趣味に全力!森の魔女は勝手気ままに生きたい 〜気になる漫画の続きが読みたいので、弟子を取りました〜

蒼烏

文字の大きさ
14 / 31

第14話 グレンのお留守番1日目5

しおりを挟む
「えっと……このテキストをつかって、べんきょうするんだよな……」

 ダイニングテーブルの上に置いておいたテキストを持って、グレンは自分の部屋へと戻ってきた。
 クレアから勉強を自分の部屋でやるように言われ、その通りにしたのだ。

(なんでじぶんのへやなんだろう?)

 ダイニングテーブルでも勉強はできるのにと思いながら、言われた通りに部屋に戻ると、そこには見慣れない物が置かれていた。
 朝までベッドしか置かれていなかったグレンの部屋に机と椅子が用意されており、そこには鉛筆等の筆記用具も用意されていたのだ。

「わぁ!これ、ぼくがつかっていいのかな!?」

 木製の机はシンプルながら本棚や魔道具のライトまで付いている。
 既に本棚にはいくつかの本が収められており、文字の本や、数字の本、他にも魔術の本や地図なんかもあった。
 そして、漫画の描き方を記した本や、人間の描き方の本、料理の本に、武器の本まで置いてある。
 明らかにクレアと寅吉の仕業である。
 そして一番目を引くものは……

「なんだろう、これ?」

 机の上に置かれた黒くて四角く薄い板と小さな箱、箱の上には幾つかの平べったく色違いの小さな板が置かれている。
 そして机のど真ん中に置かれた宝玉の様な翠色の石。
 グレンはその石をそっと手に取ってみる。

「きれいな、いし?」

 ツルッとした丸く磨かれたそれを手に取り、覗き込む。
 するとその石が突如淡く光だす。

「えっ、えっ!?なにかやっちゃった!?」

 慌てて宝玉机の上に置くと、グレンは少し距離を取っておっかなびっく覗き込む。
 次第に光が強くなり、宝玉の上に小さな魔法陣が浮かび上がる。
 やがて宝玉から一条の光となって放出され始めた。

「あーテステス。本日は晴天なり~。大丈夫かな?
 無事にこれが起動したと言う事は、上手くいったみたいだね。グレン、君がこの映像を見ている頃には私は既に居ないだろう。よって、ここにメッセージを残すことにする。実は私は――」

 そこに映し出されたのは出掛けていったクレアの姿だった。
 小さな光のクレアは滔々と語り始め、宝玉から声が聞こえてくる。

「クレアさんが、ちいさい!」

 若干的外れな感想を抱きながら、グレンは光のクレアに触れてみる。
 立体的に映し出されているクレアは空中に浮いていいるが、ただの光のようで、グレンの指先が通り抜けてしまう。

「すごい!どうなってるんだろう?」

 グレンは目の前の不思議な光景に目を奪われ、じっと観察し始める。
 そこに横合いから寅吉が現れ、話だす。
  
「クレア、長い」
「えー、もうちょっと良いじゃん。こんなこと滅多にできないんだし~」
「俺もやりたいから、早く」
「ノリノリじゃん……まぁいいや。とりあえずこれはグレンが宝玉に触れると発動する様にしておいた魔道具でね、事前にメッセージと映像が記録できるんだよ。これから横に置いてあるモニターと記録装置の使い方を説明するから、それを使って勉強してみてほしい。今から言う通りに操作してみてね」
 
 クレアはそう言うと寅吉と場所を交代する。

「ん゛ん゛、えーまずはモニターのスイッチを入れる。机の上に置かれた薄い板だ。向かって右側の側面に大きな赤いボタンがあるこら押してみろ。お前でも使えるようにしてあるから画面が点くはずだ」

 グレンは言われたとおりにモニターの側面を覗き込むと赤いボタンを見つけて押してみる。

「うわっ!」

 すると真っ暗だった画面が突如光だし、真っ青な画面になる。

「できたかな?青い画面が表示されたはずだ、では次に記録装置についてだ。それはこの宝玉と同じ様に映像と音声を記録しておけるものだ、本当はディスク型の方がそれっぽくていいんだが……扱いが難しいからな、そのスティク型に移し替えておいた。慣れたらディスク型も教えよう。まずは先程と同じ様に赤色のスイッチを入れる。スイッチは箱の正面右上だ。そして青色のスティックを手に取ってくれ」

 グレンは赤色のスイッチを入れると何かが動き出す音ともに、正面に幾つかの青い光が灯り、装置が起動する。
 青色の板を手に取り、寅吉の指示を待つ。

「記録装置が起動したら真ん中の穴に差し込むんだ。向きはどちらでも構わない」

 グレンがスティックを差し込むとモニターの画面が青色から変わり、可愛い動物達が動き回る動画が流れ始める。

「えっ、なにこれ?えっ、だいじょうぶ?」
「今モニターに動物の映像が流れてると思うが、これは文字の練習動画だ。文字のテキストと鉛筆を用意するように。動画に合わせて進めていくことで文字の練習ができて、説明もしてくれる優れものだ」

 グレンは流されるままにテキストを用意し、自分の目の前に置く。

「では画面の真ん中をを指でタッチしてみてくれ……動画が流れ始めただろう、その解説に従ってテキストを進めるんだ。止めたくなったらもう一度タッチだ。下に表示されたバーで進めたり戻ったりもできるぞ。やってみてくれ」

 グレンは画面を触って色々と動かしてみる。 

「おぉー、なんかうごいた!」

「説明は以上だ、幸運を祈る」
「いや幸運を祈ってどうするの。じゃあ頑張ってねグレン。ちなみに赤のスティックが数字、緑が魔術、黄色が武術、桃色はこの世界の地図や情勢なんか、紫はこの世界の法則、まあ物理や科学の話だね、動物の話もあるよ。テキストは用意してあるから色々試してね、一応文字と数字は読めた方がいいからその2つは先に必須だけどね。では健闘を祈る。なおこのメッセージ終了後にこの宝玉は爆発する」
「えっ?」

 クレアが不吉なことを言って画面から消えていく。
 グレンは椅子を立って後ろに避難する。
 
「んにゃ、しないからそのまま置いといてくれ」
 
 どうやら嘘らしい。
 寅吉の言葉と共に映像は途切れ、宝玉は輝きを失う。
 
「びっくりした……」

 素直に騙されたグレンは一息つきながら椅子へと戻って改めて表示されている画面を見る。

「すごいなーどうなってるんだろうこれ」

 本当にこの家にいると驚くことにばかりだ。
 もう慣れてきたかと思うと新たな驚きがやってくる。
 グレンの寂しさも、悲しみも、全部吹き飛ばしてくれる。

(いまは、これがいいな……よしっ、いっぱいべんきょうしよう!)

 グレンは早速テキストを広げてみる。
 
「うーん……むずかしそう?」
 
 文字の形は見たことがある。
 何となく覚えている。
 ちゃんと書けるかどうかは分からない。けれど――
 
(でも、やってみたい!)
 
 グレンは鉛筆をしっかり握り、モニターに指を伸ばし、モニターにタッチして動画を流し始める。

「がんばるぞー!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

七億円当たったので異世界買ってみた!

コンビニ
ファンタジー
 三十四歳、独身、家電量販店勤務の平凡な俺。  ある日、スポーツくじで7億円を当てた──と思ったら、突如現れた“自称・神様”に言われた。 「異世界を買ってみないか?」  そんなわけで購入した異世界は、荒れ果てて疫病まみれ、赤字経営まっしぐら。  でも天使の助けを借りて、街づくり・人材スカウト・ダンジョン建設に挑む日々が始まった。  一方、現実世界でもスローライフと東北の田舎に引っ越してみたが、近所の小学生に絡まれたり、ドタバタに巻き込まれていく。  異世界と現実を往復しながら、癒やされて、ときどき婚活。 チートはないけど、地に足つけたスローライフ(たまに労働)を始めます。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

処理中です...