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クリスの婚約者と、アレンの出会い 1
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今日は両親とお兄様と共に、貴族の子ども達が参加するお茶会に来ていた。
お城で年に数回開催され、友達作りや婚約者を見つけるのが主な目的になっている。
お兄様が今回から参加するので、僕もオマケで連れて来られた。他の子ども達を見ると、どうやら僕が一番年下のようだ。
100人は居る子ども達を見たお兄様は、不安からか僕の手をギュッと握って離さない。口を一文字に結び、緊張感が伝わってくる。
そんな様子をお母様が優しい微笑みを浮かべ見ていた。
「やっぱりアレンを連れて来て良かったわ。ねぇ、クリス。味方がいると心強いでしょ?」
「う、うん。アレン、ぼ、ぼくがいっしょにいるからね!」
えっと、お兄様は強がって僕を心配してくれてる感じ、なのかな?
手が震えてるから、他の子どもと話したりするのが苦手なのかも。ちょっと気を紛らわせた方が良いかな。
「おにいさまがいっしょだから、ぼくうれしいなぁ。はじめてきたから、たんけんしたい!」
「そっか、じゃあたんけんしよう。まいごはたいへんだから、てをはなしたらだめだよ。」
「うん!」
いつもの柔らかい笑顔が出てきた。緊張していたら、お兄様の良さが減っちゃうからね。
お兄様のことを大事にしてくれる、優しい女の子と出会えたら良いのだけど。
「2人とも、あまり遠くへ行かないようにね。」
「「うん!」」
お父様とお母様は、他の親達との交流だ。もうすでに何人かと話している。公爵と公爵夫人なだけあって、交遊関係が広くコミュ力も高いのだろう。
僕は前世の時からコミュ力低いから、友達作りは難航しそうな予感がする……。
近くの池へ向かう途中、お兄様は話しかけてこようとした子ども達を全て躱していた。無視している訳ではなく、僕のお世話で上手い事聞こえてない感じを出しているのだ。
子ども達の、あの下心ありそうなギラギラした目は怖いよね。
予想通りお兄様は苦手らしく、僕が役に立ってるようで良かった。
「みてアレン!なんかさかながいるよ!」
池を覗くと白赤黒の混じった、日本で見た鯉が数匹優雅に泳いでいた。50センチくらいありそうな大物で、とても綺麗だ。
懐かしいなぁ。また見られるとは思わなかった。
「「これはこい(鯉)だよ。」」
僕と同時に同じ事を言ったのは、知らない男の人だった。お父様と同じぐらいの年に見える男は、身なりが良く貴族のようだ。でも纏う雰囲気は貴族よりも何か……。
「ほぅ、君はまだ小さいのに物知りだね。これは遠い東の国から贈られたもので、この魚の名前を知る者は、まだ数人だけなんだ。図鑑にも載っていないのに、どうして知っているのかな?」
男の表情や話し方は柔らかい。その筈なのに、重苦しい空気が僕を押し潰そうとしてくるようだ。
何か、言わないといけない気がする。でも何を言えば……?下手な事を言えばこのまま潰されてしまうような、嫌な感じがする。
「え、えっと……。」
考えても思い浮かばないし、喉も詰まって何も口から出てこない。
空気がさらに重くなって苦しくなってきた。もうここから逃げるしかない。騒ぎになっても紅葉と紺なら、お兄様と僕を運んで逃げられるだろう。
それしかない。しゃがんで影から紅葉と紺を呼ぼうとした時、僕の視界が陰る。頭を上げると、男との間にお兄様が両手を広げて立っていた。
「ぼくのだいじなおとうとをいじめるな!さかななんてどうでもいい!おとうとをきずつけるならぜったいにゆるさない!!」
あの優しいお兄様が怒るところを初めて見た。それだけじゃない。パァンッ!と大きな音がして、重い空気を弾き飛ばしたようだった。そのお陰で体が軽く、息が出来るようになる。
ということは、あの男が魔法を使ってたということ?子ども相手に最低な奴だ!
男は信じられないと言わんばかりの表情で僕達を見ていた。
「くくっ、あははは!いや、すまなかった。軽く驚かそうとしただけだったのに、やり過ぎてしまった。私の子どもが君達と同じ年でね、君達の事を知りたかったんだ。また改めて話しをさせてもらうよ。」
そう言うと男は行ってしまった。何だったんだ一体。勝手に試すなんて失礼じゃないか!男の後ろ姿を恨みを込めて睨み付けてやった。
男が去り、クリスはアレンに抱きついた。
「アレンだいじょうぶ!?いたいところとかない!?」
何かされたのは僕なのに、お兄様が泣きそうな顔をしていた。
「だいじょうぶ、なんともないよ。おにいさま、すごかったね。パァンてなってたよ。たすけてくれてありがとう。」
「よ、よかったぁ。」
お兄様だって小さいのに、震えながらも守ってくれた姿は格好良かった。
あの重い空気を弾いた魔法は、お兄様も無意識にやったらしく良く分からないようだ。
ちょっとした事件に合った動揺を落ち着ける為、少し池の脇で休憩をした。少しして元気になったから探検を再開!
「よし、あっちにいってみようか。」
「うん!」
しっかり2人で手を繋ぎ、トコトコ舗装された道を歩いて行く。周りは木々や生け垣が続いている。他の子どもにも大人にも遭遇しないから、お兄様も気が楽みたいだ。
少し行くと、女の子の叫び声が聞こえてきた。
「いやぁ!やめてー!」
声がする方を見ると、女の子が男の子2人に囲まれていた。
「びんぼうがくるんじゃない!」
「ブス!めざわりだ!」
男の子は暴言を吐きながら女の子の髪を引っ張った。
「いたいっ!やめてぇー!」
危ない、助けなきゃ!お兄様と僕が走り出した時、もう1人女の子が別の方向から走って来た。
「あんたたち、やめなさい!おんなのこをいじめるなんて、さいていよ!」
赤みがかったブロンドの長い髪をツインテールにした可愛らしい女の子が立っていた。
「うるせー!」
「じゃまするな!」
お城で年に数回開催され、友達作りや婚約者を見つけるのが主な目的になっている。
お兄様が今回から参加するので、僕もオマケで連れて来られた。他の子ども達を見ると、どうやら僕が一番年下のようだ。
100人は居る子ども達を見たお兄様は、不安からか僕の手をギュッと握って離さない。口を一文字に結び、緊張感が伝わってくる。
そんな様子をお母様が優しい微笑みを浮かべ見ていた。
「やっぱりアレンを連れて来て良かったわ。ねぇ、クリス。味方がいると心強いでしょ?」
「う、うん。アレン、ぼ、ぼくがいっしょにいるからね!」
えっと、お兄様は強がって僕を心配してくれてる感じ、なのかな?
手が震えてるから、他の子どもと話したりするのが苦手なのかも。ちょっと気を紛らわせた方が良いかな。
「おにいさまがいっしょだから、ぼくうれしいなぁ。はじめてきたから、たんけんしたい!」
「そっか、じゃあたんけんしよう。まいごはたいへんだから、てをはなしたらだめだよ。」
「うん!」
いつもの柔らかい笑顔が出てきた。緊張していたら、お兄様の良さが減っちゃうからね。
お兄様のことを大事にしてくれる、優しい女の子と出会えたら良いのだけど。
「2人とも、あまり遠くへ行かないようにね。」
「「うん!」」
お父様とお母様は、他の親達との交流だ。もうすでに何人かと話している。公爵と公爵夫人なだけあって、交遊関係が広くコミュ力も高いのだろう。
僕は前世の時からコミュ力低いから、友達作りは難航しそうな予感がする……。
近くの池へ向かう途中、お兄様は話しかけてこようとした子ども達を全て躱していた。無視している訳ではなく、僕のお世話で上手い事聞こえてない感じを出しているのだ。
子ども達の、あの下心ありそうなギラギラした目は怖いよね。
予想通りお兄様は苦手らしく、僕が役に立ってるようで良かった。
「みてアレン!なんかさかながいるよ!」
池を覗くと白赤黒の混じった、日本で見た鯉が数匹優雅に泳いでいた。50センチくらいありそうな大物で、とても綺麗だ。
懐かしいなぁ。また見られるとは思わなかった。
「「これはこい(鯉)だよ。」」
僕と同時に同じ事を言ったのは、知らない男の人だった。お父様と同じぐらいの年に見える男は、身なりが良く貴族のようだ。でも纏う雰囲気は貴族よりも何か……。
「ほぅ、君はまだ小さいのに物知りだね。これは遠い東の国から贈られたもので、この魚の名前を知る者は、まだ数人だけなんだ。図鑑にも載っていないのに、どうして知っているのかな?」
男の表情や話し方は柔らかい。その筈なのに、重苦しい空気が僕を押し潰そうとしてくるようだ。
何か、言わないといけない気がする。でも何を言えば……?下手な事を言えばこのまま潰されてしまうような、嫌な感じがする。
「え、えっと……。」
考えても思い浮かばないし、喉も詰まって何も口から出てこない。
空気がさらに重くなって苦しくなってきた。もうここから逃げるしかない。騒ぎになっても紅葉と紺なら、お兄様と僕を運んで逃げられるだろう。
それしかない。しゃがんで影から紅葉と紺を呼ぼうとした時、僕の視界が陰る。頭を上げると、男との間にお兄様が両手を広げて立っていた。
「ぼくのだいじなおとうとをいじめるな!さかななんてどうでもいい!おとうとをきずつけるならぜったいにゆるさない!!」
あの優しいお兄様が怒るところを初めて見た。それだけじゃない。パァンッ!と大きな音がして、重い空気を弾き飛ばしたようだった。そのお陰で体が軽く、息が出来るようになる。
ということは、あの男が魔法を使ってたということ?子ども相手に最低な奴だ!
男は信じられないと言わんばかりの表情で僕達を見ていた。
「くくっ、あははは!いや、すまなかった。軽く驚かそうとしただけだったのに、やり過ぎてしまった。私の子どもが君達と同じ年でね、君達の事を知りたかったんだ。また改めて話しをさせてもらうよ。」
そう言うと男は行ってしまった。何だったんだ一体。勝手に試すなんて失礼じゃないか!男の後ろ姿を恨みを込めて睨み付けてやった。
男が去り、クリスはアレンに抱きついた。
「アレンだいじょうぶ!?いたいところとかない!?」
何かされたのは僕なのに、お兄様が泣きそうな顔をしていた。
「だいじょうぶ、なんともないよ。おにいさま、すごかったね。パァンてなってたよ。たすけてくれてありがとう。」
「よ、よかったぁ。」
お兄様だって小さいのに、震えながらも守ってくれた姿は格好良かった。
あの重い空気を弾いた魔法は、お兄様も無意識にやったらしく良く分からないようだ。
ちょっとした事件に合った動揺を落ち着ける為、少し池の脇で休憩をした。少しして元気になったから探検を再開!
「よし、あっちにいってみようか。」
「うん!」
しっかり2人で手を繋ぎ、トコトコ舗装された道を歩いて行く。周りは木々や生け垣が続いている。他の子どもにも大人にも遭遇しないから、お兄様も気が楽みたいだ。
少し行くと、女の子の叫び声が聞こえてきた。
「いやぁ!やめてー!」
声がする方を見ると、女の子が男の子2人に囲まれていた。
「びんぼうがくるんじゃない!」
「ブス!めざわりだ!」
男の子は暴言を吐きながら女の子の髪を引っ張った。
「いたいっ!やめてぇー!」
危ない、助けなきゃ!お兄様と僕が走り出した時、もう1人女の子が別の方向から走って来た。
「あんたたち、やめなさい!おんなのこをいじめるなんて、さいていよ!」
赤みがかったブロンドの長い髪をツインテールにした可愛らしい女の子が立っていた。
「うるせー!」
「じゃまするな!」
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