6 / 26
第6話「真緒のクッション作戦」
しおりを挟む
五月十二日、月曜日。
廊下の空気は、昼過ぎの陽光でほんのりと暖かい。
昼休み明けの掃除時間、廊下掲示板前では一人、希がモップを持ったまま黙々と床をこすっていた。
小さな紙くずが貼り付いて離れない。何度拭いても落ちない。
希はため息交じりに手を止め、眉間にしわを寄せる。
先週は会議と打ち合わせが詰まりすぎていた。委員会の進行は好調とはいえないが、自分が副委員長として何を担えばいいのかが、まだ曖昧だった。
さらに――ここ数日、遥輝が忙しそうに他のメンバーと打ち合わせをしているのを遠くで見るたび、なぜか胸の奥に微かな苛立ちが滲む。
(……何、これ)
自分でもその理由がつかめない。
それがよけいに気持ちをモヤつかせていた。
そのとき、後ろから柔らかい声がかかる。
「希ちゃん、ちょっと休憩しよ?」
振り返ると、真緒が缶入りのアイスカフェオレを二本、手にして立っていた。
制服の袖を少しめくり、髪をゆるく一つにまとめた姿は、どこか午後の光に溶け込んでいるようだった。
「……今、掃除中」
「知ってる。でもこの時間、先生たちいないし、三分くらいサボっても誰も怒らないよ」
そう言って、真緒は掲示板の前に腰かけ、アイスの缶を一本、希に差し出した。
「無糖と微糖、どっちがいい?」
「……微糖で」
手に取った缶が冷たくて、心なしか手のひらの温度が下がった気がした。
ぱしゅ、とプルタブを引く音が重なった。
真緒はひと口飲んでから、ぽつりと話を切り出す。
「……ちょっとピリピリしてたよね、今日の希ちゃん」
「……別に」
否定したが、その声には棘があった。
「委員会のこと?」
「……違う。……かも」
自分でもわかっていない感情を、うまく言語化できずにいる。
そんな希を見て、真緒は微笑を浮かべた。
「うん、それでいいと思う。わかんない感情って、すぐに言葉にしなくても大丈夫だよ」
その言葉に、希は目を見開いた。
「……え?」
「なんか、ちゃんと答えを出さなきゃって顔してたから。ね、たまには“わからないまま”でもいいと思うな」
真緒の声はやわらかく、じんわりと染み込むようだった。
希はアイスコーヒーを一口飲んで、冷たい液体が喉を落ちていくのを感じる。
「……真緒ってさ、なんでそんなに他人のこと、うまく見えるの?」
「たぶん、自分のことに鈍感だから、他人にばっかり意識が向くんだと思う」
真緒はあっけらかんと笑って言った。
「それに、希ちゃんって、わかりやすいし」
「わかりやすくないよ、あたしは……!」
思わず強めに返した声に、希自身が少し驚いた。
けれど、真緒はにこっと笑って――
「うん、その“強めの否定”が、わかりやすいの」
しばしの沈黙。
遠くで掃除機の唸る音が響くなか、二人の間に流れる空気はやわらかく、でもどこか切実だった。
希は無言のまま、手元の缶を見つめる。
表面に浮かぶ水滴が、じわりと指に染みるように感じた。
「……副委員長って、何すればいいんだろうって思ってた」
ようやく口を開いた希の声は、わずかに掠れていた。
「遥輝は委員長として動いてて、楽しそうで……でも、あたしは気づくと周り見てばかりで。
“動かなきゃ”って思うけど、どう動けばいいのかわかんなくて」
真緒は頷きながら話を聞き、口を挟まず、じっと希の顔を見守っていた。
「それで、今日もイライラして……でも、誰にも当たれないし。……自分にも腹が立つし……」
そう言ったとき、希の目元がわずかに潤んでいた。
けれど涙にはならない。そうさせない強さを、希は持っている。
真緒はそっと缶を置き、希の肩に手を添えた。
「ねえ、希ちゃん。
副委員長って、何かしら仕事をこなす人じゃなくて、“支える人”でいいと思う」
「支えるって……」
「無理に全体を見なくていい。
たとえば、“ひとりだけをちゃんと見る”ってことでも、すごく意味あるんだよ。
遥輝くんがやりやすいように動くとか、他の子が落ち込んでたら声かけるとか。
そういう小さなバランスの取り方ができるのって――たぶん、希ちゃんなんだと思う」
「……でも、そんな自信ないよ」
「そりゃあ、自信なんてあとから付いてくるもんだし」
真緒は笑って続けた。
「私だって、調整役っぽく見られてるけど、めちゃくちゃ自分に甘いし。
いつも“今日も無理かも”って思ってる。でも、どうにかなることのほうが多いんだよね」
希はふっと笑った。
鼻で笑ったのか、感情をほぐされたのか、自分でもわからない。
「真緒って、絶妙にズルいよね」
「それ、褒めてる?」
「ちょっとだけ」
二人はふと顔を見合わせ、微笑みあった。
その瞬間、廊下に張られていた空気がふわりと軽くなる。
「さ、もうちょっと掃除するか」
希が立ち上がり、再びモップを握る。
真緒も立ち上がり、今度は掲示板に貼られた文化祭の仮ポスターを見上げた。
“あなたの手で創る、たった一度の三日間。”
その文字を見て、真緒はぽつりと呟いた。
「ねえ希ちゃん、もしかしてさ――“一度しかない”っていう言葉、ちょっと怖い?」
「……当たり」
「でも、“一度きり”だからこそ、失敗しても全部自分の色になるんじゃない?」
希は言葉を返さなかった。けれど、その背中からわずかに力が抜けていくのを、真緒は確かに感じた。
掃除が終わるころには、廊下の窓から入る風が少し冷たくなっていた。
生徒たちの足音が遠ざかり、校舎の空気が夕方の静けさに包まれていく。
バケツを片づけ、掃除道具を返却棚に戻したあと、希と真緒は一緒に昇降口へと歩いた。
並んで歩くのは、今日が初めてだった。
「……さっき言ってた“ひとりを見る”って話さ」
希がぽつりと口を開く。
「それって……真緒も誰かを支えてるってこと?」
真緒は少しだけ驚いたような表情を浮かべ、すぐに笑って答える。
「うん、まあ。志歩のことかな。あの子、けっこう一人で全部抱えちゃうから」
「……わかる気がする」
「だから私が“クッション”になる。誰かの衝突を和らげるだけでも、役に立てるならそれでいいなって」
「“クッション”か……」
希はその言葉を反芻するように呟いた。
自分にとって、そんな役割が務まるかはまだわからない。
でも、誰かの心を少しだけ軽くすることなら、自分にもできるかもしれない。
「……ありがとね、真緒」
「なに急に改まってんの?」
「感謝ってのは、ちゃんと言葉で伝えたほうがいいって、誰かが言ってたから」
「それ、遥輝くん?」
「……かも」
二人は顔を見合わせ、笑い合った。
昇降口で靴を履き替えると、ちょうどそのとき、遠くから遥輝の声が聞こえてきた。
「おーい、希ー! 今日打ち合わせするって言ってたやつ、明日にしてもいい?」
階段の上から手を振る遥輝の姿。
希は一瞬きょとんとして、すぐに声を返す。
「別にいいけど。明日、早く来てよ」
「了解~!」
そんな何気ないやり取りを見ながら、真緒は口元を押さえてにやりとする。
「……ふふ、青春だね」
「変なこと言わないでよ」
照れくさそうに言いながらも、希の頬がほんのり赤く染まっていた。
夕陽が昇降口を染める。
その光の中、二人の影が長く伸びていた。
誰かを“支える”こと。
それは、誰かと“つながる”こと。
自分ひとりじゃできないことも、誰かと一緒なら――
そんな“予感”のようなものを、希は胸に灯していた。
(第6話 完)
廊下の空気は、昼過ぎの陽光でほんのりと暖かい。
昼休み明けの掃除時間、廊下掲示板前では一人、希がモップを持ったまま黙々と床をこすっていた。
小さな紙くずが貼り付いて離れない。何度拭いても落ちない。
希はため息交じりに手を止め、眉間にしわを寄せる。
先週は会議と打ち合わせが詰まりすぎていた。委員会の進行は好調とはいえないが、自分が副委員長として何を担えばいいのかが、まだ曖昧だった。
さらに――ここ数日、遥輝が忙しそうに他のメンバーと打ち合わせをしているのを遠くで見るたび、なぜか胸の奥に微かな苛立ちが滲む。
(……何、これ)
自分でもその理由がつかめない。
それがよけいに気持ちをモヤつかせていた。
そのとき、後ろから柔らかい声がかかる。
「希ちゃん、ちょっと休憩しよ?」
振り返ると、真緒が缶入りのアイスカフェオレを二本、手にして立っていた。
制服の袖を少しめくり、髪をゆるく一つにまとめた姿は、どこか午後の光に溶け込んでいるようだった。
「……今、掃除中」
「知ってる。でもこの時間、先生たちいないし、三分くらいサボっても誰も怒らないよ」
そう言って、真緒は掲示板の前に腰かけ、アイスの缶を一本、希に差し出した。
「無糖と微糖、どっちがいい?」
「……微糖で」
手に取った缶が冷たくて、心なしか手のひらの温度が下がった気がした。
ぱしゅ、とプルタブを引く音が重なった。
真緒はひと口飲んでから、ぽつりと話を切り出す。
「……ちょっとピリピリしてたよね、今日の希ちゃん」
「……別に」
否定したが、その声には棘があった。
「委員会のこと?」
「……違う。……かも」
自分でもわかっていない感情を、うまく言語化できずにいる。
そんな希を見て、真緒は微笑を浮かべた。
「うん、それでいいと思う。わかんない感情って、すぐに言葉にしなくても大丈夫だよ」
その言葉に、希は目を見開いた。
「……え?」
「なんか、ちゃんと答えを出さなきゃって顔してたから。ね、たまには“わからないまま”でもいいと思うな」
真緒の声はやわらかく、じんわりと染み込むようだった。
希はアイスコーヒーを一口飲んで、冷たい液体が喉を落ちていくのを感じる。
「……真緒ってさ、なんでそんなに他人のこと、うまく見えるの?」
「たぶん、自分のことに鈍感だから、他人にばっかり意識が向くんだと思う」
真緒はあっけらかんと笑って言った。
「それに、希ちゃんって、わかりやすいし」
「わかりやすくないよ、あたしは……!」
思わず強めに返した声に、希自身が少し驚いた。
けれど、真緒はにこっと笑って――
「うん、その“強めの否定”が、わかりやすいの」
しばしの沈黙。
遠くで掃除機の唸る音が響くなか、二人の間に流れる空気はやわらかく、でもどこか切実だった。
希は無言のまま、手元の缶を見つめる。
表面に浮かぶ水滴が、じわりと指に染みるように感じた。
「……副委員長って、何すればいいんだろうって思ってた」
ようやく口を開いた希の声は、わずかに掠れていた。
「遥輝は委員長として動いてて、楽しそうで……でも、あたしは気づくと周り見てばかりで。
“動かなきゃ”って思うけど、どう動けばいいのかわかんなくて」
真緒は頷きながら話を聞き、口を挟まず、じっと希の顔を見守っていた。
「それで、今日もイライラして……でも、誰にも当たれないし。……自分にも腹が立つし……」
そう言ったとき、希の目元がわずかに潤んでいた。
けれど涙にはならない。そうさせない強さを、希は持っている。
真緒はそっと缶を置き、希の肩に手を添えた。
「ねえ、希ちゃん。
副委員長って、何かしら仕事をこなす人じゃなくて、“支える人”でいいと思う」
「支えるって……」
「無理に全体を見なくていい。
たとえば、“ひとりだけをちゃんと見る”ってことでも、すごく意味あるんだよ。
遥輝くんがやりやすいように動くとか、他の子が落ち込んでたら声かけるとか。
そういう小さなバランスの取り方ができるのって――たぶん、希ちゃんなんだと思う」
「……でも、そんな自信ないよ」
「そりゃあ、自信なんてあとから付いてくるもんだし」
真緒は笑って続けた。
「私だって、調整役っぽく見られてるけど、めちゃくちゃ自分に甘いし。
いつも“今日も無理かも”って思ってる。でも、どうにかなることのほうが多いんだよね」
希はふっと笑った。
鼻で笑ったのか、感情をほぐされたのか、自分でもわからない。
「真緒って、絶妙にズルいよね」
「それ、褒めてる?」
「ちょっとだけ」
二人はふと顔を見合わせ、微笑みあった。
その瞬間、廊下に張られていた空気がふわりと軽くなる。
「さ、もうちょっと掃除するか」
希が立ち上がり、再びモップを握る。
真緒も立ち上がり、今度は掲示板に貼られた文化祭の仮ポスターを見上げた。
“あなたの手で創る、たった一度の三日間。”
その文字を見て、真緒はぽつりと呟いた。
「ねえ希ちゃん、もしかしてさ――“一度しかない”っていう言葉、ちょっと怖い?」
「……当たり」
「でも、“一度きり”だからこそ、失敗しても全部自分の色になるんじゃない?」
希は言葉を返さなかった。けれど、その背中からわずかに力が抜けていくのを、真緒は確かに感じた。
掃除が終わるころには、廊下の窓から入る風が少し冷たくなっていた。
生徒たちの足音が遠ざかり、校舎の空気が夕方の静けさに包まれていく。
バケツを片づけ、掃除道具を返却棚に戻したあと、希と真緒は一緒に昇降口へと歩いた。
並んで歩くのは、今日が初めてだった。
「……さっき言ってた“ひとりを見る”って話さ」
希がぽつりと口を開く。
「それって……真緒も誰かを支えてるってこと?」
真緒は少しだけ驚いたような表情を浮かべ、すぐに笑って答える。
「うん、まあ。志歩のことかな。あの子、けっこう一人で全部抱えちゃうから」
「……わかる気がする」
「だから私が“クッション”になる。誰かの衝突を和らげるだけでも、役に立てるならそれでいいなって」
「“クッション”か……」
希はその言葉を反芻するように呟いた。
自分にとって、そんな役割が務まるかはまだわからない。
でも、誰かの心を少しだけ軽くすることなら、自分にもできるかもしれない。
「……ありがとね、真緒」
「なに急に改まってんの?」
「感謝ってのは、ちゃんと言葉で伝えたほうがいいって、誰かが言ってたから」
「それ、遥輝くん?」
「……かも」
二人は顔を見合わせ、笑い合った。
昇降口で靴を履き替えると、ちょうどそのとき、遠くから遥輝の声が聞こえてきた。
「おーい、希ー! 今日打ち合わせするって言ってたやつ、明日にしてもいい?」
階段の上から手を振る遥輝の姿。
希は一瞬きょとんとして、すぐに声を返す。
「別にいいけど。明日、早く来てよ」
「了解~!」
そんな何気ないやり取りを見ながら、真緒は口元を押さえてにやりとする。
「……ふふ、青春だね」
「変なこと言わないでよ」
照れくさそうに言いながらも、希の頬がほんのり赤く染まっていた。
夕陽が昇降口を染める。
その光の中、二人の影が長く伸びていた。
誰かを“支える”こと。
それは、誰かと“つながる”こと。
自分ひとりじゃできないことも、誰かと一緒なら――
そんな“予感”のようなものを、希は胸に灯していた。
(第6話 完)
0
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?
待鳥園子
児童書・童話
ある日。教室の中で、自分の理想の男の子について語った澪。
けど、その篤実に同じクラスの主役級男子鷹羽日向くんが、自分が希望した理想通りにイメチェンをして来た!
……え? どうして。私の話を聞いていた訳ではなくて、偶然だよね?
何もかも、私の勘違いだよね?
信じられないことに鷹羽くんが私に告白してきたんだけど、私たちはすんなり付き合う……なんてこともなく、なんだか良くわからないことになってきて?!
【第2回きずな児童書大賞】で奨励賞受賞出来ました♡ありがとうございます!
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
マジカル・ミッション
碧月あめり
児童書・童話
小学五年生の涼葉は千年以上も昔からの魔女の血を引く時風家の子孫。現代に万能な魔法を使える者はいないが、その名残で、時風の家に生まれた子どもたちはみんな十一歳になると必ず不思議な能力がひとつ宿る。 どんな能力が宿るかは人によってさまざまで、十一歳になってみなければわからない。 十一歳になった涼葉に宿った能力は、誰かが《落としたもの》の記憶が映像になって見えるというもの。 その能力で、涼葉はメガネで顔を隠した陰キャな転校生・花宮翼が不審な行動をするのを見てしまう。怪しく思った涼葉は、動物に関する能力を持った兄の櫂斗、近くにいるケガ人を察知できるいとこの美空、ウソを見抜くことができるいとこの天とともに花宮を探ることになる。
影隠しの森へ ~あの夏の七日間~
橘 弥久莉
児童書・童話
小学六年の相羽八尋は自己肯定感ゼロ男子。
幼いころに母親を亡くした心の傷を抱えつつ、
大きな夢を抱いていたが劣等生という引け目
があって前を向けずにいた。
そんなある日、八尋はふとしたきっかけで
入ってはいけないと言われている『影隠しの
森』に足を踏み入れてしまう。そこは夏の間、
奥山から山神様が降りてくるという禁断の森
で、神様のお役目を邪魔すると『影』を取ら
れてしまうという恐ろしい言い伝えがあった。
神様も幽霊も信じていない八尋は、軽い気
持ちで禁忌を犯して大事な影を取られてしま
う。影、カゲ、かげ――。なくても生きてい
けるけど、ないとすごく困るもの。自分の存
在価値すらあやうくなってしまうもの。再び
影隠しの森に向かった八尋は、影を取り戻す
ため仲間と奮闘することになって……。
初恋、友情、そしてひと夏の冒険。忘れら
れない奇跡の七日間が始まる。※第3回きずな児童書大賞奨励賞受賞作品
※この物語はフィクションです。作中に登場
する人物、及び団体は実在しません。
※表紙画像はたろたろ様のフリー画像から
お借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる