昼休みは紙月堂で――元会社員と元同僚がつくる、ひと息つける文具店

乾為天女

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第25話 咲亜矢の線引き

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 夜の住宅街で、一軒だけ、窓に白い光が浮かんでいた。


 マンションの一室。机の上には、ノートパソコンと液晶タブレット、飲みかけのマグカップが三つ。椅子には、ジャージ姿の咲亜矢が、片足を抱え込むように座っている。


 「……よし。これで一枚」


 画面の中で、商店街のポスター用データが保存の音を立てた。星見商店街のロゴと、紙月堂のイラスト。夕暮れ色のグラデーションの上に、「働く人のひと息時間」の文字が乗っている。


 時刻は、すでに深夜一時を回っていた。


 そこへ、パソコンの画面の隅に、小さな通知がぽん、と出た。


 『件名:商業施設サイン計画のデザイン依頼のご相談』


 「ん?」


 咲亜矢は、眠気でぼんやりした目をこすりながら、メールを開いた。


 都心の大型複合施設の運営会社からの依頼だった。リニューアルオープンに合わせて、館内の案内サインやフロアマップ、入口の大きな看板まで、一式のデザインを任せたいという。


 『以前手がけていただいたポスターの色使いと線の印象が社内で好評で、ぜひご相談できればと考えております』


 「……あー」


 記憶のどこかに、確かにそんな仕事があった。フリーランスになりたての頃、知り合いのつてで受けた案件だ。あのときの担当者が、まだ覚えていてくれたらしい。


 『内容:館内サイン40点前後、入口看板2種、フロアマップ3案』
 『納期:一か月半後』
 『予算:〇〇万円(税別)』


 数字の部分だけ、やけにくっきりと目に飛び込んでくる。


 「……この金額、手首何本分だろう」


 思わず口から出たのは、寝ぼけた独り言だった。


 家賃、光熱費、年金、保険。毎月の支出が頭の中を行進する。


 これを全部受けたら、しばらくは生活の心配をせずに済むかもしれない。


 ただし。


 メールの下の方には、「できれば今後も継続的にお願いしたい」と添えられていた。


 「今でも、紙月堂のポスターと、商店街の看板と、他の店のロゴで、だいぶ手首パンパンなんだけどなあ」


 咲亜矢は、右手首をぐるぐる回した。


 骨のきしむような感覚が、わずかに走る。


 机の端には、少し前に医者からもらったサポーターが置かれていた。あまり頼りたくなくて、つい放置していたが、目に入るたびに、そこにある理由を思い出させてくる。


 「全部受けたら、一か月半、紙月堂の仕事、夜中しか触れないな」


 紙の切れ端を一枚引き寄せて、ざっと計算してみる。


 サイン一つにかかる時間を、ラフから入稿データまででざっくり三時間だとする。四十点なら百二十時間。フロアマップと看板を入れれば、もっと増える。


 「一日八時間として……」


 寝不足の頭で掛け算をして、すぐにやめる。


 「八時間も、毎日デザインだけに集中できるわけないし」


 メールの文面をもう一度読み返す。


 いい話なのは分かる。ここで大きな取引先を持てば、仕事の幅も広がるだろう。


 でも、その間、紙月堂のポスターは? 商店街の小さな看板は? 「手首の在庫」をこれ以上削って、全部抱えることはできるのか。


 机の端に置いてある、紙月堂のラフが目に入った。


 来月から始める予定の「朝のひと息セット」の告知デザイン。コーヒーカップとノートのイラストに、まだ文字の配置が決まっていない。


 「……紙月堂の分、減らすって選択肢もあるけど」


 口に出してみると、その言葉は、自分の耳にだけ少し苦く響いた。


 彼らの顔が浮かぶ。悠之介が、シャッターを半分だけ開けて帳簿に向かっている姿。紗菜が、同時に三つの段取りを頭の中で組み立てている横顔。臣全が、デザインの話になると、やたら身を乗り出してくるところ。


