」
びっくりしすぎて一瞬思考が停止する
「いやいや、ヴィヴィお嬢様はどうするんですか!?
それにドレスまで用意してもらうなんてダメです!!」
「あれならセバスチャンにでも任せとけばいいだろ
金の事なら気にするな、領地経営が上手くいってるからな」
「絶対にダメです!!」
アルディス様はやいやい言ってたけど、今回だけは譲らなかった
もうすぐラブマジが始まるし、アルディス様は本編通りヴィヴィお嬢様をエスコートした方が良いに決まってる!
それに、王子様からも手紙で、舞踏会のドレスが決まってないなら贈らせてほしいだのなんだのって来てたから、出ない事を書いて丁重にお断りしたばかりだ
実は最近王子様とはよく文通をしてるんだけど、ちょっとした事件があってからだ
お試し王宮侍女生活の後から、王子様は頻繁にクロムハート家を訪れていた
ヴィヴィお嬢様に会いにきたはずなのに王宮での影響なのか、私の所にばかり来るというか、頼み事やらなんやらで話かけてくるし…
そのせいである日、王子様がお手洗いに席を立ったのを見計らって、ヴィヴィお嬢様に壁ドンで詰め寄られた
“王宮で侍女やってたからって、調子に…
あら…?
あなたの髪からディーンアデライト様と同じ匂いがするわ!?
唯の侍女には買えない高級品だし、盗んだんでしょ!”
とヴィヴィお嬢様に大騒ぎされて、髪の毛は引っ張られるわ、ビンタされるわで最悪だった
結局戻ってきた王子様が、私付きの侍女だったからあげた、の一言で騒がなくはなったけど…
王子様は見た事もないくらい怖い顔して冷ややかに叱りつけて、ヴィヴィお嬢様は泣いちゃうし、セバスチャンさんが私の頬を冷やしながら謝らないヴィヴィお嬢様の代わりに謝り倒すしで、かなりカオスな状況だった
その事でヴィヴィお嬢様の機嫌を損ねてしまい、色々あってなんとアルディス様の侍女になる事に…
その場にいなかったアルディス様は、最初こそめちゃくちゃ喜んでた
だけど私の腫れた頬を見て真っ青になり、何があったのかと執拗く問いただされた
その後、ヴィヴィお嬢様を鬼の形相で怒鳴りちらかしていたアルディス様は凄く怖かった
ヴィヴィお嬢様には…
“お兄様に告げ口するなんて、見た目も中身も最低最悪な女だわ!
私の引き立て役になるから置いてあげたのに、もう2度と戻ってこないで頂戴!!”
なんて睨まれて、完全に嫌われちゃいましたけどね
それから王子様が来た日は、アルディス様に裏方の仕事を頼まれるようになり、中々会う事がなくなったなと思っていたら…
相変わらず王宮とクロムハート家を掛け持ちしているシャルさんから、突然王子様が書いた手紙を渡されるようになった
それからずっと文通をしているんだけど、所々に会いたいだとか、宵闇の天使だとか、中々に恥ずかしい内容の事が書かれていて毎回返事に困る
王子様は情に厚いらしく、数週間だけ働いた私みたいな侍女もこうして気にかけてくれるけど…
うっかり勘違いしてしまいそうになるから大変だ
それにしても…
なんとか舞踏会だけは生で見れないかなと、ずっと頭を悩ませていると
“その日は舞踏会も人手が足りないし、マナちゃんが働けるようにお城に俺が交渉してあげよっか?”
ってシャルさんが言ってくれたので、即答で是非!と返事をした
これで何とか生で見れるかも!
と思っていた矢先、1通の手紙で状況が変わってしまった
応援ありがとうございます!
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