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第2話「委員会、押し付け合いの昼休み」
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四月十一日、木曜日の昼休み。
桜陽高校の生徒会室前の廊下には、思いがけず人だかりができていた。
「……ここ、こんなに混むもん?」
「委員会の顔合わせ日だからだってさ」
希は購買で買ってきたサンドイッチの包みを指でいじりながら、隣の遥輝に訊いた。
「文化祭実行委員って、普通、二年生がやるんじゃないの?」
「うーん、ここ、ちょっと特殊みたい。なんか、一年生から育成って感じらしいよ。早めに顔を売れってことなのかも」
その横では、すでに他の一年生たちがざわついていた。
「誰がやるの、委員長……」
「押し付け合いだよねー、絶対」
「私、目立つの無理無理。名札つけるだけで緊張する」
「オレ、前科あるから無理」
聞こえる声のどれもが“やりたくない”を前提としていて、それは妙に一体感を生み出していた。
廊下の端では、すでに担当教員らしき女性とクラス代表が、委員候補者名簿を手にして話し込んでいる。
「一応、三クラスから各三人ずつね。計九人。最低でも一人、委員長が必要。あとは副委員長と書記かな」
希はその声を聞きながら、ため息をついた。
(結局、誰かが押し付けられて終わるんだよね。前の学校もそうだった)
委員長にされた女子が泣きながら仕事をこなしていた記憶が、頭をよぎる。
誰も助けようとはせず、「向いてそうだったから」と言って押しつけたあの空気。
希は思わず眉間に皺を寄せた。
「……どうしたの?」
隣からの問いかけに、はっとして顔を上げると、遥輝が心配そうにこちらを見ていた。
「いや……なんでもない」
そのとき、目の前の人だかりがざわついた。
文化祭実行委員として集められた八人が、半ば強引に生徒会室へ誘導される形で中に入っていく。
「いくかー、やれやれ」
遥輝はのんびりと伸びをして、希の背を軽く押す。
希は小さくうなずいて、生徒会室の扉をくぐった。
室内は意外にも広く、壁際には古い金庫や段ボールの山、中央にはテーブルと椅子が並べられていた。
顔ぶれは――やはり見覚えがある。
口元に不敵な笑みを浮かべた男子が一人、スマホを弄りながら座っている。
亮汰だ。初日の自己紹介で「直感しか信じない」などと豪語していた、あの男子。
その横には、髪をゆるくまとめた女子・真緒が、小さな声で誰かと話している。
向かいの椅子には、まっすぐな背筋で座っている眼鏡の男子――優作。
隣にいるのは、スマホを脇に置いたままぼんやり壁を見ている志歩。
さらに、椅子に足をかけて座るやんちゃな男子・俊介。
そのすぐ横には、凛とした雰囲気の女子・百合香が資料に目を通している。
そして、希と遥輝。
これで八人――文化祭実行委員、第一回顔合わせ。
しかし、静寂が訪れる間もなく、代表の男子が苦笑しながら口を開いた。
「じゃ、誰が委員長やるか決めてくれって言われてるんだけど……やりたい人、いる?」
案の定、誰一人として手を挙げない。
沈黙。
椅子の軋む音。
時計の針の音さえ聞こえそうな、気まずい空気。
希は、嫌な既視感を覚えていた。
(またか……)
「……誰もやんないなら、じゃんけんで決めよーぜ」
俊介が足を組み直しながら、軽く笑って言った。
「直感でいくと、こういうのってノリだし」
「じゃんけんで委員長って……」
百合香が眉をひそめた。
「もう少し、責任感ある方法で決めるべきじゃない?」
「おお、マジメな子いたー」
亮汰がにやにやしながら茶化す。
「でもよ、じゃんけんも立派な民主的決定法っしょ? 平等に運任せ、ってやつ」
「バカにしてるでしょ」
志歩が机に突っ伏しながらぼそっと言った。
「最初に決まった人、ぜったい苦労するやつじゃん……パスで」
「ていうか、そもそも委員長って何するんだよ」
真緒が冷静に問いかける。
「役割が不明なまま立候補って、誰もしたくないに決まってる」
テーブルの上には、空っぽの書記用紙と、未記入の構成表がぽつんと置かれていた。
「俺、ルール重視なんで」
優作が手を挙げて口を開いた。
「まず委員長の職務内容と責任範囲を確認しましょう。でないと判断できない」
「それなー。でも、誰がそれ説明すんの?」
亮汰が右隣の真緒を肘でつつく。
「はい、優等生代表、よろしくー」
「なにそれ私? やめて」
真緒が小さく肩をすくめる。
その空気の中で、希はずっと俯いていた。
この流れ、嫌いだ。誰もが他人を見て、自分の責任を回避してる。
だからって、自分が何か言ったところでまた押しつけられるだけ――それが頭をよぎる。
でも、次の瞬間。
「じゃあ、俺やるよ」
その声は、あまりにも自然に響いた。
一斉に視線が動く。
口火を切ったのは、隣に座っていた――遥輝だった。
彼はどこか遠くを見ているような柔らかな表情で、ひょいと手を挙げていた。
「べつに得意ってわけじゃないけど、まあ、苦じゃないし。やりたいって人いないなら、俺がやるよ」
「……なんで?」
希の口から、気づかぬうちに問いがこぼれた。
「ん? うーん、みんな疲れてそうだし、誰かが動けば楽になるかなって」
なんだそれ。
あまりにも軽い。軽すぎて――でも、不思議と嫌悪感はなかった。
「ほんとに? 責任重いと思うよ」
百合香が問い返すと、遥輝は笑ってうなずいた。
「やるって言ったらやるよ。無理だったら、そのとき誰かに助けてもらうし」
その一言に、教室の空気がほんの少し緩んだ。
「……なら、副委員長、決めなきゃね」
真緒が続ける。
「さすがに一人じゃ大変そうだし」
途端、全員の視線が希に集中した。
……え?
「椎名さんがいいんじゃない?」
百合香が穏やかに言った。
「しっかりしてそうだし、遥輝くんとの相性も良さそうだったし」
「うん、横で止める人がいないと、遥輝暴走しそう」
真緒も冗談めかして付け加える。
「……あたし、そういうの――」
やりたくない、と言いかけたとき。
「お願い、希さん。俺、超不安だから」
遥輝が小声で、こちらにだけそう囁いた。
その笑顔は、まるで悪戯っ子のように無防備だった。
希は、ぐっと言葉を飲み込む。
自分だけが逃げるわけにはいかない。
今度は、ちゃんと“助け合える”って信じてみたい。
「……わかった。やるよ、副委員長」
「わーい! よろしく、相棒」
遥輝が、わざとらしくグータッチの手を差し出してきた。
希は、少しだけ躊躇して――それを、そっと返した。
グータッチを交わした直後、室内に小さな拍手が起こった。
気づけば、真緒が手を叩いていた。
「じゃあ、風間くんが委員長、椎名さんが副委員長ってことで決定でいいよね?」
「異議なしっすよー」
俊介が片手を挙げる。
それに続くように、亮汰、志歩、百合香、優作、そして真緒がうなずいた。
「じゃあ、残りの書記や進行係は持ち回りにしよっか。次の会議で割り振ればいいと思うし」
「それでいいと思います」
優作の端的な同意が、妙な説得力を持っていた。
ふと、希は遥輝の横顔を見た。
彼は相変わらず穏やかに笑っていた。
だけど、その目は案外、真面目で――意志を持っていた。
……思ったより、悪くないかもしれない。
自分からは動けなかったけれど、彼が手を差し伸べてくれた。
あの瞬間、自分はようやく少し前へ踏み出せた気がする。
「希さん、ほんとにありがとう」
小声でそう言ってきた遥輝に、希はそっと言い返す。
「次は、あんたがあたしを助けてよね」
「もちろん」
即答した遥輝の笑顔に、またしても希は少しだけ口元を緩めた。
そのとき、廊下のチャイムが鳴った。午後の授業が始まる予鈴だ。
「じゃ、次は来週の放課後ってことで!」
俊介が勢いよく立ち上がる。
「委員長、お前ちゃんと仕切れよなー?」
「え、初手から人任せっていう罠……」
遥輝が苦笑しながら立ち上がると、周囲にも小さな笑いが起こった。
そして、生徒会室の扉が開き、光が差し込む。
まだ始まったばかりの高校生活。
それぞれの距離感は違うけれど、ほんの少しだけ、前へ進んだ気がした。
希は足を踏み出しながら思う。
あの時、手を挙げてくれた遥輝がいてよかったと。
少なくとも今は、そう思える。
(第2話 完)
桜陽高校の生徒会室前の廊下には、思いがけず人だかりができていた。
「……ここ、こんなに混むもん?」
「委員会の顔合わせ日だからだってさ」
希は購買で買ってきたサンドイッチの包みを指でいじりながら、隣の遥輝に訊いた。
「文化祭実行委員って、普通、二年生がやるんじゃないの?」
「うーん、ここ、ちょっと特殊みたい。なんか、一年生から育成って感じらしいよ。早めに顔を売れってことなのかも」
その横では、すでに他の一年生たちがざわついていた。
「誰がやるの、委員長……」
「押し付け合いだよねー、絶対」
「私、目立つの無理無理。名札つけるだけで緊張する」
「オレ、前科あるから無理」
聞こえる声のどれもが“やりたくない”を前提としていて、それは妙に一体感を生み出していた。
廊下の端では、すでに担当教員らしき女性とクラス代表が、委員候補者名簿を手にして話し込んでいる。
「一応、三クラスから各三人ずつね。計九人。最低でも一人、委員長が必要。あとは副委員長と書記かな」
希はその声を聞きながら、ため息をついた。
(結局、誰かが押し付けられて終わるんだよね。前の学校もそうだった)
委員長にされた女子が泣きながら仕事をこなしていた記憶が、頭をよぎる。
誰も助けようとはせず、「向いてそうだったから」と言って押しつけたあの空気。
希は思わず眉間に皺を寄せた。
「……どうしたの?」
隣からの問いかけに、はっとして顔を上げると、遥輝が心配そうにこちらを見ていた。
「いや……なんでもない」
そのとき、目の前の人だかりがざわついた。
文化祭実行委員として集められた八人が、半ば強引に生徒会室へ誘導される形で中に入っていく。
「いくかー、やれやれ」
遥輝はのんびりと伸びをして、希の背を軽く押す。
希は小さくうなずいて、生徒会室の扉をくぐった。
室内は意外にも広く、壁際には古い金庫や段ボールの山、中央にはテーブルと椅子が並べられていた。
顔ぶれは――やはり見覚えがある。
口元に不敵な笑みを浮かべた男子が一人、スマホを弄りながら座っている。
亮汰だ。初日の自己紹介で「直感しか信じない」などと豪語していた、あの男子。
その横には、髪をゆるくまとめた女子・真緒が、小さな声で誰かと話している。
向かいの椅子には、まっすぐな背筋で座っている眼鏡の男子――優作。
隣にいるのは、スマホを脇に置いたままぼんやり壁を見ている志歩。
さらに、椅子に足をかけて座るやんちゃな男子・俊介。
そのすぐ横には、凛とした雰囲気の女子・百合香が資料に目を通している。
そして、希と遥輝。
これで八人――文化祭実行委員、第一回顔合わせ。
しかし、静寂が訪れる間もなく、代表の男子が苦笑しながら口を開いた。
「じゃ、誰が委員長やるか決めてくれって言われてるんだけど……やりたい人、いる?」
案の定、誰一人として手を挙げない。
沈黙。
椅子の軋む音。
時計の針の音さえ聞こえそうな、気まずい空気。
希は、嫌な既視感を覚えていた。
(またか……)
「……誰もやんないなら、じゃんけんで決めよーぜ」
俊介が足を組み直しながら、軽く笑って言った。
「直感でいくと、こういうのってノリだし」
「じゃんけんで委員長って……」
百合香が眉をひそめた。
「もう少し、責任感ある方法で決めるべきじゃない?」
「おお、マジメな子いたー」
亮汰がにやにやしながら茶化す。
「でもよ、じゃんけんも立派な民主的決定法っしょ? 平等に運任せ、ってやつ」
「バカにしてるでしょ」
志歩が机に突っ伏しながらぼそっと言った。
「最初に決まった人、ぜったい苦労するやつじゃん……パスで」
「ていうか、そもそも委員長って何するんだよ」
真緒が冷静に問いかける。
「役割が不明なまま立候補って、誰もしたくないに決まってる」
テーブルの上には、空っぽの書記用紙と、未記入の構成表がぽつんと置かれていた。
「俺、ルール重視なんで」
優作が手を挙げて口を開いた。
「まず委員長の職務内容と責任範囲を確認しましょう。でないと判断できない」
「それなー。でも、誰がそれ説明すんの?」
亮汰が右隣の真緒を肘でつつく。
「はい、優等生代表、よろしくー」
「なにそれ私? やめて」
真緒が小さく肩をすくめる。
その空気の中で、希はずっと俯いていた。
この流れ、嫌いだ。誰もが他人を見て、自分の責任を回避してる。
だからって、自分が何か言ったところでまた押しつけられるだけ――それが頭をよぎる。
でも、次の瞬間。
「じゃあ、俺やるよ」
その声は、あまりにも自然に響いた。
一斉に視線が動く。
口火を切ったのは、隣に座っていた――遥輝だった。
彼はどこか遠くを見ているような柔らかな表情で、ひょいと手を挙げていた。
「べつに得意ってわけじゃないけど、まあ、苦じゃないし。やりたいって人いないなら、俺がやるよ」
「……なんで?」
希の口から、気づかぬうちに問いがこぼれた。
「ん? うーん、みんな疲れてそうだし、誰かが動けば楽になるかなって」
なんだそれ。
あまりにも軽い。軽すぎて――でも、不思議と嫌悪感はなかった。
「ほんとに? 責任重いと思うよ」
百合香が問い返すと、遥輝は笑ってうなずいた。
「やるって言ったらやるよ。無理だったら、そのとき誰かに助けてもらうし」
その一言に、教室の空気がほんの少し緩んだ。
「……なら、副委員長、決めなきゃね」
真緒が続ける。
「さすがに一人じゃ大変そうだし」
途端、全員の視線が希に集中した。
……え?
「椎名さんがいいんじゃない?」
百合香が穏やかに言った。
「しっかりしてそうだし、遥輝くんとの相性も良さそうだったし」
「うん、横で止める人がいないと、遥輝暴走しそう」
真緒も冗談めかして付け加える。
「……あたし、そういうの――」
やりたくない、と言いかけたとき。
「お願い、希さん。俺、超不安だから」
遥輝が小声で、こちらにだけそう囁いた。
その笑顔は、まるで悪戯っ子のように無防備だった。
希は、ぐっと言葉を飲み込む。
自分だけが逃げるわけにはいかない。
今度は、ちゃんと“助け合える”って信じてみたい。
「……わかった。やるよ、副委員長」
「わーい! よろしく、相棒」
遥輝が、わざとらしくグータッチの手を差し出してきた。
希は、少しだけ躊躇して――それを、そっと返した。
グータッチを交わした直後、室内に小さな拍手が起こった。
気づけば、真緒が手を叩いていた。
「じゃあ、風間くんが委員長、椎名さんが副委員長ってことで決定でいいよね?」
「異議なしっすよー」
俊介が片手を挙げる。
それに続くように、亮汰、志歩、百合香、優作、そして真緒がうなずいた。
「じゃあ、残りの書記や進行係は持ち回りにしよっか。次の会議で割り振ればいいと思うし」
「それでいいと思います」
優作の端的な同意が、妙な説得力を持っていた。
ふと、希は遥輝の横顔を見た。
彼は相変わらず穏やかに笑っていた。
だけど、その目は案外、真面目で――意志を持っていた。
……思ったより、悪くないかもしれない。
自分からは動けなかったけれど、彼が手を差し伸べてくれた。
あの瞬間、自分はようやく少し前へ踏み出せた気がする。
「希さん、ほんとにありがとう」
小声でそう言ってきた遥輝に、希はそっと言い返す。
「次は、あんたがあたしを助けてよね」
「もちろん」
即答した遥輝の笑顔に、またしても希は少しだけ口元を緩めた。
そのとき、廊下のチャイムが鳴った。午後の授業が始まる予鈴だ。
「じゃ、次は来週の放課後ってことで!」
俊介が勢いよく立ち上がる。
「委員長、お前ちゃんと仕切れよなー?」
「え、初手から人任せっていう罠……」
遥輝が苦笑しながら立ち上がると、周囲にも小さな笑いが起こった。
そして、生徒会室の扉が開き、光が差し込む。
まだ始まったばかりの高校生活。
それぞれの距離感は違うけれど、ほんの少しだけ、前へ進んだ気がした。
希は足を踏み出しながら思う。
あの時、手を挙げてくれた遥輝がいてよかったと。
少なくとも今は、そう思える。
(第2話 完)
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※この物語はフィクションです。作中に登場
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※表紙画像はたろたろ様のフリー画像から
お借りしています。
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