昼休みは紙月堂で――元会社員と元同僚がつくる、ひと息つける文具店

乾為天女

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第34話 臣全の選挙ポスター

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 星見商店街の掲示板に、白い紙が一枚だけ貼られたのは、まだ風の冷たい朝だった。


 『次期商店街会長 立候補者募集』


 黒々とした文字の下に、小さく日付と受付場所が書かれている。


 「ついに、この季節が来たかあ」


 惣菜屋の奥さんが、コロッケを揚げる手を止めて、掲示板をじっと見る。


 「前の会長さん、もうそんなに長いことやってはったんですね」


 紙月堂の前で看板を出していた悠之介も、その紙を見上げていた。


 商店街会長は、星見商店街の顔だ。お祭りの準備や、見回り、行政とのやり取り。やることは山ほどあるけれど、「困ったときに最初に声をかけられる人」という意味では、誰よりも近い存在でもある。


 「店長、出ちゃえばいいのに」


 隣で黒板にメニューを書いていた靖治が、軽い調子で言う。


 「毎日商店街の真ん中にいるし、紙月堂は相談所みたいなもんだし」


 「いやいや」


 悠之介は、即座に首を振った。


 「うちは、いったん『今日のここまで』を決める場所でありたいからな。会長になると、たぶん『今日のここまで』が毎日延び続ける気がする」


 「それは……たしかに」


 靖治は、すぐに納得したようにうなずいた。


 「じゃあ、誰がいいんでしょうね。惣菜屋さんとか、亜友さんとか」


 「そこで、ひときわ立候補しそうな顔の人がいるだろ」


 悠之介は、視線を少し横に向けた。


 そこには、ポスター用の紙束を抱えた臣全が、きらきらした目で掲示板を見つめている。


 「……これ、絶対いいポスターになる」


 小さくつぶやいたその声は、すでに立候補者のものだった。


 ◇


 「というわけで、立候補します!」


 その日の午後。


 紙月堂の奥の席に集まっていたメンバーの前で、臣全が勢いよく宣言した。


 「星見商店街次期会長候補、デザイナー代表として!」


 「肩書き盛り気味やで」


 惣菜屋の奥さんが、笑いながらツッコミを入れる。


 「でも、向いてるかもしれへんね。ポスター自分で作れるし」


 「そこなんですよ!」


 臣全は、持ってきたスケッチブックをバンとテーブルに置いた。


 「会長選のポスター、どうせなら、見た人がちょっと笑って、それでもちゃんと内容が伝わるやつにしたくて」


 「『ちゃんと内容が伝わる』が一番大事ですよ」


 紗菜が、すかさず釘を刺す。


 「『面白いけど何のポスターか分からない』は、避けたいところです」


 「そこは分かってますって」


 そう言いながらも、スケッチブックの一枚目には、妙にポーズの決まった自分のイラストが描かれていた。


 「背景に星見商店街のアーケードを入れて、『この男、商店街のことを誰よりも知る』みたいなキャッチコピーで」


 「自分で言う?」


 靖治が、じとっとした目で見る。


 「いやいや、『誰よりも』は言い過ぎかな。『そこそこ知る』くらいに」


 「そこそこなら、わざわざ書かんでええわ」


 惣菜屋の奥さんのツッコミに、店内に笑いが広がる。


 「臣全さん」


 紗菜が、笑いながらも真顔に戻った。


