4 / 26
第4話「責任転嫁ゲーム」
しおりを挟む
四月二十四日、水曜日の放課後。
図書館の自習室には、まばらにしか生徒の姿がなかった。
薄いカーテン越しの陽光が机に落ち、ページをめくる音やシャーペンの走る音だけが静かに響いている。
その一角で、志歩は眉をひそめていた。
「……ない、どこにもない」
文化祭実行委員会で使用する備品リストの控え。
それを今日までに確認しておくように言われていたのに、いくら探しても見当たらない。
自分のクリアファイル、ノート、バッグ――全部ひっくり返して探しても、紙一枚がどうしても見つからなかった。
隣では、真緒が気配を察したのか、顔を上げた。
「志歩、どうしたの?」
「……やばい、備品チェックシート。なくしたっぽい」
「え、それ今日中って言ってたよね?」
「うん……わかってるけど、ほんとに記憶にない。入れたと思ったんだけど……」
真緒は自分の机の引き出しを確認しながら、静かに首を振った。
「私のとこにもないなぁ。亮汰が最後に持ってたんじゃなかったっけ? 配ってくれたとき」
「……ああ、そうだっけ」
ちょうどそのとき、スニーカーの足音が自習室に響いた。
軽くドアを開けて現れたのは、他でもない亮汰だった。
イヤホンを片耳にかけたまま、スマホを片手に持ちながら。
「おーっす。なんか探しもん?」
軽い調子で近づいてくる彼に、志歩はストレートに訊いた。
「ねえ、備品の紙、まだ持ってる? 私、どこ探してもないんだけど」
「え? あー、あれ?」
亮汰は人差し指でこめかみをかきながら、少し考える素振りを見せる。
「渡したと思うけどなぁ。志歩に」
「え?」
「いや、たしかさ、あのとき“これ渡すから確認しといて”って言ったよ。ほら、昨日の帰り」
「……え、それ、私聞いてないよ」
「マジ? でも、俺のバッグには入ってないしさー。だからたぶん、渡してると思うんだよね」
亮汰の口調は終始ゆるい。責めるでも、誤魔化すでもなく、ただ“自分は関係ない”という雰囲気を纏っている。
だが、志歩の胸に小さく火が灯った。
「……それって、あたしのせいってこと?」
「いやいや、そういうんじゃなくてー。単に、記憶違いだったらごめんってだけで。
でも、俺のほうにはマジでないし。渡したつもりではあるよ、うん」
「……」
志歩は口を結び、ゆっくりと目を伏せた。
真緒がそれを見て、間に入るように言う。
「志歩、ちょっと一緒に探してみよう。どこかに紛れてるかも」
「……うん」
けれど、胸の内には疑いと苛立ちが残っていた。
亮汰は、自分のミスを誰かに押しつける。責任の境界線を曖昧にして、あくまで“やんわり”と他人を巻き込む。
――まるで、何かあっても自分は無傷でいられるように。
志歩は唇を噛んだ。
このまま黙っていたら、たぶん彼はずっとこの調子で誰かに責任をなすりつけ続ける。
そんな空気が、やけにリアルに感じられた。
志歩は目の前の机に両手を置き、ぐっと息を吸った。
なにか言い返したい気持ちと、言葉が出てこないもどかしさが、心の中でぶつかり合っていた。
そんな志歩の隣で、真緒が静かに動いた。
鞄の中を改めて確認し、さらに図書室の受付カウンターへ足を運ぶ。
「すみません、昨日か今日、A4の紙が一枚、落とし物で届いてませんか?」
カウンターの司書が小さく首を振るのを見て、真緒は戻ってきた。
「なかったって」
「……うん、ありがとう」
志歩は再び鞄の中身をひとつひとつ机の上に出し始めた。
筆箱、ポケットティッシュ、スケジュール帳――そのどれもが整然と入っていた。
失くすような性格じゃない、そう思いたい気持ちが、彼女自身の中にあった。
「さあ、志歩ちゃん、自白の時間だ」
そう言って笑ったのは、亮汰だった。
彼はスマホを指でいじりながら、悪びれた様子もなく言葉を続ける。
「ま、なくしたのは仕方ないって。俺が代わりに書き直してもいいし? ちょっと面倒だけど、しょうがないなーって感じで」
「……ちょっと待って」
志歩の声が、はっきりとした音を持って跳ねた。
その一言で、真緒も、そして廊下にいた他の生徒までもが一瞬動きを止めた。
「何?」
亮汰が片眉を上げる。
「……最初から、あたしのせいって決めつけてるよね」
志歩は、震える指先でペンを握り直す。
声はやや低めだが、明確な芯を帯びていた。
「記憶が曖昧なら、“渡してなかったかも”って言い方だってあるのに。
