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男だらけの異世界転生〜幼少期編〜
フィアンセ様とのお茶会!
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ついにこの日がやってきてしまった。
そう、王子様とのお茶会である。
王城の離れの庭に呼び出され、俺はチビチビとお茶を飲む。
まるで絵本の中から出てきたような王子様。
金髪と碧の瞳、長いまつ毛…。
王子様は終始無言で静かな時間が続いていた。
つい数時間前のこと。
俺は、ベェルちゃんに念入りに聞き込み調査を行った。
この国の第一皇太子、ウェルギリウス・ハールオンについて。
「王子様ってどんな感じ? 前回、俺、王子様と何を話してた?」
「…そうですね、前回はフランドール様がドレスの話や装飾品のご自慢などを、それから皇太子殿下を褒めたり。ああ、そういえば途中で皇太子殿下が庭を歩きはじめ、それをフランドール様が追い、そのまま外に出てまんまと馬車に乗せられておりましたね。」
「ま、マジかぁ。」
なんか、それはそれで可哀想だな。
フランドール。
「その前のお茶会は他貴族のご令息などもお集まりになり、皇太子殿下は最初こそエスコートをしておりましたが、その後はフランドール様を放置。他のご令息と共に部屋へ戻ってしまいましたね。」
「なんか…、俺…、可哀想じゃない?」
「まぁ、フランドール様もしつこくし過ぎたところもありましたし、皇太子殿下を横に引き寄せ過剰に自慢をなさっておりましたから、仕方ありません。」
「そ、それは、そうだな。」
「しかし今回は二人きりです。私も一応お側に付きますから、ご安心ください。」
そう言っていた、ベェルシード。
話題が全然わからん…! 10歳の子どもって何を話すんだ?!と困り果てた俺は縋るようにベェルを見た。
助けてくれ、ベェル!
目配せを送るが、ベェルシードはまさかの知らんぷり。
なんでだっ!
さては、ベェルちゃんもどうしたら良いのか分からないんだな?
しかし俺の方が大人だ、ここは自力で何とかするしかない。
「あ、あのぅ…、ウェルギリウス様?」
王子様って感じの金髪。
さすがは攻略対象、顔が整っている。
10歳にして皇太子としての風格のある。
冷たい視線には俺でもゾクっとくるものがある。
「き、今日は、良い、お天気ですね…ぇ…へへへ。」
なんつーつまらない会話!
馬鹿か俺は!?
ほら案の定、王子様が冷たい目をしてる!
「お、オイシイなぁ…、このケーキ。」
そう言うと、王子の視線が少し動いた。
けれど、その後に小さくため息を吐かれる。
「その割には減っていないようだが?」
ギクッ!
う、だってこのケーキ甘すぎて…。
俺、甘いの苦手だからなぁ。
生クリームでちょっと胸焼けもするし。
お茶ばかり啜ってしまうのは仕方がない。
「おいしいですっ、おいしい! おいしい!」
「はっ、胡散臭い。お前の嘘には飽きている。」
くっ、くぅ…。
なかなかキツめの評価だ。
「すみません…、甘いもの本当は得意じゃなくて。」
「次からは甘味でないものを出せと? それは命令か? 皇太子である、このオレに。」
「い、いえいえいえ! 違います!」
怖い、この10歳児怖すぎる。
中身は俺の方が大人なのに、もう負けそう。
「それに、なんだその髪は? 自慢の髪を切ってでもオレの気を引かせたいのか? 婿のような格好をしてまで…、本当に手段を選ばないんだな。」
手段を選ばない、だなんて人聞きの悪い! とは言えずぐっと押し黙る。子どものくせに、結構言うじゃんか。というか、一応ちゃんと反応はくれるんだな…。フランドールなら、似合ってないと言われても喜びそうだが。
「随分と背も伸びたな。どうするんだ? 華奢でない男など触れる気にもなれん。お前なんて、その身と黒髪だけが取り柄だろう? ああ、あとはその可憐と噂の顔か?」
「は、ははは。そう、ですね~。」
相手は子ども、相手は王子!
ムキになるな。
笑って聞き流せばいい。
「オレは、お前の見て呉れなどちっとも興味がないがな。なんなら、お前のその目がオレは嫌いだ。お前のその吊り上がった目と目が合うと苛立ちを感じる。内面的にも惹かれない。全く父上は何故こんな馬鹿とこのオレを婚約させたのか…。」
「………。」
「まぁ良い。お前はオレの子さえ作り出せれば、それで良いんだ。良いか? お前はただのお飾りだ。変なことをして、オレの評判が下がるような真似はするな。お前が良い子にしているというのなら正妻にするのは気が進まないが…、発散くらいには使ってやる。」
俺は我慢ができず、ついに椅子から立ち上がった。さっきまで慎ましげにおしとやかに座っていたが、段々腹が立って、無意識貧乏ゆすりをはじめてしまっていた。いくら相手が子どもだろうと王子だろうと、こんなに侮辱されては俺も黙っちゃいられない。
もう無理だ。
俺には我慢できない。
なんなんだ、このクソガキは…?
「そりゃ、ありがたいですね。
でも、別に正妻にしてくれなくたって俺は結構ですよ?」
そう、王子様とのお茶会である。
王城の離れの庭に呼び出され、俺はチビチビとお茶を飲む。
まるで絵本の中から出てきたような王子様。
金髪と碧の瞳、長いまつ毛…。
王子様は終始無言で静かな時間が続いていた。
つい数時間前のこと。
俺は、ベェルちゃんに念入りに聞き込み調査を行った。
この国の第一皇太子、ウェルギリウス・ハールオンについて。
「王子様ってどんな感じ? 前回、俺、王子様と何を話してた?」
「…そうですね、前回はフランドール様がドレスの話や装飾品のご自慢などを、それから皇太子殿下を褒めたり。ああ、そういえば途中で皇太子殿下が庭を歩きはじめ、それをフランドール様が追い、そのまま外に出てまんまと馬車に乗せられておりましたね。」
「ま、マジかぁ。」
なんか、それはそれで可哀想だな。
フランドール。
「その前のお茶会は他貴族のご令息などもお集まりになり、皇太子殿下は最初こそエスコートをしておりましたが、その後はフランドール様を放置。他のご令息と共に部屋へ戻ってしまいましたね。」
「なんか…、俺…、可哀想じゃない?」
「まぁ、フランドール様もしつこくし過ぎたところもありましたし、皇太子殿下を横に引き寄せ過剰に自慢をなさっておりましたから、仕方ありません。」
「そ、それは、そうだな。」
「しかし今回は二人きりです。私も一応お側に付きますから、ご安心ください。」
そう言っていた、ベェルシード。
話題が全然わからん…! 10歳の子どもって何を話すんだ?!と困り果てた俺は縋るようにベェルを見た。
助けてくれ、ベェル!
目配せを送るが、ベェルシードはまさかの知らんぷり。
なんでだっ!
さては、ベェルちゃんもどうしたら良いのか分からないんだな?
しかし俺の方が大人だ、ここは自力で何とかするしかない。
「あ、あのぅ…、ウェルギリウス様?」
王子様って感じの金髪。
さすがは攻略対象、顔が整っている。
10歳にして皇太子としての風格のある。
冷たい視線には俺でもゾクっとくるものがある。
「き、今日は、良い、お天気ですね…ぇ…へへへ。」
なんつーつまらない会話!
馬鹿か俺は!?
ほら案の定、王子様が冷たい目をしてる!
「お、オイシイなぁ…、このケーキ。」
そう言うと、王子の視線が少し動いた。
けれど、その後に小さくため息を吐かれる。
「その割には減っていないようだが?」
ギクッ!
う、だってこのケーキ甘すぎて…。
俺、甘いの苦手だからなぁ。
生クリームでちょっと胸焼けもするし。
お茶ばかり啜ってしまうのは仕方がない。
「おいしいですっ、おいしい! おいしい!」
「はっ、胡散臭い。お前の嘘には飽きている。」
くっ、くぅ…。
なかなかキツめの評価だ。
「すみません…、甘いもの本当は得意じゃなくて。」
「次からは甘味でないものを出せと? それは命令か? 皇太子である、このオレに。」
「い、いえいえいえ! 違います!」
怖い、この10歳児怖すぎる。
中身は俺の方が大人なのに、もう負けそう。
「それに、なんだその髪は? 自慢の髪を切ってでもオレの気を引かせたいのか? 婿のような格好をしてまで…、本当に手段を選ばないんだな。」
手段を選ばない、だなんて人聞きの悪い! とは言えずぐっと押し黙る。子どものくせに、結構言うじゃんか。というか、一応ちゃんと反応はくれるんだな…。フランドールなら、似合ってないと言われても喜びそうだが。
「随分と背も伸びたな。どうするんだ? 華奢でない男など触れる気にもなれん。お前なんて、その身と黒髪だけが取り柄だろう? ああ、あとはその可憐と噂の顔か?」
「は、ははは。そう、ですね~。」
相手は子ども、相手は王子!
ムキになるな。
笑って聞き流せばいい。
「オレは、お前の見て呉れなどちっとも興味がないがな。なんなら、お前のその目がオレは嫌いだ。お前のその吊り上がった目と目が合うと苛立ちを感じる。内面的にも惹かれない。全く父上は何故こんな馬鹿とこのオレを婚約させたのか…。」
「………。」
「まぁ良い。お前はオレの子さえ作り出せれば、それで良いんだ。良いか? お前はただのお飾りだ。変なことをして、オレの評判が下がるような真似はするな。お前が良い子にしているというのなら正妻にするのは気が進まないが…、発散くらいには使ってやる。」
俺は我慢ができず、ついに椅子から立ち上がった。さっきまで慎ましげにおしとやかに座っていたが、段々腹が立って、無意識貧乏ゆすりをはじめてしまっていた。いくら相手が子どもだろうと王子だろうと、こんなに侮辱されては俺も黙っちゃいられない。
もう無理だ。
俺には我慢できない。
なんなんだ、このクソガキは…?
「そりゃ、ありがたいですね。
でも、別に正妻にしてくれなくたって俺は結構ですよ?」
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