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第二章
迫りゆく決戦の日まで
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「アリス⁇大丈夫なの?」
「うん。もう大丈夫」
私はさっきまで、前世の私、高木悠美といた。私の大切な記憶を思い出させてくれた。でも完全には思い出せてない。大事な部分だけを思い出させてくれた。本当に感謝している。
「アリス、もう一度聞くけど、高木悠美は覚えてないの?」
「ううん。思い出したよ。さっきまで一緒だったんだから」
「えっ⁉︎」
モウが驚くのも無理もない。だって、高木悠美は普通の人間で、魔力なんてなく魔法すら知らない女の子なんだから。
「なにがあって、魔法を使えたかはわからない。でも大事な部分は思い出せた。必ず、アリスハートを......ううん。メリヤスを止める」
「アリス」
「決戦の日が近づいているわ」
「どういう意味だ?」
「ケルベロスは後二ヶ月で復活する」
「......」
ここにいる全員が絶句しなにも言えなかった。
ガシャーン
「ステファニー⁇」
「嘘ですよね?そんなに早くケルベロスが復活するんですか?」
「うん」
「そんなの早すぎます!早くても後何年かはかかるはず......まさか、仲間を供物にした?」
「そうだと思うよ」
「そんなこと許されることではありません!」
そう怒りをあらわにするステファニーを見ていると、昔の自分を思い出す。
私もここにきたばかりの時はアリスハートに酷いことをしたやつにすごく恐怖と怒りを覚えた。父親ですら怒りの対象だった、
「メリヤスは落ちるところまで落ちたのですね?そんな人を私は軽蔑します」
「そうだね」
ああ、ステファニーにはとても心が綺麗なんだ。私とは違う。私はただ、生きたかっただけで、関係ない人たちを大勢巻き込み殺した。そんな私も許されるのだろうか?
「......」
「アリスさん。必ずメリヤスを倒してください」
「わかったよ」
倒す。そう決めたけど、心のどこかではまだ迷いがある。それだけはなんとなくわかる気がする。
そんな話をした数日後
「ガハッ!」
「アリス‼︎もうやめるんだ」
「これ以上やるとテメェの体が持たねぇぞ?」
「まだ......まだやれます」
「すごい根性だね?」
「あんたは今それを言っている場合か!早く止めなさいと!」
「わかってるよ。モウとの同化訓練をここまで」
「まだ!後一回だけ!一回だけお願いします」
「アリス。このままじゃ本当に体が壊れるぞ?」
「何かが掴めそうなの。もう時間がない。だから今なるの」
「......本当に一回だけだぞ?」
「モウ!」
ギュッ
「......」
あの時の感覚を思い出せ。あの時と私はなにを思った?強く感じた感情はなんだ?思い出せ。
じわっ
「アリス⁉︎」
「目から血が出てる。これ以上は本当に危険だ。早くやめさせろ!」
「モウ!アリスの手を離せ」
「い、今やってる。だが、すごい力だ。振り解けない」
「......」
みんなを......ううん。私の家族を守りたい。誰ひとりとして欠けるとこなくずっと一緒にいたい。そう願ったんだ。強くそう思った。
ピカッ
「な、なんだ!」
「光?」
「この光は......」
「......モウと同化できた!」
「アリス‼︎」
ギュッ
「パパ、兄さん!やったよ!やったー‼︎」
「ああ、よく頑張ったな」
そして数分後
「すぐに引き離されちゃったね」
「うん」
「ほんの数分しか持たないのか?」
「それは違うと思います。あの時は少なくても十分は持ちました」
「つまり、特訓すれば扱えるようになるってことか?」
「はい。多分そういうことだと思います」
「そうかよ」
「はい」
私は思った。メリヤスもまた被害者で、アリスハートの心が完全に壊れ無関係な人たちまで、自分の敵に見えてしまった。そう思った。
アリスハートは誰かを信じることが怖くなり壁を作りいつしか本当の自分を忘れ無差別に相手を殺す。そんなふうになってしまったのはきっとこの世界のことわりなのだと思う。
そうだとするのなら私はそのことわりを壊すのみ。
なぜなら私は転生者だから。転生者だけに与えられた特権。運命を変えられる。だからみんなは無理でも大切な人たちを守りたい。そう強く思った。
ケルベロスが復活する日まで、私は強くなり続ける。まだ笑えない私は後ろを振り返ることなく進み続ける。
迫りゆく決戦の日まで誰も死なせない!