“渡したと思う”って言って、自分には責任ないみたいに話すの、ずるいと思う」
その場に、静かな緊張が走った。
亮汰は一瞬言葉を失ったように見えたが、すぐに口角を引き上げて言った。
「……そっか。ごめん、気に障った?」
「……ううん、気に障ったんじゃなくて、悔しかった。
あたし、自分のこと面倒くさがりって思ってたけど、それでも雑にはしてない。
ちゃんと真面目にやってたのに、“またか”って思われるの、嫌だった」
その言葉には、真緒も何かを感じ取ったようで、そっと志歩の背中に手を添えた。
「志歩、ちゃんと言えてえらいよ。私も、亮汰くんがもっとはっきり渡した記憶あるかと思ってた」
「俺もなー……もうちょっと自信あったんだけどな」
亮汰は苦笑しながら、肩をすくめた。
「でも、確かに、“思う”って言い方って、ずるいとこあるよな。
俺、責任転嫁するの得意なんだよ。高校入ってから、まだ誰にもバレてなかったのに」
「自慢にならない」
志歩がぼそっと返すと、ふっと笑いが漏れた。
「じゃ、これからは……責任、取る努力、してみる?」
「おー、それ、耳痛いな。でも、志歩に言われるとなんか反省できる気するわ」
亮汰は手を上げ、軽く敬礼のポーズを取った。
志歩も、やや呆れたように息をついて、それでも頬が少しだけ緩んでいた。
その後も結局、備品チェックシートは見つからなかった。
志歩は自分の部屋で書き直しを申し出ようとしたが――
「俺、やるって言ったろ?」
亮汰がそう言って、手にしていたスマホをパタリと閉じた。
「お詫びも兼ねて、俺が今日中に再提出するよ。さすがに、これで責任感アピれるっしょ?」
「……アピるって何」
「見てろって。俺、次回から“ちゃんとした亮汰”になる予定だから」
冗談交じりではあったが、その顔にはほんの少しの誠実さがにじんでいた。
「じゃあ、信じてみる。今だけ」
志歩はそう言って、机の上のペンを片付ける。
その手の動きが、さっきまでより少しだけ軽やかだった。
「志歩って、意外と怖いとこあるよな。キレると芯くるというか」
「……たぶん、言いたいこと溜める癖あるから」
「俺も、口だけで逃げる癖あるから。まあ、お互い様ってことで」
亮汰が笑って言ったその瞬間、自習室の時計が午後五時を告げた。
「じゃ、次の委員会、またよろしくな。……あ、志歩」
「ん?」
「今日、ちょっとカッコよかったよ」
唐突な一言に、志歩は目を見開いた。
次の瞬間、頬がわずかに染まり――
「……それ、今さら取り繕っても遅いから」
ぷいとそっぽを向いて、鞄を手に取った。
「えー、マジ? 褒めたのに?」
「信用しないのも私の癖だから」
そう言いながらも、足取りはどこか軽い。
図書室を出た志歩の背中を、夕陽が優しく照らしていた。
その姿を見送りながら、亮汰は自分のノートを開き、ペンを走らせた。
「さて、“ちゃんとした亮汰”、今日が初日か……」
その口元に、いつもの薄い笑みとは少し違う、ほんの少しだけ誇らしげな表情が浮かんでいた。
(第4話 完)
図書館の自習室には、まばらにしか生徒の姿がなかった。
薄いカーテン越しの陽光が机に落ち、ページをめくる音やシャーペンの走る音だけが静かに響いている。
その一角で、志歩は眉をひそめていた。
「……ない、どこにもない」
文化祭実行委員会で使用する備品リストの控え。
それを今日までに確認しておくように言われていたのに、いくら探しても見当たらない。
自分のクリアファイル、ノート、バッグ――全部ひっくり返して探しても、紙一枚がどうしても見つからなかった。
隣では、真緒が気配を察したのか、顔を上げた。
「志歩、どうしたの?」
「……やばい、備品チェックシート。なくしたっぽい」
「え、それ今日中って言ってたよね?」
「うん……わかってるけど、ほんとに記憶にない。入れたと思ったんだけど……」
真緒は自分の机の引き出しを確認しながら、静かに首を振った。
「私のとこにもないなぁ。亮汰が最後に持ってたんじゃなかったっけ? 配ってくれたとき」
「……ああ、そうだっけ」
ちょうどそのとき、スニーカーの足音が自習室に響いた。
軽くドアを開けて現れたのは、他でもない亮汰だった。
イヤホンを片耳にかけたまま、スマホを片手に持ちながら。
「おーっす。なんか探しもん?」
軽い調子で近づいてくる彼に、志歩はストレートに訊いた。
「ねえ、備品の紙、まだ持ってる? 私、どこ探してもないんだけど」
「え? あー、あれ?」
亮汰は人差し指でこめかみをかきながら、少し考える素振りを見せる。
「渡したと思うけどなぁ。志歩に」
「え?」
「いや、たしかさ、あのとき“これ渡すから確認しといて”って言ったよ。ほら、昨日の帰り」
「……え、それ、私聞いてないよ」
「マジ? でも、俺のバッグには入ってないしさー。だからたぶん、渡してると思うんだよね」
亮汰の口調は終始ゆるい。責めるでも、誤魔化すでもなく、ただ“自分は関係ない”という雰囲気を纏っている。
だが、志歩の胸に小さく火が灯った。
「……それって、あたしのせいってこと?」
「いやいや、そういうんじゃなくてー。単に、記憶違いだったらごめんってだけで。
でも、俺のほうにはマジでないし。渡したつもりではあるよ、うん」
「……」
志歩は口を結び、ゆっくりと目を伏せた。
真緒がそれを見て、間に入るように言う。
「志歩、ちょっと一緒に探してみよう。どこかに紛れてるかも」
「……うん」
けれど、胸の内には疑いと苛立ちが残っていた。
亮汰は、自分のミスを誰かに押しつける。責任の境界線を曖昧にして、あくまで“やんわり”と他人を巻き込む。
――まるで、何かあっても自分は無傷でいられるように。
志歩は唇を噛んだ。
このまま黙っていたら、たぶん彼はずっとこの調子で誰かに責任をなすりつけ続ける。
そんな空気が、やけにリアルに感じられた。
志歩は目の前の机に両手を置き、ぐっと息を吸った。
なにか言い返したい気持ちと、言葉が出てこないもどかしさが、心の中でぶつかり合っていた。
そんな志歩の隣で、真緒が静かに動いた。
鞄の中を改めて確認し、さらに図書室の受付カウンターへ足を運ぶ。
「すみません、昨日か今日、A4の紙が一枚、落とし物で届いてませんか?」
カウンターの司書が小さく首を振るのを見て、真緒は戻ってきた。
「なかったって」
「……うん、ありがとう」
志歩は再び鞄の中身をひとつひとつ机の上に出し始めた。
筆箱、ポケットティッシュ、スケジュール帳――そのどれもが整然と入っていた。
失くすような性格じゃない、そう思いたい気持ちが、彼女自身の中にあった。
「さあ、志歩ちゃん、自白の時間だ」
そう言って笑ったのは、亮汰だった。
彼はスマホを指でいじりながら、悪びれた様子もなく言葉を続ける。
「ま、なくしたのは仕方ないって。俺が代わりに書き直してもいいし? ちょっと面倒だけど、しょうがないなーって感じで」
「……ちょっと待って」
志歩の声が、はっきりとした音を持って跳ねた。
その一言で、真緒も、そして廊下にいた他の生徒までもが一瞬動きを止めた。
「何?」
亮汰が片眉を上げる。
「……最初から、あたしのせいって決めつけてるよね」
志歩は、震える指先でペンを握り直す。
声はやや低めだが、明確な芯を帯びていた。
「記憶が曖昧なら、“渡してなかったかも”って言い方だってあるのに。
“渡したと思う”って言って、自分には責任ないみたいに話すの、ずるいと思う」
その場に、静かな緊張が走った。
亮汰は一瞬言葉を失ったように見えたが、すぐに口角を引き上げて言った。
「……そっか。ごめん、気に障った?」
「……ううん、気に障ったんじゃなくて、悔しかった。
あたし、自分のこと面倒くさがりって思ってたけど、それでも雑にはしてない。
ちゃんと真面目にやってたのに、“またか”って思われるの、嫌だった」
その言葉には、真緒も何かを感じ取ったようで、そっと志歩の背中に手を添えた。
「志歩、ちゃんと言えてえらいよ。私も、亮汰くんがもっとはっきり渡した記憶あるかと思ってた」
「俺もなー……もうちょっと自信あったんだけどな」
亮汰は苦笑しながら、肩をすくめた。
「でも、確かに、“思う”って言い方って、ずるいとこあるよな。
俺、責任転嫁するの得意なんだよ。高校入ってから、まだ誰にもバレてなかったのに」
「自慢にならない」
志歩がぼそっと返すと、ふっと笑いが漏れた。
「じゃ、これからは……責任、取る努力、してみる?」
「おー、それ、耳痛いな。でも、志歩に言われるとなんか反省できる気するわ」
亮汰は手を上げ、軽く敬礼のポーズを取った。
志歩も、やや呆れたように息をついて、それでも頬が少しだけ緩んでいた。
その後も結局、備品チェックシートは見つからなかった。
志歩は自分の部屋で書き直しを申し出ようとしたが――
「俺、やるって言ったろ?」
亮汰がそう言って、手にしていたスマホをパタリと閉じた。
「お詫びも兼ねて、俺が今日中に再提出するよ。さすがに、これで責任感アピれるっしょ?」
「……アピるって何」
「見てろって。俺、次回から“ちゃんとした亮汰”になる予定だから」
冗談交じりではあったが、その顔にはほんの少しの誠実さがにじんでいた。
「じゃあ、信じてみる。今だけ」
志歩はそう言って、机の上のペンを片付ける。
その手の動きが、さっきまでより少しだけ軽やかだった。
「志歩って、意外と怖いとこあるよな。キレると芯くるというか」
「……たぶん、言いたいこと溜める癖あるから」
「俺も、口だけで逃げる癖あるから。まあ、お互い様ってことで」
亮汰が笑って言ったその瞬間、自習室の時計が午後五時を告げた。
「じゃ、次の委員会、またよろしくな。……あ、志歩」
「ん?」
「今日、ちょっとカッコよかったよ」
唐突な一言に、志歩は目を見開いた。
次の瞬間、頬がわずかに染まり――
「……それ、今さら取り繕っても遅いから」
ぷいとそっぽを向いて、鞄を手に取った。
「えー、マジ? 褒めたのに?」
「信用しないのも私の癖だから」
そう言いながらも、足取りはどこか軽い。
図書室を出た志歩の背中を、夕陽が優しく照らしていた。
その姿を見送りながら、亮汰は自分のノートを開き、ペンを走らせた。
「さて、“ちゃんとした亮汰”、今日が初日か……」
その口元に、いつもの薄い笑みとは少し違う、ほんの少しだけ誇らしげな表情が浮かんでいた。
(第4話 完)
0
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
待鳥園子
児童書・童話
ある日。教室の中で、自分の理想の男の子について語った澪。
けど、その篤実に同じクラスの主役級男子鷹羽日向くんが、自分が希望した理想通りにイメチェンをして来た!
……え? どうして。私の話を聞いていた訳ではなくて、偶然だよね?
何もかも、私の勘違いだよね?
信じられないことに鷹羽くんが私に告白してきたんだけど、私たちはすんなり付き合う……なんてこともなく、なんだか良くわからないことになってきて?!
【第2回きずな児童書大賞】で奨励賞受賞出来ました♡ありがとうございます!
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
マジカル・ミッション
碧月あめり
児童書・童話
小学五年生の涼葉は千年以上も昔からの魔女の血を引く時風家の子孫。現代に万能な魔法を使える者はいないが、その名残で、時風の家に生まれた子どもたちはみんな十一歳になると必ず不思議な能力がひとつ宿る。 どんな能力が宿るかは人によってさまざまで、十一歳になってみなければわからない。 十一歳になった涼葉に宿った能力は、誰かが《落としたもの》の記憶が映像になって見えるというもの。 その能力で、涼葉はメガネで顔を隠した陰キャな転校生・花宮翼が不審な行動をするのを見てしまう。怪しく思った涼葉は、動物に関する能力を持った兄の櫂斗、近くにいるケガ人を察知できるいとこの美空、ウソを見抜くことができるいとこの天とともに花宮を探ることになる。
影隠しの森へ ~あの夏の七日間~
橘 弥久莉
児童書・童話
小学六年の相羽八尋は自己肯定感ゼロ男子。
幼いころに母親を亡くした心の傷を抱えつつ、
大きな夢を抱いていたが劣等生という引け目
があって前を向けずにいた。
そんなある日、八尋はふとしたきっかけで
入ってはいけないと言われている『影隠しの
森』に足を踏み入れてしまう。そこは夏の間、
奥山から山神様が降りてくるという禁断の森
で、神様のお役目を邪魔すると『影』を取ら
れてしまうという恐ろしい言い伝えがあった。
神様も幽霊も信じていない八尋は、軽い気
持ちで禁忌を犯して大事な影を取られてしま
う。影、カゲ、かげ――。なくても生きてい
けるけど、ないとすごく困るもの。自分の存
在価値すらあやうくなってしまうもの。再び
影隠しの森に向かった八尋は、影を取り戻す
ため仲間と奮闘することになって……。
初恋、友情、そしてひと夏の冒険。忘れら
れない奇跡の七日間が始まる。※第3回きずな児童書大賞奨励賞受賞作品
※この物語はフィクションです。作中に登場
する人物、及び団体は実在しません。
※表紙画像はたろたろ様のフリー画像から
お借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる