趣味に全力!森の魔女は勝手気ままに生きたい 〜気になる漫画の続きが読みたいので、弟子を取りました〜

蒼烏

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第13話 グレンのお留守番1日目4

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「ちなみに、他にも動物達はいてね。羊や山羊、豚、馬も居るから。今はどこかに出掛けてるのかな?羊と豚はご飯ぽいね。ほら、遠くに見えるでしょ?山羊は多分岩山に登ってるかな、馬は……森の中を走ってるかもね……彼等は強いからねー」
「へー、こんどまたあいさつしにきます!」

 放牧場を離れた3人は歩きながら他の動物達の話をしていた。

「にゃ、それがいいな。あいつらも変化がないから飽きてるだろうし、行ってやってくれ。皆いい奴らだからな」
「はい!」

 グレンは会えなかった動物達との交流を楽しみにしながら家へと戻っていく。

(みんなかわいいなかな……モフモフしたいなー)

 グレンの顔がほころぶ。

「嬉しそうだねー、動物は好き?」
「はい!うしのせわとかしてました!」
「んなー、そうか。あいつ等は世話いらないからな、でも牛乳を貰ったり、卵を貰ったりはお前に任せようか」
「――やります!」

 グレンはここに来て初めての仕事を貰い、ホッとし様な表情で頷いた。
 いくら家族と言われても、やはり役割は欲しいものだ。

「ふふ、じゃあ任せるね。皆んなと仲良くね」
「うむ、頼むぞ」
「がんばります!」
「そうだ、あと留守番してもらう間に誰か来たらどうしようか?」

 今日の予定として、グレンは留守番をしなければならないのだ。

「んにゃー、特に誰か来る予定もないし……普段から誰も来ないけど……」
「そうだよね。まぁ誰か来たら待っててもらうか、また来てもらうしかないかな。ここまで来れる人はそうそう居ないからね」
「だな、悪意のあるものは結界で弾かれる。敷地内まで入ってきたものは基本的に問題ない、はずだ……」

 クレアと寅吉はうんうんと唸りながら思い出している。

「まっ!大丈夫でしょ!」
「にゃ!大丈夫だろ!困ったらさっきの牛達に頼ると良い。頼りになるからな」
「はい」

 ◇◇◇

 家まで戻ってきたら3人はそれぞれ準備を始める。
 クレアも寅吉も自室に引っ込んで準備をしている。
 グレンは1人ダイニングでお茶を入れてもらって待ちぼうけしていた。

(きょうはなにしようかな……べんきょうもしたいし……どうぶつのところもいきたいな……)

 グレンは1日の予定を考えつつ動物達に抱きつく妄想を脳内に展開していた。
 自然と口元が緩むグレン。

「どうしたの~何か良いことあった?」
 
 2階から階段を降りてくるクレアがグレンに声をかける。
 昨日と同じ動きやすいズボンにジャケットを羽織った探検者スタイルだ。
 ただ、今日は大きな杖を初めから持っていくようだった。

「いえ……ちょっと、どうぶつさんたちのこと、かんがえてて……」

 グレンはちょっと恥ずかしそうに俯きながら正直告白する。

「あはは、君は初日から寅吉の喉を鳴らしてたからね。きっとあの子達とも仲良くなれるよ」
「がんばります!クレアさんは、どこにいくんですか?」

 クレアからお墨付きを貰い、更にやる気を見せるグレンは、クレアに今日の予定を確認する。
 
「私は昨日生み出した樹海の様子を見に行ってくるよ。生まれたての森だからね、何が起きてるか分からないから確認してくるよ。グレンには簡単な文字と数字のテキスト用意したから……これ、やってみて。あとは自由にしてていいから」
「はい、べんきょうがんばります……」

 クレアはグレンの為に、勉強するためのテキストを用意してくれたようだ。
 グレンは不安そうな表情でクレアからテキストを受け取る。 
 村では子供も労働力だったため、勉強をちゃんとやったことはない。

(おとうさんとおかあさんに、ちょっとおしえてもらったけど……できるかな?)

 簡単な文字や数字は両親から習ったので何となく分かるが、自分1人で勉強をするのは初めてだ。

「そんな不安そうにしなくても大丈夫。ちゃんと良いもの用意してあるか!ふふーん、見たらびっくりするよ?」
「にゃ、クレアも準備できたか。そろそろ行くかな」

 寅吉も2階から階段を降りてきた。
 寅吉も昨日同様に着物を着て、腰には2本の刀。
 着物の柄がちゃんと違うのが拘りなのだろうか。

「そうだね、早めに行って調査しちゃおう。途中まで一緒に行くでしょ?」
「うむ、頼む。俺は予定通り魔獣の調査と浄化。あと……グレンの村を確認してくる」
「ぼくの……むら?」

 寅吉の言葉にグレンの心臓が大きく跳ねる。

「ああ、魔獣の調査も兼ねて確認してくるつもりだ。生き残りや何か思い出の品があるかもしれないからな。グレン、こんな聞き方で悪いが、もし、村の人が生き残っていたらどうする?村に、帰りたいか?」
「ぼくは……」
 
グレンの胸が、ぎゅっと締め付けられる。
思い出すのは、父の悲鳴。
もし村に戻れば、そこには何が残っているのだろう。
――帰りたい。でも、怖い。
 
「……いまはいけないです……」
「寅吉、それはそれはズル聞き方だよ。グレン、君が何処で、どう生きたいかのお話なんだ。今すぐ決めなくてもいい、生き残った人達がいて、もしもう一度会いたいんなら会わせてあげられるし、戻りたいなら帰れるようにする

 2人はグレンの目を真っ直ぐに見つめ、問うてくる。
 
 ――お前はどうしたいか?――

 と、ほんの数日前の村の記憶。
 妹の手を取って走るグレンの背後から聞こえてきた父親の悲鳴。

「……いまはいけないです……でも、おとうさんとアイラを、いもうとをさがしてくれると、うれしいです……」
「……分かった、お前の父親と妹の事は任せておけ」
「ありがとうございます……いつか……ちゃんともどって……おはかに……」

 グレンの背後からクレアがそっと抱きしめる。
 温かな手がグレンを包み込む。

「ごめんね……妹さんのことも探してみるね……何時か、皆んなで一緒に行こうね」
「――はい」

 寅吉が無言でグレンの頭を撫で、グレンは寅吉の胸の中に顔を埋めて泣いた。
 声もなく、静かに、今生きていることを噛み締めながら泣いた。

 ◇◇◇

「じゃあ行ってくるね。あっ、そうだ。何かあったら私か寅吉に呼びかけてみて、心の中でもいいし、言葉に出してもいいけど、強く伝えたいと思いながら呼びかけるの。そうすれば、私の家族契約の力で伝わるから」
「はい、やってみます」
「クレア、そろそろ行くぞ。夕飯までに戻れなくなる」
「はーい。お留守番よろしくね!」

 クレアが魔法陣を展開し、ふわりと宙に浮く2人。
 そのまま森の樹々よりも高く舞い上がり、一気に加速して飛び去っていった。
 1人地上に残されたグレンは2人を見送ると家の中に戻っていく。

「まずはべんきょうしなきゃ!」

 1人で残される不安も寂しさもある。
 だが、何時までもそんなことを言っている暇はないと、グレンは無理矢理に思考を切り替え今やるべきことをやることにする。

 グレンの初めてのお留守番が始まった。
 
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