 「せっかくポスターを自分で作れるなら、『自分が前に出る』だけじゃなくて、『誰が後ろにいてくれるか』も描けると思うんです」


 「後ろに?」


 「はい」


 紗菜は、スケッチブックの余白に小さく丸を描いた。


 「例えば、『惣菜屋さんが揚げ物を提供してくれる商店街』『亜友堂の灯りがある商店街』『紙月堂で「今日のここまで」が書ける商店街』」


 「会長としてやりたいことを、自分一人の力じゃなくて、『誰と一緒にやるか』の形で見せる、ってことか」


 悠之介も、考え込むように言う。


 「そうです」


 紗菜は、「星見商店街」の四文字を真ん中に書き、その周りに丸をいくつか描き足した。


 「中心に商店街の名前。その周りに、『この人とこの人がいる商店街』っていう小さな丸」


 「それ、ポスターに全部入れるのは、ちょっとごちゃっとしません?」


 臣全が、デザイナーとしての感覚で見直す。


 「全部は無理ですけど、代表して何人かの店主さんの名前を入れるだけでも、『この人一人のポスター』じゃなくなります」


 「名前……」


 臣全の表情が、少しだけ固くなる。


 「他の店主さんの名前を、自分のポスターに?」


 「嫌ですか」


 紗菜が、やわらかく尋ねる。


 「嫌っていうか……」


 臣全は、自分の内側と向き合うように、言葉を探した。


 「この商店街に来たとき、正直、『自分の腕だけでやっていきたい』って思ってたんです」


 かつて、都会のデザイン事務所を辞めて星見商店街に来た日のことを思い出す。


 「何かに巻き込まれるんじゃなくて、自分のペースで仕事したくて。だから、最初はあんまり、他のお店と深く関わらないようにしてたところがあって」


 「最初の頃、よう店の奥で仕事してたもんなあ」


 惣菜屋の奥さんが、懐かしそうに言う。


 「『人見知りです』って言いながら、ポスターだけはやたら派手で」


 「それは覚えてなくていいです」


 臣全は、耳まで赤くする。


 「でも、紙月堂ができてから、なんか、ちょっとずつ変わってきて」


 紙月堂での打ち合わせ、亜友堂の包装紙作り、灯りルートの地図。


 自分の描いた線が、誰かの日常の中に混ざっていく感覚。


 「気づいたら、『この商店街の空気ごと好きかもしれない』って思うようになってたんです」


 「それなら、なおさらじゃないですか」


 紗菜が、静かに言葉を重ねる。


 「『この空気が好きだ』って堂々と言えるポスターにしていいと思います」


 「……たしかに」


 臣全は、スケッチブックを見つめた。


 一枚目に描いた「ポーズの決まった自分」が、急に居心地悪そうに見えてくる。


 「じゃあ、一回、全部描き直します」


 そう言って、一枚目をぱたりと閉じた。


 ◇


 数日後。


 紙月堂の奥のテーブルに、完成版に近いポスター案が並べられた。


 「おお……」


 惣菜屋の奥さんが、思わず声を漏らす。


 ポスターの真ん中には、大きく「星見商店街」と書かれている。その下に、少し小さめの文字で「次期会長候補 臣全」とある。


 背景には、商店街のアーケードのシルエット。その両側には、小さな看板がいくつも描かれていた。


 『惣菜・からあげ 日乃出』
 『和菓子 亜友堂』
 『ノートと珈琲 紙月堂』


 それぞれの店の名前の横に、小さな吹き出しが付いている。


 『「揚げ物待ちの十分を、ちゃんと休む時間にしたい」』
 『「年をとっても通える段差でいてほしい」』
 『「ここで淹れる珈琲が、誰かの今日を区切る一杯であればいい」』


 紙月堂の掲示板に貼られている「ここで何をしたいか」の一行メモが、そのまま引用されていた。


 「これ、私が書いたやつ……」


 亜友は、自分の一行を見つけて、胸に手を当てた。


 「『年をとっても通える段差でいてほしい』って、そんなに大きなことじゃないと思ってたんですけど」


 「大きいですよ」


 臣全が、はっきりと言う。


 「僕、この一行見たとき、『あ、星見商店街って、年をとっても歩ける場所でいたいんだな』って思って。そんな商店街の会長になりたいなって、正直に思いましたし」


 「……ズルいなあ」


 惣菜屋の奥さんが、笑いながらも目を潤ませる。


 「そんな言い方されたら、応援せんわけにはいかへんやん」


 「応援、お願いします」


 臣全は、照れくさそうに頭を下げた。


 「ここに描いた一行は、僕が勝手に選んだわけじゃなくて、みんなが自分で書いたやつだから。『背中を押してくれた言葉』として使わせてほしくて」


 「それを先に言いに来たのがえらい」


 悠之介が、ポスターの端に目を通しながら言う。


 「人の言葉を勝手にポスターにすると、あとで絶対どこかが痛くなるからな」


 「はい。そこは、ちゃんと許可をもらいたくて」


 臣全は、一人一人の顔を見渡した。


 「このポスターに名前と一行を載せさせてもらえるなら、僕は、『この人たちと一緒に会長の仕事をしたい』って、胸張って言えます」


 「……そこまで言うなら、しゃあないなあ」


 惣菜屋の奥さんが、真っ先に頷いた。


 「うちの揚げ物の匂いで、通りを元気にするくらいは協力したるわ」


 「私も、段差のこと、ちゃんと守らなきゃですね」


 亜友も、静かに笑う。


 「『年をとっても通える』って言った以上、自分もちゃんとその未来を想像して、和菓子を作らないと」


 「紙月堂は、何するんですか」


 靖治が、悠之介を見る。


 「相談所?」


 「たぶん、会長の愚痴を聞く役だな」


 悠之介は、苦笑しながらも頷いた。


 「でも、それも含めて、星見商店街の毎日だから。やれる範囲でやるよ」


 「じゃあ、このポスター案で、ほかの店主さんたちにも相談してきます」


 臣全は、何枚かコピーした案をファイルに挟んだ。


 ◇


 しかし、話はすんなりとは運ばなかった。


 「名前を出すのは、ちょっと……」


 時計屋の跡地を見守っている古い文房具店の店主は、申し訳なさそうに首を振った。


 「うちはもう、ほとんど店閉めとるようなもんやしなあ。今さら前に出るのも恥ずかしくて」


 「そんなことないですよ」


 臣全は、すぐに言葉を返す。


 「僕、小さい頃から、文房具屋さんのガラスケース見るの好きだったんです。今も、鍵のかかった引き出しに、宝物みたいにペンが並んでて」


 「それはまあ、昔から変わらんけど」


 「そういう店がある商店街の会長になりたいんです」


 それでも、店主は首を振った。


 「気持ちはうれしいけど、名前は出さんといて。うちの分まで、若い人らが頑張ってくれたらそれでええから」


 同じような反応は、何軒かで繰り返された。


 応援はする。でも、名前は出さないでほしい。


 「名前、一緒に並べてくれたらうれしいんだけどな」


 紙月堂に戻る途中、臣全は、コピーしたポスター案の角を指でつまんで、少し落ち込んだ。


 自分が描きたかったのは、「みんなの名前が並ぶポスター」だった。それが、「何人かの名前が載らないポスター」になっていく現実。


 「でも、断る理由も分かるんですよね」


 紙月堂のカウンターで事情を聞いた紗菜は、しばらく考え込んだ。


 「『前に出たくない』って気持ちも、大切にしたいですし」


 「名前を出さないと、『応援してもらってない』みたいに感じてしまうところもあって」


 臣全は、もやもやした気持ちをそのまま口にした。


 「『名前は出さないけど応援する』って、言葉だけ聞くと、ちょっとさびしいじゃないですか」


 「でも、それ、よく考えると、すごく商店街らしいかもしれませんよ」


 紗菜が、ゆっくりと笑った。


 「『表に出ない灯り』があるからこそ、全体の明るさが保たれている、というか」


 「……詩的にまとめられると弱いなあ」


 臣全は、頭をかいた。


 「じゃあ、ポスターを二枚に分けるのはどうでしょう」


 「二枚?」


 「一枚は、選挙用の正式なポスター」


 紗菜は、紙を一枚取り出した。


 「もう一枚は、『星見商店街のみんなで作る一枚の紙』」


 「みんなで作る?」


 「名前を出していい人も、出したくない人も、『一行だけメッセージを書ける紙』を、紙月堂に置きます」


 カウンター横の「今日のここまでメモ」を指さす。


 「あのノートの、商店街版ですね。『星見商店街会長選 応援メッセージ』」


 「それをどうするんですか」


 「選挙が近づいたら、その紙を縮小コピーして、ポスターの横に貼るんです」


 紗菜は、小さなポスターのイメージを描いた。


 「正式なポスターには、臣全さんの名前と、代表して数人の店主さんの名前だけ」


 「横には、『名前は出さないけれど、応援の言葉を寄せてくれた人たちの一行』が並ぶ、と」


 「はい」


 紗菜の目が、少しだけいたずらっぽく光る。


 「『背中を押してくれた人の存在』を、直接名前で出さなくても、言葉で見せられます」


 「……それ、いいかもしれません」


 臣全の表情が、少しずつ明るくなっていく。


 「名前を出すのは勇気がいるけど、一行だけなら書きやすい人も、きっといますし」


 「『揚げ物待ちの十分快適化に期待』とか、『段差のメンテナンスよろしく』とか」


 惣菜屋の奥さんが、早速内容を考え始める。


 「『夜も怖くないアーケードをお願いします』とか」


 亜友も、一行メモを想像して笑った。


 「『授業で折れた心の修復費、予算に入れてください』」


 靖治の案に、紙月堂がどっと沸く。


 「それ、予算の項目に入れられるかは別として」


 悠之介が、苦笑しながらも頷く。


 「でも、そういう一行が並ぶ紙は、きっといい顔してると思う」


 ◇


 数日後。


 紙月堂のカウンター横に、新しい紙が一枚貼られた。


 『星見商店街会長選 応援一行メッセージ ご自由にどうぞ』


 その下には、細い罫線がいくつも引かれている。


 「……書いていいんですよね?」


 最初にペンを取ったのは、文房具店の店主だった。


 迷いながらも、一行だけ書き込む。


 『鍵のかかった引き出しを、これからも大事にしてくれる商店街であってほしい。』


 「かっこいい……」


 靖治が、思わず感嘆の声を漏らす。


 その一行を皮切りに、商店街のあちこちから、短い言葉が増えていった。


 『揚げたてを待つ人が、笑っていられる通りに。』
 『年をとっても歩ける灯りの下を。』
 『ここで書いたノートの続きが、これからも書けるように。』


 紙は、あっという間に文字で埋まった。


 臣全は、その紙の前に立ちながら、胸の奥がじんと熱くなるのを感じていた。


 「……これ、全部、僕の背中を押してくれてるってことなんですよね」


 「そうですよ」


 隣に立った悠之介が、静かに言う。


 「会長選に落ちても、この紙は残る」


 「落ちる前提ですか」


 「どっちに転んでも、『星見商店街が何を大事にしたいか』が見える紙になるってこと」


 臣全は、紙の端にそっと触れた。


 「じゃあ、ポスターにも、その空気を入れないと」


 彼は、すでに頭の中でデザインを組み立て直していた。


 ◇


 そして、選挙ポスターが実際に掲示された日。


 星見商店街の掲示板には、他の候補者のポスターと並んで、臣全のポスターが貼られていた。


 真ん中に「星見商店街」の四文字。


 その下に、「次期会長候補 臣全」。


 さらに、小さな文字でこう書かれている。


 『この通りで、これからも「今日のここまで」が言えるように。』


 ポスターの横には、縮小コピーされた「応援一行メッセージ」の紙が、そっと添えられていた。


 通りがかった人が、足を止める。


 「なんか、他のポスターと空気が違うな」


 「『今日のここまで』って、あの店のやつやろ?」


 「うちも一行書いたんよ、『唐揚げの匂いを絶やさないで』って」


 それぞれの一行が、ポスターの意味を少しずつ厚くしていく。


 紙月堂のガラス戸の中から、その様子を眺めていた臣全は、ふと「今日のここまでメモ」のページを開いた。


 『会長選に出ることを、「一人でがんばる」から「みんなで支える」に書き換えられた。』


 短くそう書いて、ペンを置く。


 「……結果は、まだ分からないけど」


 つぶやきながら、掲示板のポスターに目を向けた。


 そこには、かつて自分が憧れていた「一人で何とかする顔」ではなく、誰かの言葉を背中に受けた「商店街の一人」としての自分が、静かに立っていた。

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