11 / 25
お兄様の笑顔を守れ 3
しおりを挟む
「にーしゃま、だーじょぶよ。」
安心出来るように、ニコッと笑顔を見せ、隣に座るお兄様の背中をポンポンした。
「アレン……?」
泣きそうな声でアレンの名前を呼び、訳が分からずキョトンとした顔をしている。
椅子から立ち上がると、近くの花が飾られた花瓶から、3種類の花を2本ずつ手に取る。それをクリスの机に、花ごとに少し間を開けて並べた。
クリスはその花をじっと見つめて、どういう事かを考える。少ししてハッと閃き、教師を見てハッキリ答えた。
「こたえは6です。」
「……正解です。」
教師はチッ!と舌打ちし、苦虫を噛み潰したような顔になった。
答えが出てほっとしたクリスを見て、アレンはウンウンと頷く。
お兄様はやれば出来る子なのだ!
「答えが出せても、こんな小さな子にヒントをもらうようでは公爵家の人間としてはダメですね!」
酷い言葉の暴力に、クリスは手を握り俯いてしまう。その様子を見て、教師は下衆な笑みを浮かべた。満足したようで、今度はアレンを見る。
「アレン様、どうやら本当に優秀なようですね。これは解けますか?」
黒板に『9×5=』と大きく書く。
小学生レベルの算数なんて余裕だ!僕は即座に答える。
「よんじゅー、ご!」
教師が片眉を上げ、『12×12=』と書いた。これもすぐ答える。
「ひゃく、よんじゅー、よん!」
教師は眉間にしわ寄せ、『150×22=』と書き、すぐ答える。
お兄様の為だ、出来る事を隠すつもりはない!
「さんぜん、さんびゃく!」
教師はさらに『10000÷250=』と書いた。
僕2歳なのに、なんて問題出すんだ!ムカッとして、大きな声で答えた。
「よんじゅーだ!」
2歳には到底解けない筈の問題を答えたアレンに、教師は驚いて目を大きくした。そして、アレンに近づき、気持ち悪くニンマリとした笑顔を見せた。
「まぁ、ここまで出来るとは!貴方は将来有望だわ!これなら私の授業を受ける許可を出します!早速公爵様にお話ししなければ!今日の授業は終わりよ!」
教師は嬉しそうに、バタバタと部屋から出て行ってしまった。残されたクリスとアレンはポカンとして、顔を見合わせた。
「アレン、きてくれてありがとう。うれしかった。あと、むずかしいもんだいできてすごいね。」
クリスはすこしだけど微笑んだ。それを見てアレンは嬉しくなり、クリスにギューッと抱き付いた。
「にーしゃま、しゅき!」
あまりの勢いに倒れそうになるのをクリスは何とか堪えた。
「ありがとう、アレン。でもちょっとあぶないよ。」
「ごめしゃい。」
クリスに抱き締められて、満足そうな顔のアレンを見て、フィーはほっと一安心した。
教師はカツカツと靴音を立てて、廊下を早歩きで進んで行く。
公爵家の後継ぎだから引き受けたのに、微妙な子で腹が立ってたけど……。まさか下の子があんな天才なんてね!これで私は有名になれるわ!適当に家庭教師やって、期間が終わったら、どこかの学校で校長とか良いわね。あの天才を教えたとなれば、きっと引く手あまたよ!
教師はウキウキした様子で執務室へ近づいて行った。
今日も机に積まれた書類と格闘していたグレンは、セバスに文句を言っていた。
「おいホーク!毎日書類が多すぎる!家族に会いたい~。どうにかしてくれよ~。」
ダラーっと机に突っ伏し、セバスをチラッと見た。
「朝会ったばっかりだろうが。これでも俺がかなり減らしてんだよ。集中すればすぐ終わる量だろ。」
セバスの顔してホークの口調で話す。
こいつやればできるのに、中々やる気でないのが本当に面倒だ。
セバスは廊下の気配を察知し、フゥーと息を吐き出してから、グレンに言った。
「シャキっとしろ。お客さんだ。」
「ん?客?」
素直に姿勢を正すと、コンコンと扉がノックされた。
セバスが扉を開けると、家庭教師の女が入って来て、机の前までズカズカと歩いて来た。
うわ、いきなり何だ?思わず体を少し引いた。
「公爵様、少々お話が!実はーー」
許可も出して無いのにペラペラと話し出した。聞けば、見学に来たアレンが難しい計算を軽々解いた。天才だから一緒に教えても良いと……。どういう事だ?
セバスに視線を送れば、女の後ろで頷いた。あいつ何かしたんだな。とりあえず話を合わせておくか。
「では、アレンにも希望を聞いてみなければ。セバス、すぐに連れて来てくれ。」
セバスは頷くと静かに扉から出て、アレンの所まで飛んだ。
アレンはまだ先程の部屋でクリスに掛け算を教えていた。
「おはな、よんしゅるい、さんほんじゅちゅ。」
「わかった、12だ!」
何問かこうしてお花で問題を出してるうちに、クリスは答えが出せるようになった。
数字だけだったから、上手く考えられなかっただけ。コツを掴めばお兄様だって、ちゃんと出来るんだよ。
良かったと納得してウンウン頷いていたら、突然後ろにゾワっと気配を感じた。
「あ、セバス。」
クリスが言って、アレンが振り向くと同時にセバスに抱っこされた。
「せばしゅ?」
もしかして、あの先生何かやらかした?
「ええ、そうです。2人とも公爵様の所へ行きましょう。」
やっぱりか。丁度良い、こっちも話があるんだ!
「すぐ、との事ですので飛びます。声を出さないでくださいね。」
返事をする間もなく、体がフワっと浮いた感覚の後、目の前にはお父様とあの先生が居た。
「お2人をお連れいたしました。」
「早かったな。クリス、アレン、ここへ座ってくれ。」
お兄様は長椅子に座るお父様の隣へ。そして僕はセバスから何故かお父様の膝へ座った。
「我が子はやっぱり可愛いな~。」
グレンは緩んだ顔して、子ども達の頭を撫でた。
「公爵様、話を進めてください。」
長椅子の後ろに立つセバスに諌められる。グレンは顔を引き締め、仕方なく話を始めた。
安心出来るように、ニコッと笑顔を見せ、隣に座るお兄様の背中をポンポンした。
「アレン……?」
泣きそうな声でアレンの名前を呼び、訳が分からずキョトンとした顔をしている。
椅子から立ち上がると、近くの花が飾られた花瓶から、3種類の花を2本ずつ手に取る。それをクリスの机に、花ごとに少し間を開けて並べた。
クリスはその花をじっと見つめて、どういう事かを考える。少ししてハッと閃き、教師を見てハッキリ答えた。
「こたえは6です。」
「……正解です。」
教師はチッ!と舌打ちし、苦虫を噛み潰したような顔になった。
答えが出てほっとしたクリスを見て、アレンはウンウンと頷く。
お兄様はやれば出来る子なのだ!
「答えが出せても、こんな小さな子にヒントをもらうようでは公爵家の人間としてはダメですね!」
酷い言葉の暴力に、クリスは手を握り俯いてしまう。その様子を見て、教師は下衆な笑みを浮かべた。満足したようで、今度はアレンを見る。
「アレン様、どうやら本当に優秀なようですね。これは解けますか?」
黒板に『9×5=』と大きく書く。
小学生レベルの算数なんて余裕だ!僕は即座に答える。
「よんじゅー、ご!」
教師が片眉を上げ、『12×12=』と書いた。これもすぐ答える。
「ひゃく、よんじゅー、よん!」
教師は眉間にしわ寄せ、『150×22=』と書き、すぐ答える。
お兄様の為だ、出来る事を隠すつもりはない!
「さんぜん、さんびゃく!」
教師はさらに『10000÷250=』と書いた。
僕2歳なのに、なんて問題出すんだ!ムカッとして、大きな声で答えた。
「よんじゅーだ!」
2歳には到底解けない筈の問題を答えたアレンに、教師は驚いて目を大きくした。そして、アレンに近づき、気持ち悪くニンマリとした笑顔を見せた。
「まぁ、ここまで出来るとは!貴方は将来有望だわ!これなら私の授業を受ける許可を出します!早速公爵様にお話ししなければ!今日の授業は終わりよ!」
教師は嬉しそうに、バタバタと部屋から出て行ってしまった。残されたクリスとアレンはポカンとして、顔を見合わせた。
「アレン、きてくれてありがとう。うれしかった。あと、むずかしいもんだいできてすごいね。」
クリスはすこしだけど微笑んだ。それを見てアレンは嬉しくなり、クリスにギューッと抱き付いた。
「にーしゃま、しゅき!」
あまりの勢いに倒れそうになるのをクリスは何とか堪えた。
「ありがとう、アレン。でもちょっとあぶないよ。」
「ごめしゃい。」
クリスに抱き締められて、満足そうな顔のアレンを見て、フィーはほっと一安心した。
教師はカツカツと靴音を立てて、廊下を早歩きで進んで行く。
公爵家の後継ぎだから引き受けたのに、微妙な子で腹が立ってたけど……。まさか下の子があんな天才なんてね!これで私は有名になれるわ!適当に家庭教師やって、期間が終わったら、どこかの学校で校長とか良いわね。あの天才を教えたとなれば、きっと引く手あまたよ!
教師はウキウキした様子で執務室へ近づいて行った。
今日も机に積まれた書類と格闘していたグレンは、セバスに文句を言っていた。
「おいホーク!毎日書類が多すぎる!家族に会いたい~。どうにかしてくれよ~。」
ダラーっと机に突っ伏し、セバスをチラッと見た。
「朝会ったばっかりだろうが。これでも俺がかなり減らしてんだよ。集中すればすぐ終わる量だろ。」
セバスの顔してホークの口調で話す。
こいつやればできるのに、中々やる気でないのが本当に面倒だ。
セバスは廊下の気配を察知し、フゥーと息を吐き出してから、グレンに言った。
「シャキっとしろ。お客さんだ。」
「ん?客?」
素直に姿勢を正すと、コンコンと扉がノックされた。
セバスが扉を開けると、家庭教師の女が入って来て、机の前までズカズカと歩いて来た。
うわ、いきなり何だ?思わず体を少し引いた。
「公爵様、少々お話が!実はーー」
許可も出して無いのにペラペラと話し出した。聞けば、見学に来たアレンが難しい計算を軽々解いた。天才だから一緒に教えても良いと……。どういう事だ?
セバスに視線を送れば、女の後ろで頷いた。あいつ何かしたんだな。とりあえず話を合わせておくか。
「では、アレンにも希望を聞いてみなければ。セバス、すぐに連れて来てくれ。」
セバスは頷くと静かに扉から出て、アレンの所まで飛んだ。
アレンはまだ先程の部屋でクリスに掛け算を教えていた。
「おはな、よんしゅるい、さんほんじゅちゅ。」
「わかった、12だ!」
何問かこうしてお花で問題を出してるうちに、クリスは答えが出せるようになった。
数字だけだったから、上手く考えられなかっただけ。コツを掴めばお兄様だって、ちゃんと出来るんだよ。
良かったと納得してウンウン頷いていたら、突然後ろにゾワっと気配を感じた。
「あ、セバス。」
クリスが言って、アレンが振り向くと同時にセバスに抱っこされた。
「せばしゅ?」
もしかして、あの先生何かやらかした?
「ええ、そうです。2人とも公爵様の所へ行きましょう。」
やっぱりか。丁度良い、こっちも話があるんだ!
「すぐ、との事ですので飛びます。声を出さないでくださいね。」
返事をする間もなく、体がフワっと浮いた感覚の後、目の前にはお父様とあの先生が居た。
「お2人をお連れいたしました。」
「早かったな。クリス、アレン、ここへ座ってくれ。」
お兄様は長椅子に座るお父様の隣へ。そして僕はセバスから何故かお父様の膝へ座った。
「我が子はやっぱり可愛いな~。」
グレンは緩んだ顔して、子ども達の頭を撫でた。
「公爵様、話を進めてください。」
長椅子の後ろに立つセバスに諌められる。グレンは顔を引き締め、仕方なく話を始めた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる