21 / 25
クリスの婚約者と、アレンの出会い 2
しおりを挟む
激昂した男の子2人が、助けに来た女の子に襲いかかった。しかし、あっさり決着する事になる。
女の子が頬に平手打ちを一発ずつ入れたことで、男の子達は泣きながら逃げて行った。
勿論、「覚えてろ!」というお決まりの捨て台詞を残して。
「か、かっこいい……。」
クリスは助けに入った女の子に釘付けになった。
「あなた、だいじょうぶ?」
ツインテールの女の子が、いじめられていた女の子に声をかける。その子はビクッと体を震わせ、走って行ってしまった。
あの子を追いかけなきゃ!何故かそうした方が良い気がして、お兄様に声をかけた。
「おにいさま、ぼくあのこをおいかけるね!」
「わかった……。」
ツインテールの子を見ていて聞いてなさそうだけど仕方がない。走って女の子の行った方へ向かい追いかけた。
格好良い……。見た目の可愛さもあるが、それよりもクリスはあの子の心の強さにすごく惹かれた。
「いってしまったわ……。」
少しでも話しをしたかったのに、と残念がるマリー。
そんなマリーにクリスが近づいた。
「きみ、やさしいんだね。たすけたとき、すごくかっこよかったよ。」
「え……?あ、ありがとう。」
いきなり話しかけられてマリーは驚く。今まで話しかけてくれる子どもは居なかったから、反応が遅れてしまった。
「ぼくはクリスだよ。あの、ぼくとともだちになってくれないかな……?」
クリスはシャツの裾を握りしめ、勇気を出してマリーに言った。
「わたしと、ともだちに!?ほんとに!?」
マリーはクリスに近づいて手を握って問い詰めた。
「う、うん。ほんとにともだちになってほしい。」
マリーの勢いに圧倒されながらも、クリスはちゃんと言うことができた。
「うれしい!いままでだれも、ともだちになってくれなかったから。わたしはマリーよ。よろしくね!」
キラキラした目をして喜ぶマリーに、クリスは笑顔になった。
「うん、よろしくマリー。」
友達が出来た事に喜んだクリスは、両親に紹介しようとマリーと2人で、お茶会会場へ戻って行った。
こっちに行ったよね……。
走って女の子を追いかけていたアレンは、生け垣の裏で見つけて溜め息をついた。
「こんにちは。これどうぞ。」
「あ、ありがとう……。」
目に涙の残る女の子に、アレンはハンカチを渡した。女の子は躊躇いがちに受け取って涙を拭った。
小さいから僕と同じ年くらいかな?古着の様なくすんだ色合いの服に、艶のない灰色の髪。相当貧しい貴族の子かもしれない。
女の子の横に腰を下ろし、影から取り出したクッキーの小袋を渡した。
「これおいしいよ、食べてみて。」
「ありがとう……。」
僕の顔を2度伺い、クッキーの包みを開けた。そして1つ取り口へ運び、咀嚼する。
「お、おいしい……。」
目を大きくして、もう1つ口に運びサクサクと音を立てる。パアッと顔が明るくなった。
「こんなにおいしいおかし、はじめてたべた!」
そう言ってまたもう1つ口に入れた。
「グッ、ゲホッゲホッ!」
「だいじょうぶ?」
女の子がむせてしまったので、背中を擦ってあげた。飲み物無しでいくつも食べたらそりゃむせるよね……。
仕方がないか。僕は影から紅茶の入ったポットとカップを取り出した。
女の子は目の前のありえない事に驚いて固まった。
「ええ……?」
「これはまほうなんだ。ほかのひとには、ないしょにしてね?」
アレンは口に人差し指を立て、ウインクをした。女の子は少し頬を染めて、コクコクと大きく頷いた。
影の中は時間が止まるから、入れたての美味しい紅茶が入っている。女の子にカップを渡し、アレンがポットから紅茶を注ぎ入れた。
女の子は温かい紅茶をゆっくり口に含み飲み込む。フーッと大きく息を吐くと、女の子は少しスッキリした様な表情になった。
良かった、もう大丈夫そうだ。そういえばこの子の名前聞いてなかった。
「そういえばなまえいってなかったね。ぼくはアレンだよ。きみは?」
「……シンシア。」
シンシアか、可愛い名前だ。良く顔を見れば可愛らしい顔つきをしていると思う。痩せ過ぎてるのが気になるけど。
事情聞いても良いものか……?まぁ、聞くだけ聞いてみよう。
「嫌な事聞くけど、家が貧しいの?」
シンシアはカップをギュッと握りしめる。残った紅茶を一気に飲み干し、重い口を開いた。
「いえははくしゃくだから、おかねもちだよ。でもわたしはいらない子だから、しかたないの。」
シンシアは色褪せたドレスを見下ろし、そう呟いた。
「いらないだなんて……。それはどうして?」
「わたしのおかあさまはもういないの。おとうさまと、あたらしいおかあさまは、いもうとをかわいがってるから、わたしのこといらないの。わたしにやさしくしてくれるのは、メイドのマーサだけなの。」
話し終えたシンシアはまた泣きそうな顔をしていた。
この子の事が気になったのは、前世の僕と同じだったからだ。必要とされない、愛されない辛さは良く知っている。
何か出来る事はないかな……。3歳の僕には難しい。こんな時こそ、家族に頼ろう。
「きょうはひとりできたの?」
「うん……。」
シンシアは悲しそうだけど、それなら丁度良い。
アレンはカップとポットを影に戻し、シンシアの手を握った。
「シンシア、ぼくのかぞくにあいにいこう!どうにかできるかもしれない!」
「え、えぇ?」
困惑気味のシンシアの手を強引に引きながら、家族の元へ早歩きで向かった。
「あら、アレンおかえりなさい。もうお友達が出来たの?可愛い子ね。」
お母様の柔らかい笑顔で、モヤモヤしていた心が落ち着いた。お父様とお母様は休憩していたようで良いタイミングだ。
お兄様の横にさっきのツインテールの女の子が居る。気になるけど、それは後にしよう。
「この子はシンシアだよ。ともだちになったんだ。それで、そうだんがーー」
シンシアから聞いた事を伝え、何か出来ないか相談した。それを聞いた4人は驚き、表情が暗くなった。
「伯爵家よね。そういう噂は聞いた事があったけど、事実だったのね。」
「あの伯爵はそんな事をする人物ではない筈だが……。何かあるのかもしれないな。」
お父様とお母様は困惑したように話す。
体をプルプルと震わせていたマリーが、テーブルをダン!と叩いた。
「かぞくなのに、そんなのひどいわ!」
マリーはシンシアの手を取り、ニコッと明るい笑顔を見せた。
「わたしももう、あなたとともだちよ。わたしもみかただからね!」
「う、うん……。」
マリーの勢いに圧倒されるシンシアだけど、女の子の友達ができて嬉しそうだった。
「じゃあ、ぼくもともだちになりたいな。アレンのあにのクリスだよ。よろしくね。」
「うん……。」
女の子が頬に平手打ちを一発ずつ入れたことで、男の子達は泣きながら逃げて行った。
勿論、「覚えてろ!」というお決まりの捨て台詞を残して。
「か、かっこいい……。」
クリスは助けに入った女の子に釘付けになった。
「あなた、だいじょうぶ?」
ツインテールの女の子が、いじめられていた女の子に声をかける。その子はビクッと体を震わせ、走って行ってしまった。
あの子を追いかけなきゃ!何故かそうした方が良い気がして、お兄様に声をかけた。
「おにいさま、ぼくあのこをおいかけるね!」
「わかった……。」
ツインテールの子を見ていて聞いてなさそうだけど仕方がない。走って女の子の行った方へ向かい追いかけた。
格好良い……。見た目の可愛さもあるが、それよりもクリスはあの子の心の強さにすごく惹かれた。
「いってしまったわ……。」
少しでも話しをしたかったのに、と残念がるマリー。
そんなマリーにクリスが近づいた。
「きみ、やさしいんだね。たすけたとき、すごくかっこよかったよ。」
「え……?あ、ありがとう。」
いきなり話しかけられてマリーは驚く。今まで話しかけてくれる子どもは居なかったから、反応が遅れてしまった。
「ぼくはクリスだよ。あの、ぼくとともだちになってくれないかな……?」
クリスはシャツの裾を握りしめ、勇気を出してマリーに言った。
「わたしと、ともだちに!?ほんとに!?」
マリーはクリスに近づいて手を握って問い詰めた。
「う、うん。ほんとにともだちになってほしい。」
マリーの勢いに圧倒されながらも、クリスはちゃんと言うことができた。
「うれしい!いままでだれも、ともだちになってくれなかったから。わたしはマリーよ。よろしくね!」
キラキラした目をして喜ぶマリーに、クリスは笑顔になった。
「うん、よろしくマリー。」
友達が出来た事に喜んだクリスは、両親に紹介しようとマリーと2人で、お茶会会場へ戻って行った。
こっちに行ったよね……。
走って女の子を追いかけていたアレンは、生け垣の裏で見つけて溜め息をついた。
「こんにちは。これどうぞ。」
「あ、ありがとう……。」
目に涙の残る女の子に、アレンはハンカチを渡した。女の子は躊躇いがちに受け取って涙を拭った。
