モフモフと骸骨と!貴族令息になりました。

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クリスの婚約者と、アレンの出会い 2

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 激昂した男の子2人が、助けに来た女の子に襲いかかった。しかし、あっさり決着する事になる。
 女の子が頬に平手打ちを一発ずつ入れたことで、男の子達は泣きながら逃げて行った。
 勿論、「覚えてろ!」というお決まりの捨て台詞を残して。

「か、かっこいい……。」

 クリスは助けに入った女の子に釘付けになった。

「あなた、だいじょうぶ?」

 ツインテールの女の子が、いじめられていた女の子に声をかける。その子はビクッと体を震わせ、走って行ってしまった。
 あの子を追いかけなきゃ!何故かそうした方が良い気がして、お兄様に声をかけた。

「おにいさま、ぼくあのこをおいかけるね!」
「わかった……。」

 ツインテールの子を見ていて聞いてなさそうだけど仕方がない。走って女の子の行った方へ向かい追いかけた。


 格好良い……。見た目の可愛さもあるが、それよりもクリスはあの子の心の強さにすごく惹かれた。

「いってしまったわ……。」
 
 少しでも話しをしたかったのに、と残念がるマリー。
 そんなマリーにクリスが近づいた。

「きみ、やさしいんだね。たすけたとき、すごくかっこよかったよ。」
「え……?あ、ありがとう。」

 いきなり話しかけられてマリーは驚く。今まで話しかけてくれる子どもは居なかったから、反応が遅れてしまった。

「ぼくはクリスだよ。あの、ぼくとともだちになってくれないかな……?」

 クリスはシャツの裾を握りしめ、勇気を出してマリーに言った。

「わたしと、ともだちに!?ほんとに!?」

 マリーはクリスに近づいて手を握って問い詰めた。

「う、うん。ほんとにともだちになってほしい。」

 マリーの勢いに圧倒されながらも、クリスはちゃんと言うことができた。

「うれしい!いままでだれも、ともだちになってくれなかったから。わたしはマリーよ。よろしくね!」

 キラキラした目をして喜ぶマリーに、クリスは笑顔になった。

「うん、よろしくマリー。」

 友達が出来た事に喜んだクリスは、両親に紹介しようとマリーと2人で、お茶会会場へ戻って行った。


 こっちに行ったよね……。
 走って女の子を追いかけていたアレンは、生け垣の裏で見つけて溜め息をついた。

「こんにちは。これどうぞ。」
「あ、ありがとう……。」

 目に涙の残る女の子に、アレンはハンカチを渡した。女の子は躊躇いがちに受け取って涙を拭った。
 小さいから僕と同じ年くらいかな?古着の様なくすんだ色合いの服に、艶のない灰色の髪。相当貧しい貴族の子かもしれない。
 女の子の横に腰を下ろし、影から取り出したクッキーの小袋を渡した。

「これおいしいよ、食べてみて。」
「ありがとう……。」

 僕の顔を2度伺い、クッキーの包みを開けた。そして1つ取り口へ運び、咀嚼する。

「お、おいしい……。」

 目を大きくして、もう1つ口に運びサクサクと音を立てる。パアッと顔が明るくなった。
 
「こんなにおいしいおかし、はじめてたべた!」

 そう言ってまたもう1つ口に入れた。

「グッ、ゲホッゲホッ!」
「だいじょうぶ?」

 女の子がむせてしまったので、背中を擦ってあげた。飲み物無しでいくつも食べたらそりゃむせるよね……。
 仕方がないか。僕は影から紅茶の入ったポットとカップを取り出した。
 女の子は目の前のありえない事に驚いて固まった。

「ええ……?」
「これはまほうなんだ。ほかのひとには、ないしょにしてね?」

 アレンは口に人差し指を立て、ウインクをした。女の子は少し頬を染めて、コクコクと大きく頷いた。
 影の中は時間が止まるから、入れたての美味しい紅茶が入っている。女の子にカップを渡し、アレンがポットから紅茶を注ぎ入れた。
 女の子は温かい紅茶をゆっくり口に含み飲み込む。フーッと大きく息を吐くと、女の子は少しスッキリした様な表情になった。
 良かった、もう大丈夫そうだ。そういえばこの子の名前聞いてなかった。

「そういえばなまえいってなかったね。ぼくはアレンだよ。きみは?」
「……シンシア。」

 シンシアか、可愛い名前だ。良く顔を見れば可愛らしい顔つきをしていると思う。痩せ過ぎてるのが気になるけど。
 事情聞いても良いものか……?まぁ、聞くだけ聞いてみよう。
 
「嫌な事聞くけど、家が貧しいの?」

 シンシアはカップをギュッと握りしめる。残った紅茶を一気に飲み干し、重い口を開いた。

「いえははくしゃくだから、おかねもちだよ。でもわたしはいらない子だから、しかたないの。」

 シンシアは色褪せたドレスを見下ろし、そう呟いた。

「いらないだなんて……。それはどうして?」
「わたしのおかあさまはもういないの。おとうさまと、あたらしいおかあさまは、いもうとをかわいがってるから、わたしのこといらないの。わたしにやさしくしてくれるのは、メイドのマーサだけなの。」

 話し終えたシンシアはまた泣きそうな顔をしていた。
 この子の事が気になったのは、前世の僕と同じだったからだ。必要とされない、愛されない辛さは良く知っている。
 何か出来る事はないかな……。3歳の僕には難しい。こんな時こそ、家族に頼ろう。

「きょうはひとりできたの?」
「うん……。」
 
 シンシアは悲しそうだけど、それなら丁度良い。
 アレンはカップとポットを影に戻し、シンシアの手を握った。

「シンシア、ぼくのかぞくにあいにいこう!どうにかできるかもしれない!」
「え、えぇ?」

 困惑気味のシンシアの手を強引に引きながら、家族の元へ早歩きで向かった。

「あら、アレンおかえりなさい。もうお友達が出来たの?可愛い子ね。」

 お母様の柔らかい笑顔で、モヤモヤしていた心が落ち着いた。お父様とお母様は休憩していたようで良いタイミングだ。
 お兄様の横にさっきのツインテールの女の子が居る。気になるけど、それは後にしよう。

「この子はシンシアだよ。ともだちになったんだ。それで、そうだんがーー」

 シンシアから聞いた事を伝え、何か出来ないか相談した。それを聞いた4人は驚き、表情が暗くなった。

「伯爵家よね。そういう噂は聞いた事があったけど、事実だったのね。」
「あの伯爵はそんな事をする人物ではない筈だが……。何かあるのかもしれないな。」

 お父様とお母様は困惑したように話す。
 体をプルプルと震わせていたマリーが、テーブルをダン!と叩いた。

「かぞくなのに、そんなのひどいわ!」

 マリーはシンシアの手を取り、ニコッと明るい笑顔を見せた。

「わたしももう、あなたとともだちよ。わたしもみかただからね!」
「う、うん……。」

 マリーの勢いに圧倒されるシンシアだけど、女の子の友達ができて嬉しそうだった。

「じゃあ、ぼくもともだちになりたいな。アレンのあにのクリスだよ。よろしくね。」
「うん……。」

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