死に行く人たち。第二章完
「うん。もう大丈夫」
私はさっきまで、前世の私、高木悠美といた。私の大切な記憶を思い出させてくれた。でも完全には思い出せてない。大事な部分だけを思い出させてくれた。本当に感謝している。
「アリス、もう一度聞くけど、高木悠美は覚えてないの?」
「ううん。思い出したよ。さっきまで一緒だったんだから」
「えっ⁉︎」
モウが驚くのも無理もない。だって、高木悠美は普通の人間で、魔力なんてなく魔法すら知らない女の子なんだから。
「なにがあって、魔法を使えたかはわからない。でも大事な部分は思い出せた。必ず、アリスハートを......ううん。メリヤスを止める」
「アリス」
「決戦の日が近づいているわ」
「どういう意味だ?」
「ケルベロスは後二ヶ月で復活する」
「......」
ここにいる全員が絶句しなにも言えなかった。
ガシャーン
「ステファニー⁇」
「嘘ですよね?そんなに早くケルベロスが復活するんですか?」
「うん」
「そんなの早すぎます!早くても後何年かはかかるはず......まさか、仲間を供物にした?」
「そうだと思うよ」
「そんなこと許されることではありません!」
そう怒りをあらわにするステファニーを見ていると、昔の自分を思い出す。
私もここにきたばかりの時はアリスハートに酷いことをしたやつにすごく恐怖と怒りを覚えた。父親ですら怒りの対象だった、
「メリヤスは落ちるところまで落ちたのですね?そんな人を私は軽蔑します」
「そうだね」
ああ、ステファニーにはとても心が綺麗なんだ。私とは違う。私はただ、生きたかっただけで、関係ない人たちを大勢巻き込み殺した。そんな私も許されるのだろうか?
「......」
「アリスさん。必ずメリヤスを倒してください」
「わかったよ」
倒す。そう決めたけど、心のどこかではまだ迷いがある。それだけはなんとなくわかる気がする。
そんな話をした数日後
「ガハッ!」
「アリス‼︎もうやめるんだ」
「これ以上やるとテメェの体が持たねぇぞ?」
「まだ......まだやれます」
「すごい根性だね?」
「あんたは今それを言っている場合か!早く止めなさいと!」
「わかってるよ。モウとの同化訓練をここまで」
「まだ!後一回だけ!一回だけお願いします」
「アリス。このままじゃ本当に体が壊れるぞ?」
「何かが掴めそうなの。もう時間がない。だから今なるの」
「......本当に一回だけだぞ?」
「モウ!」
ギュッ
「......」
あの時の感覚を思い出せ。あの時と私はなにを思った?強く感じた感情はなんだ?思い出せ。
じわっ
「アリス⁉︎」
「目から血が出てる。これ以上は本当に危険だ。早くやめさせろ!」
「モウ!アリスの手を離せ」
「い、今やってる。だが、すごい力だ。振り解けない」
「......」
みんなを......ううん。私の家族を守りたい。誰ひとりとして欠けるとこなくずっと一緒にいたい。そう願ったんだ。強くそう思った。
ピカッ
「な、なんだ!」
「光?」
「この光は......」
「......モウと同化できた!」
「アリス‼︎」
ギュッ
「パパ、兄さん!やったよ!やったー‼︎」
「ああ、よく頑張ったな」
そして数分後
「すぐに引き離されちゃったね」
「うん」
「ほんの数分しか持たないのか?」
「それは違うと思います。あの時は少なくても十分は持ちました」
「つまり、特訓すれば扱えるようになるってことか?」
「はい。多分そういうことだと思います」
「そうかよ」
「はい」
私は思った。メリヤスもまた被害者で、アリスハートの心が完全に壊れ無関係な人たちまで、自分の敵に見えてしまった。そう思った。
アリスハートは誰かを信じることが怖くなり壁を作りいつしか本当の自分を忘れ無差別に相手を殺す。そんなふうになってしまったのはきっとこの世界のことわりなのだと思う。
そうだとするのなら私はそのことわりを壊すのみ。
なぜなら私は転生者だから。転生者だけに与えられた特権。運命を変えられる。だからみんなは無理でも大切な人たちを守りたい。そう強く思った。
ケルベロスが復活する日まで、私は強くなり続ける。まだ笑えない私は後ろを振り返ることなく進み続ける。
迫りゆく決戦の日まで誰も死なせない!
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