雪兎を拾ったら旦那様ができちゃった

上野佐栁

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雪兎

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 とある寒い冬の夜。私は落とし物を探しに来た。とても大事な物で無くしてはならない物。

 だからとても冷たく凍る夜だというのに外に出て探した。

 そして見つけた。その途中で雪に埋もれかけたうさぎを見つけた。

 「うさぎ⁇」

 とても真っ白で可愛らしいうさぎ。

 私はその子を連れて帰ることにした。

 どのみちあのまましてしまえば明日の朝には凍死するだろ。

 だから私は見捨てることができなかった。

 昔に飼っていた小さな小鳥。その子が夜に出て行ったきり戻らなかった。

 私は探した。どこまでも広がるこの雪山を探し続けた。

 だけど、見つかったのはあれから二ヶ月後だった。

 「......」

 体は冷たくなりミイラ化していた。

 原因は凍死だ。

 あんな寒い日に外に出て行くのをただ黙って見守るんじゃなかった。

 止めればよかった。

 そんな後悔が頭の中を巡る。

 だからこのうさぎを見捨てられなかった。

 ううん。見捨てたくなかった。怖かった。

 もし見つけて死んでしまったうさぎの死体を見るのが怖くてしかたなかった。

 家

 「......冷たい」

 私は急いでタオルと暖房をつけた。

 ゴオオオ

 「大丈夫。絶対に死なせない」

 朝

 チュチュ

 「......」
  
 ちょんちょん
 
 「んんぅうーん」

 「ーーー!」

 「誰よ。朝から人の頭を突くのは......」

 「ーーーーっ!」

 「助かったの?」

 「ーーーーーっ」

 「よ、よかった」

 あの時みたいに命が消えるところなんて見たくない。

 あの日のことを後悔しても悔やんでもあの小鳥は帰ってこない。

 もう二度会えない君にはあの想い出の宝物だけが残る。

 小鳥につけていた鈴。

 これだけは無くしてはならない物。

 だから昨日はそれを探していた。

 転んだ拍子に無くしてしまった。

 それに気づいたのが夜だった。それだけの話。

 「君どこから来たの?」

 「ーーーーっつ!」

 「野生⁇それとも誰か飼い主がいるの?」

 「ーーっーーー!」

 「......」

 私は昔から動物の言うことがなんとなくだがわかる。

 「......そうか。捨てられちゃったんだ」

 「ーーーっーーーっーー!」

 「だったら私の家に住む?」
 
 「ーーーっ⁉︎」

 「いいのかって?いいよ?私は君の新しい飼い主になってあげるよ」

 「ーーーーっーつっ」

 「うふふ。どういたしまして」

 この時の私は知らなかった。

 このうさぎとの出会いがわたしの人生を狂わせてしまうなんて知るよしもなかった。

 そう。このうさぎは実は神獣で擬人化できてしまうのだと今の私は知らなかった。

 「君の名前を決めなきゃね?」

 「ーーーーっ!」

 「へぇー。君の名前は......」
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