雪兎を拾ったら旦那様ができちゃった

上野佐栁

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生活

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 「へぇー。君の名前は稲葉って言うんだ⁇」

 「ーーーっ!」

 「よろしくね。私はツキ」

 「ーーーーつっ」

 「うふふ。君面白いね」

 「ーーーっーつっつ」

 「これからよろしくね」

 「ーーーっー!」

 夜

 私は不思議な夢を見た。

 深く深く雪の中に埋もれるようにとても深いところで眠ってしまったかのようにそんな夢を見た。

 「ツキ。僕を拾ってくれてありがとう」

 「......」

 真っ白な髪に燃えるような赤い瞳。

 彼は誰なの?

 どこかで見た気がする。

 でも思い出せない。

 「いつか本当の姿を見せる時が来たなら僕は......」

 「......夢?」

 夢にしてはリアルだった気がする。

 「ーーーっーーつつっ!」

 「あ、ああ......お腹空いたのね?」

 「ーーーー!」

 「はいはい。今何か野菜を待ってくるから待ってってね」

 「ーーーーーっーつっつーーー!」

 「もう!おとなしく待っていること!いいね?」

 「ーーー」

 しゅん

 「うさぎってニンジンが好きなのよね?」

 あとは適用な野菜を持っていけば喜ぶはず。

 「ほら。にんじ......ん⁉︎」

 かじかじっ!

 「す、すごい食べっぷりね?」

 「ーーーっ!ーーっ!」

 「お、美味しいならよかった」

 「ーーーっ!ーーーーーつっつーーー」

 「ゆっくり食べた方がいいよ?」

 「ーーーーっーつつっー!」

 「わかった!わかったから!落ち着いて!」

 どうやら稲葉はニンジンが相当気に入ったらしい。

 丸々一本あっという間になくなった。

 「ーーーーっ!」

 「はい。お粗末さまでした」

 ドンドン

 「......」

 ドンドンドン

 「はーい。どちら様?」

 「ツキ.イレーザーだなぁ?」

 「はい」

 「お前に招待状が来ている」

 「私にですか?」

 「ああ。今度の月末に皇妃殿下様の誕生日パーティーだ。くれぐれも失礼のないように」

 「......はい」

 バタン

 「......」

 また招待状。

 クレナは一体私をどこまで追い詰めるの?

 あなたは私の全てを奪って皇妃殿下の座についた。

 だったらそれならそれでいいでしょ⁇

 もう私を巻き込まないでよ!

 「ーーーっつーー!」

 「うん。大丈夫。少し顔を見せて帰るから平気」

 「ーーーーっつーーーつー」

 「稲葉は心配性だな?私が危険な目には遭うわけないでしょ⁇」

 捨てられた元皇族。

 そう。私は昔皇族だった。

 第一皇女としてこの国を引っ張るつもりだった。

 なのに妹が元婚約者を奪い私に濡れ衣を着せて皇妃殿下の座についた。

 いわば最低な悪女なのだ。

 「行きたくない」

 行ったらまた陰口を叩かれ馬鹿にされる。

 わかってって行きたがる人はいない。

 少なくても私は行きたくない。

 「ーーーっ」

 すりすり

 「慰めてくれるの?ありがとう」

 待ってやりたい。

 だが、今の自分では守れない。

 早く大きくなりたい。

 ツキを守れるようになりたい。
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