小さいから僕と同じ年くらいかな?古着の様なくすんだ色合いの服に、艶のない灰色の髪。相当貧しい貴族の子かもしれない。
女の子の横に腰を下ろし、影から取り出したクッキーの小袋を渡した。
「これおいしいよ、食べてみて。」
「ありがとう……。」
僕の顔を2度伺い、クッキーの包みを開けた。そして1つ取り口へ運び、咀嚼する。
「お、おいしい……。」
目を大きくして、もう1つ口に運びサクサクと音を立てる。パアッと顔が明るくなった。
「こんなにおいしいおかし、はじめてたべた!」
そう言ってまたもう1つ口に入れた。
「グッ、ゲホッゲホッ!」
「だいじょうぶ?」
女の子がむせてしまったので、背中を擦ってあげた。飲み物無しでいくつも食べたらそりゃむせるよね……。
仕方がないか。僕は影から紅茶の入ったポットとカップを取り出した。
女の子は目の前のありえない事に驚いて固まった。
「ええ……?」
「これはまほうなんだ。ほかのひとには、ないしょにしてね?」
アレンは口に人差し指を立て、ウインクをした。女の子は少し頬を染めて、コクコクと大きく頷いた。
影の中は時間が止まるから、入れたての美味しい紅茶が入っている。女の子にカップを渡し、アレンがポットから紅茶を注ぎ入れた。
女の子は温かい紅茶をゆっくり口に含み飲み込む。フーッと大きく息を吐くと、女の子は少しスッキリした様な表情になった。
良かった、もう大丈夫そうだ。そういえばこの子の名前聞いてなかった。
「そういえばなまえいってなかったね。ぼくはアレンだよ。きみは?」
「……シンシア。」
シンシアか、可愛い名前だ。良く顔を見れば可愛らしい顔つきをしていると思う。痩せ過ぎてるのが気になるけど。
事情聞いても良いものか……?まぁ、聞くだけ聞いてみよう。
「嫌な事聞くけど、家が貧しいの?」
シンシアはカップをギュッと握りしめる。残った紅茶を一気に飲み干し、重い口を開いた。
「いえははくしゃくだから、おかねもちだよ。でもわたしはいらない子だから、しかたないの。」
シンシアは色褪せたドレスを見下ろし、そう呟いた。
「いらないだなんて……。それはどうして?」
「わたしのおかあさまはもういないの。おとうさまと、あたらしいおかあさまは、いもうとをかわいがってるから、わたしのこといらないの。わたしにやさしくしてくれるのは、メイドのマーサだけなの。」
話し終えたシンシアはまた泣きそうな顔をしていた。
この子の事が気になったのは、前世の僕と同じだったからだ。必要とされない、愛されない辛さは良く知っている。
何か出来る事はないかな……。3歳の僕には難しい。こんな時こそ、家族に頼ろう。
「きょうはひとりできたの?」
「うん……。」
シンシアは悲しそうだけど、それなら丁度良い。
アレンはカップとポットを影に戻し、シンシアの手を握った。
「シンシア、ぼくのかぞくにあいにいこう!どうにかできるかもしれない!」
「え、えぇ?」
困惑気味のシンシアの手を強引に引きながら、家族の元へ早歩きで向かった。
「あら、アレンおかえりなさい。もうお友達が出来たの?可愛い子ね。」
お母様の柔らかい笑顔で、モヤモヤしていた心が落ち着いた。お父様とお母様は休憩していたようで良いタイミングだ。
お兄様の横にさっきのツインテールの女の子が居る。気になるけど、それは後にしよう。
「この子はシンシアだよ。ともだちになったんだ。それで、そうだんがーー」
シンシアから聞いた事を伝え、何か出来ないか相談した。それを聞いた4人は驚き、表情が暗くなった。
「伯爵家よね。そういう噂は聞いた事があったけど、事実だったのね。」
「あの伯爵はそんな事をする人物ではない筈だが……。何かあるのかもしれないな。」
お父様とお母様は困惑したように話す。
体をプルプルと震わせていたマリーが、テーブルをダン!と叩いた。
「かぞくなのに、そんなのひどいわ!」
マリーはシンシアの手を取り、ニコッと明るい笑顔を見せた。
「わたしももう、あなたとともだちよ。わたしもみかただからね!」
「う、うん……。」
マリーの勢いに圧倒されるシンシアだけど、女の子の友達ができて嬉しそうだった。
「じゃあ、ぼくもともだちになりたいな。アレンのあにのクリスだよ。よろしくね。」
「うん……。」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる