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プロローグ※君との関係 

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「蓮くん! ごめんねっお待たせ︙!」
 
三本木蓮さんぼんぎれんからの呼び出しで佐野銀二郎さのぎんじろうは講義を抜け、ホテルまで走った。

「やっと来たわけ? 佐野くん。」

 金髪の派手な青年が銀二郎に冷たく言う。耳に付いているいくつもの装飾にホテルの間接照明がキラキラと反射している。ドクドクと動悸がするのは走ったからなのか、緊張からか、銀二郎にはわからない。

「ごめんね、講義中だったから︙。」

「あっそ。このあと予定入ってるから、早くシャワー浴びて来て。」

 彼の冷たい声だけが自分に向けられる。   
 視線や笑顔、まして目が合うなんてことは殆ど無い。

「う、うんっ。」

 銀二郎は蓮に笑顔で返すと、言われるがままにシャワールームへと向かった。






 三本木蓮は銀二郎と同じ法学部で、銀二郎が片想いを拗らせている相手だ。銀二郎はそんな彼と所謂いわゆるにある。


 自分の想いなんか、届くわけないと思っていた。
 彼に伝えることもなく大学を卒業するのだと。


 想いを募らせるだけの毎日を送っていた銀二郎は、ある日とある噂を耳にした。それは、三本木蓮は男も抱ける、というものだ。蓮は男女ともに人気がある。日本人離れした美しい顔立ちやスタイルの良さが人気の一つ、イギリス人の祖父を持つクォーターらしい。クールだが、友達が多く勉強もそれなりにできる。故に蓮には、遊ぶ相手が選ぶほどにいた。
 セフレの中に男がいる、そんな噂を聞き付けた銀二郎は、あろうことか「セフレにしてください」と蓮に直接懇願した。普段の自分なら絶対しないし、できない。なぜ、そんなことを言ってしまったのか銀二郎にも分からなかった。さらに驚いたのは、懇願に対し蓮が「おもしろそうだから、良いよ」とOKを出したことだ。正直言って、銀二郎は可愛らしいタイプではない、だから蓮の周囲の人間すらも驚いていた。



ーーそれが、彼らの関係の始まり。







 もう何度も体を重ねているはずなのに、緊張で心臓が激しく脈打つ。
 
 銀二郎の身長は188㎝。178cmの蓮よりも高い。筋トレが趣味だからか、一般的な大学生男子よりも体格が良い方だ。“男らしい”とよく言われるが、自分の恋愛対象は。それに、好きになるとその人のことばかりを四六時中考えてしまうような、本当は女々しい人間。外見的な周囲のイメージと銀二郎自身の内面は、大きくかけ離れていた。

「︙うっ︙んっ︙︙。」

 お尻を綺麗にして拡げる︙その感覚は何度しても慣れない。

 はじめての時は蓮自ら綺麗にする方法を教えてくれた。こんなにも面倒で普通なら嫌がることをしてくれるなんて、蓮は優しいと銀二郎の想いは更に増した。片想いを拗らせすぎて、麻痺しているとしか言えない。何でもかんでも、蓮の一挙手一投足が銀二郎にとっては愛しかった。

「次ヤるときは、自分でやれよ」と言った蓮は“良かったな、俺が処女に優しいタイプで”と付け加えた。

 これっきりだと思っていた銀二郎は、蓮の中でがあることを喜んだ。





「準備できたよ」

 銀二郎はシャワーから出て蓮のいるベッドへ向かう。退屈そうに転がっていた蓮は、スマホの画面から顔を上げた。

「あれ? これからヤるのに、また服着たのかよ?」

 焦ってたから、間違えて着てきちゃった︙。
 ううん、嘘、恥ずかしかったから。

「脱げよ」
 蓮の命令に熱が高まる、本当にどうかしているのかもしれない。

 銀二郎は、言われた通りパーカーとズボンを脱いだ。布が擦れる感覚すらも敏感に感じてしまう。

「あ、パンツは履いたまんまで良いよ」

「えっ、でも︙僕、今日はパンツ履いてるのしかないよっ」

「、、だめ?ぎんじろー︙」

 こういう時、ばかり蓮は銀二郎を下の名前で呼ぶ・・・。ずるい。

「︙わかった」
 
 銀二郎の返事に蓮が微笑む、蓮の出す、ほのかな甘味に女達はもちろん、銀二郎も溺れていく。セックスのときだけは、蓮はまるで別人のように優しくなる。最中の命令は媚薬の役割を果たしているだけで、けして蔑むような高圧さはない。


「四つん這いになって」

 銀二郎は言われた通り四つん這いになる。いつものように自ら腰を高く上げた、羞恥心よりも興奮が勝るようになってからは自然とできるようになっていた。
 
「んっ︙!」

 銀二郎の身体がビクッと跳ねる。

 蓮が布の上から銀二郎の後蕾を撫でたのだ、それだけで快楽を知るそこはヒクヒクと疼く。指が円を描くように蕾の形をなぞる、解すときに使ったローションが溢れ出してきた。
 
「ははっ、ぎんじろーのここ、女の子みたいに濡れてる。」

 恋する人に恥部を見られ、思い出した羞恥心に涙が滲む。蓮は時々、言葉で銀二郎を苛めるのだ、それを喜んでしまうのだから恋は盲目。溢れ出したローションで布に染みをつくる。

「パンツ越しにローションで糸引いてる」

 ...ッ!

 撫でられただけなのに、大きく腫れて期待する前に蓮が手を伸ばす。

「んぅっ︙!」

 布の上から、ゆっくりと焦らすように擦られていく。反り立った先から蜜が出て、灰色の布が淡く色づき、濡れたのを目立たせる。

「やっ、やだ︙蓮くんっ!もう、パンツ脱がせてっ」

「だーめ」

 そう言って、蓮は擦るスピードを上げた。

「あっ...あっ...パンツ、汚れちゃっ...!」

「汚せば?」

「だめっ...だめ!、、や...んっ...ぁあああっ!!」
 パンツの中に粘液による生ぬるさと気持ち悪さが広がった。

 どうしよ、僕、今日...。

 じわじわと目頭が熱くなっていく。快楽と羞恥心、どうしたら良いか分からない混乱で視界は完全に水の中だ。

「あーあ。パンツ、汚れちゃったな」

 蓮の一言で銀二郎の涙が溢れ流れていく。言葉が、どうしようもない現実を無理矢理に理解させる。

「ぅう...グスッ...、いじわる、、」

「あー、ごめんごめん。」
 と、蓮は銀二郎の着ていた服で、頬をポロポロ伝う涙を拭ってやった。

「ほら、ご褒美に弄ってやるから」

 そう言って蓮は、パンツの隙間から直接、蕾に触れる。
 ぬぷっ...、ゆっくりと長い指が入り込んできた。探るように動いていた指が、腫れた弱い所を見つけた。

「んひぃっ!」ビリビリとした快楽に飲まれる。ぐちゅくちゅと卑猥な音を立てて、中に刺激を与えていく。

「んっ、ん...あっ、やっ、やだぁ..またっ」

「んー?またイクの?」
 銀二郎の耳元で囁きながら、腫れた前立腺をぐりぐりと押した。

「いぁっ...イっちゃうぁっ!」 

「良いよ。ほら、イケ」

「イクっ...!!イクぅぁっぁあ///」
 中だけでイっちゃった・・・僕、男なのに。なんてことをぼーと考えていると、メスイキ上手くなったじゃん、と蓮が呟いた。その言葉に、快楽の余韻が甘イキさせる。
 
「じゃあ。次、俺の番」
 そう言われた途端、欲しくて仕方がなかったものが、後ろに触れた。


「・・・・・・ッッッ!?」

 あまりに、一気に入ってきた質量に声がでない。息つく間もなく、蓮の腰はゆるゆると動き出した。

「ぁあっ///あっ、うっ...うぅん...//」

 パチュッ、パンッ、、ぐちゅっ、、
 肌のぶつかる卑猥な音がホテルの部屋に響く。頭の中からも犯されるみたいだ。

「あ゛...あ゛...あああっ、うあっあっ!あ!」

 気持ちよすぎて・・・声が、、止まらない、っ

「お前、声でか過ぎっ」
「ごっ、ごめんらさぃぃいっっ!!」
 

「くっ...」
 蓮くんが声を漏らすと同時に体内に温もりを感じた。それは、自分の腹の中には残されず、袋の中に閉じ込められる。

 蓮くん、いつもゴムを付けちゃうから、ちょっと残念だ...。

「はー、スッキリした。次はもっと早く来いよ」


 またがあるんだ...嬉しい。

 スッキリしたらしい蓮くんはシャワーを浴びて、さっさと帰ってしまった。

 銀二郎はホテル代を払い、また大学に戻った。ホテル代は自分を抱いてくれた“お礼”として、いつも銀二郎が出している。

 今日も、気持ち良かったな。



 時々、虚しくなることもある。自分だけを見てくれたら、どんなに良いかと。
 でも、そんな高望みしちゃいけない。分かってる、僕みたいな男を抱いてくれるだけでありがたいことなんだ。

 僕みたいな人間にとって、本当に好きな人に抱いてもらえる、なんて奇跡なんだ・・・。


 僕も、いつかは“ちゃんとした恋人”を作りたいと思う。でも今はまだ、蓮くんが抱いてくれる間までは、僕にまた好きな人ができるまでは、このままの関係でいさせてほしい。

 どうか、神様、蓮くんが僕に飽きませんように。


 いつもそう銀二郎は心の中で祈った。

 
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