 そして、家賃交渉の場で、「ポスターの枚数を減らしてでも、この店の看板は続けたい」と笑っていた自分の声も。


 「……体は二つに増えないしなあ」


 咲亜矢は、椅子の背もたれに体を預けた。


 天井の蛍光灯を見上げる。目を閉じると、昼間の紙月堂の光景が浮かぶ。ガラス戸越しの商店街の人の流れ。カウンターの向こうで、コーヒーの香りがふわりと広がる瞬間。


 「とりあえず、今日は寝よう」


 決断だけが先送りされたまま、パソコンを閉じた。


 机の上のマグカップは、一つだけ中身が半分残っていた。寝る前に飲むには、少し冷えすぎている。


 ◇


 翌日。


 昼過ぎの紙月堂の店内は、午前中の忙しさが一段落し、ゆるやかな時間が流れていた。


 窓際の席では、スーツ姿の会社員が、「今日のここまでメモ」に何かを書き込んでいる。カウンター席には、ノートパソコンを開いている人が一人。全体的に、紙とキーボードの音が控えめに響いている。


 そんな静けさの中、ガラス戸が勢いよく開いた。


 「お邪魔します」


 咲亜矢が片手で扉を押さえ、もう片方の手で、大きめの封筒を抱えている。いつもより少し動きがぎこちない。


 「いらっしゃいませ。右手首、今日の在庫は?」


 紗菜が、カウンター越しに冗談めかして声をかけた。


 「三割減です」


 咲亜矢は、苦笑しながら手首をさすった。


 「今日は、相談に来ました」


 「珍しいな。データ入稿の愚痴じゃなくて、相談?」


 悠之介が、コーヒーマシンの前から顔を上げる。


 「愚痴半分、相談半分です」


 咲亜矢は、窓際の席に封筒を置き、イスに腰を下ろした。


 「何かあった?」


 臣全が、いつの間にか隣の席に陣取っている。手には、自分の店の新しいロゴ案が描かれたノート。


 「昨日の夜、こんなメールが来まして」


 咲亜矢は、スマホを取り出し、画面を三人の前に差し出した。


 大型商業施設からのサイン計画の依頼。予算と納期。メールの文面を見た瞬間、臣全の目が露骨に輝く。


 「うお……これ、全部やったら、ビル一棟に咲亜矢さんの線が溢れますよ」


 「そんなホラー表現やめて」


 「いや、いい意味で!」


 臣全は、手をばたばたさせながら言い直した。


 「でも、これ受けたら、かなり安心じゃないですか? 今後の仕事的にも」


 「そう。安心、『だけ』なら」


 咲亜矢は、スマホを伏せた。


 「ただ、全部受けたら、たぶん紙月堂と商店街の仕事を減らさないと、手首どころか背中までダメになるんですよね」


 「今でも、結構ギリギリなんですか?」


 靖治が、お盆を持ったまま会話に加わる。運んでいたカップをテーブルにそっと置き、控えめにイスの端に座った。


 「ギリギリ、でした。昨日の夜、タイムスケジュールを書いたら、寝る時間が、謎の自動削除に遭いまして」


 「またタイムスケジュール……」


 靖治の顔に、前回の「逃げ場のないシフト」の記憶がよぎる。


 「紙に書くと、現実が寄ってくるんですよね。『ここ、埋まってませんけど?』って」


 「で、どうするつもりなんだ?」


 悠之介が、カウンターからコーヒーを一杯持ってきて、咲亜矢の前に置いた。


 「全部受けるか、全部断るか。その二択じゃないはずだろ」


 「二択にしちゃうと、分かりやすいんですけどね」


 咲亜矢は、スプーンでコーヒーを一度だけかき混ぜた。


 「『こっちを取るなら、あっちは捨てる』って」


 「でも本当は、そんなきれいに切れる話じゃない」


 紗菜が、隣の席に座り直す。


 「このメンバー、だいたい皆そうじゃないですか。会社を辞めたけど、前の仕事のやり方を全部捨てたわけでもないし」


 「それはそうだけど」


 「で、本音は?」


 悠之介が、ストレートに尋ねる。


 「この商業施設の仕事、どうしたい?」


 「……やってみたいです」


 少しの沈黙のあとで、咲亜矢は素直に答えた。


 「自分の線が、いろんな人の目に触れる場所に並ぶっていうのは、やっぱり、心が揺れます。それに、生活も、もう少し楽にしたいですし」


 「うん」


 「ただ、紙月堂の仕事も、商店街の看板も、本当に減らしたいわけじゃないんです。夜中に、『あの店の看板は、ここが好き』って思い出すくらいには」


 自分で言って照れたのか、咲亜矢はカップの縁を指先でなぞった。


 「じゃあ、『ここからここまで』って線を引くしかないですね」


 紗菜が、テーブルの上に「今日のここまでメモ」の小さな紙を一枚置いた。


 「何に対して?」


 「時間と枚数と、『自分の元気』に対して」


 ペンを取り出し、紙の中央に一本の線を引く。


 「まず、『夜の作業は何時まで』って決めませんか?」


 「え、門限?」


 「はい。自分の手首と背中に対する門限」


 不思議な言い方だったが、咲亜矢は思わず笑った。


 「……じゃあ、二十三時で」


 「一時間早くしてみませんか」


 悠之介が、横から口を挟む。


 「今まで二十四時まで握ってたんだろ。ちょっと減らすなら、まず一時間」


 「二十三時で、机からペンとペンタブのペンを全部離す」


 紗菜が、メモにさらさらと書き込む。


 「次に、『一週間に引く線の枚数の上限』」


 「線の枚数?」


 「看板やポスターの本数じゃなくて、『ラフから入稿まで仕上げる案件の数』ですね」


 咲亜矢は、少し考えてから指を折り始めた。


 「紙月堂と商店街の分で、だいたい週に三件。そこに商業施設のサインを加えるなら……」


 「週に、何件なら『終わったあとに人間に戻れる』?」


 「表現!」


 突っ込みながらも、咲亜矢は、真剣に天井を見上げた。


 「四件まで、ですかね。それ以上は、頭の中の線がごちゃごちゃになって、全部同じ顔になる気がします」


 「じゃあ、『週四件まで』」


 紗菜がメモに書き足す。


 「そのうち一件は、紙月堂か商店街のどこかの看板で固定」


 「固定?」


 「ここを先に枠として押さえておけば、『大口が入ったから、小さな店の看板を後回し』っていう発想になりにくいです」


 言われて、咲亜矢は、少し目を見開いた。


 「……先に夜ご飯の時間を入れておく、みたいな」


 「そうそう」


 靖治が、うんうんと頷く。


 「僕もタイムテーブル書いたとき、『睡眠先に塗れ』って言われました」


 「睡眠と紙月堂が同じ扱いなの、ちょっと照れますね」


 咲亜矢は、笑いながらも、どこかうれしそうだ。


 「最後に、『一年後も続けていたいかどうか』の問い」


 紗菜が、メモの下の方に一行足す。


 「このサインの仕事を全力でやったあと、同じ働き方を一年続けたいかどうか」


 「一年……」


 咲亜矢は、スマホのカレンダーを思い浮かべた。そこにぎっしり書き込まれた納期の文字列を、想像上で倍速で流してみる。


 途中で、手首がじんじんと熱を持つ感覚が蘇ってきた。


 「無理です」


 きっぱりと言い切った。


 「半年もたないと思います。だから、『全部受けて、この働き方を一年続ける』は、ナシですね」


 「じゃあ、『受け方を変える』か、『部分的にお断りする』か」


 悠之介が、淡々とまとめる。


 「例えば?」


 「サインの種類を絞るとか。『館内の全部』じゃなくて、『入口の看板と、フロアマップだけ』とか」


 「そんな都合のいいこと、言っていいんですかね」


 「言うだけならタダです」


 臣全が、真顔で言った。


 「うちも、商店街の企画で、『ここまではできるけど、ここから先は別の人に頼む』って、よくやりますよ」


 「そのとき、『できない』って言うより、『ここまでなら得意です』って言った方が、案外すんなり通るんですよね」


 亜友が、トレーを抱えたまま話に加わった。


 「羊羹も、『何本切ってください』って頼まれたとき、『一人で丁寧に切れる本数はここまでです』って先に言うと、皆さん納得してくれます」


 「……そうか」


 咲亜矢は、自分の膝の上で手を握りしめた。


 「『全部できます』って顔をするのが、仕事だと思ってましたけど」


 「『ここから先は、別の人の方がちゃんとできる』って線を引くのも、仕事じゃないですかね」


 紗菜が、穏やかに言う。


 「その線のおかげで、紙月堂も、楽になっているところがあると思います」


 「例えば?」


 「ポスターの枚数を『手首一本で運べる数』にしてくれたの、あれ」


 悠之介が、即答した。


 「こっちが頼む前に、『この枚数以上は別の印刷所にお願いした方がいいです』って言ってくれただろ」


 「ああ、あれ」


 あのときの自分の決断が、少し違う角度で返ってきた。


 「じゃあ、今回も、『手首一本で持てる範囲』を決める、ってことですかね」


 「そういうこと」


 紗菜が笑う。


 「このメモ、写メをとって、相手の担当者に相談してみたらどうでしょう。『全部は難しいけど、ここまでなら責任を持ってできます』って」


 咲亜矢は、目の前の小さな紙を見下ろした。


 そこには、「二十二時でペンを置く」「週四件まで」「うち一件は紙月堂・商店街用」「一年後も続けられる受け方にする」という、自分で書いた線が並んでいる。


 「……これ、ただのメモなのに、急に怖くなってきました」


 「怖いのは、『線を引く前』ですよ」


 悠之介が、淡々と言った。


 「一回引いたら、あとは『守るかどうか』だけだ」


 「守れなかったら?」


 「そのときは、またここで書き直せばいい」


 カウンターの端には、いつもの「今日のここまでメモ」の束が積まれている。


 「線って、二度引いたらいけないなんて決まり、どこにもないからな」


 「……そうですね」


 咲亜矢は、小さく笑った。


 「じゃあ、宣言しておきます」


 姿勢を正し、背筋を伸ばす。


 「紙月堂と商店街の看板は、『週に一件は必ずやる枠』として先に押さえます。その代わり、商業施設の仕事は、『入口の看板とフロアマップだけ』に絞って相談してみます」


 「よし」


 臣全が、小さくガッツポーズをした。


 「ビル一棟全部じゃなくても、入口と地図が咲亜矢さんの線なら、十分強いですよ」


 「そうかな」


 「入口で迷ってる人、みんな見ますからね、看板と地図」


 靖治が、控えめに補足する。


 「そこに名前は出ないかもしれないけど、『あの線、好きだな』って思う人、絶対います」


 「……それ、うれしいですね」


 咲亜矢の表情が、少しだけ柔らかくなった。


 「じゃあ、これが私の線引きです」


 テーブルの上のメモを、指先でとん、と軽く叩く。


 「数は減らすけど、この店と商店街の仕事は続けます。たとえ大きな話が来ても、『ここまで』は手放さないって」


 「その宣言、ノートに書いておきましょうか」


 紗菜が、カウンターの奥から「ひと息メモ」のノートを持ってきた。


 空いているページの端に、咲亜矢は短く書き込む。


 『大きな看板が増えても、紙月堂のポスターは残す』


 「うん。いいですね」


 悠之介が、それをちらりと見て頷いた。


 「これで、どれだけ忙しくなっても、『あのときそう言ったぞ』って、誰かがここで思い出せる」


 「怖いような、心強いような」


 咲亜矢は、苦笑しながらノートを閉じた。


 「じゃあ、とりあえず今日は、ここまで」


 窓の外を見ると、商店街のアーケードに、夕方の明かりが灯り始めていた。


 「夜の作業は二十二時まで。……あ、宣言したからには、帰りにカフェイン少なめの飲み物買って帰らなきゃ」


 「うちで、カフェイン少なめのまかない出しましょうか」


 紗菜が、いたずらっぽく笑う。


 「『線引き宣言した人限定ブレンド』とか」


 「それ、名前だけでおなかいっぱいになりますね」


 笑い声が、紙月堂の静かな空気を少しだけ揺らした。


 家賃の返事は、やはりまだ届いていない。


 それでも、今日一つだけはっきりしたのは、この店のポスターと看板を描く手が、「どこまでなら無理をしないか」という自分の線を決めた、ということだった。
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