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1-2 王都に帰還
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ここからどうしようか。
とりあえず王都まで来てみたはいいものの、節約のためにここまで歩いてきたから数日間あまり休めていない。
とはいえ手持ちの5000ペルだけじゃすぐに尽きてしまう。
まずは職を探さないと。
パーティに加入する前は街の小さな料理店で働いていたが、もう数年前だし今更戻る気にもなれない。
頭を悩ませながらぼーっと歩き回っていると、やはり料理店に目がいく。
いい匂いで溢れている。お腹もすいたな。
王都の料理店はどこも繁盛していて、誘惑が押し寄せてくる。
そのまま匂いにつられて一つの民族料理店の扉を開けた。
「いらっしゃい!」
ふわりとした香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
元気がいい大将一人でここはやっているようだ。
俺も昔は店を持つことが夢だった。
お金がなかったから諦めたけど、いつか落ち着いて機会があれば考えてみるか。
そんなことを考えながら、その店で一番人気の定番をまずはいただく。
コバラ肉のほろほろとした食感とフィルムベリーの辛さがご飯と非常に相性がいい。
モルトゴフのスープはほどよいしょっぱさで後味を綺麗にしてくれる。
デザートのナラベリーアイスもとても甘く、五感全てに染み渡った。
「ご馳走様でした」
これで少しは元気になるはずだ。
料理人の作った料理は『バフ』や『回復』効果があり、それぞれの特性が違う。
が、あまり変わった感じはしないな。
疲れも眠気も取れない。
メニューにも効果は書いていなかったし、不思議な料理店だ。
980ペルを支払い、俺は店を出た。
次は宿を探したいところだがその前に当面の生活を考えないと。
そこではっと思い出し、急いである場所に向かう。
『本日のお知らせ』
掲示板だ。
大体はここで求人を見たり情報を仕入れる。
冒険者募集の張り紙もあるが、今時の冒険者は儲かるのだろうか。
もしも儲かるなら勇者パーティも資金不足にはならなかったはずだが。
『勇者パーティ、解散』
一つの記事が目に止まり、心臓が一瞬どくりと脈打つ。
まぁ、解散したも同然だ。
実質二人。活動もしていない。
王都に来てみて、勇者は死んだのかとまで言われていた。
それにしても魔王討伐時はあんなに騒がれた勇者パーティがこんな小さな記事になるとは。
どうやら勇者というのは流行りではないらしい。
「うーん……」
なかなかこれだと思う求人が見当たらない。
選り好みしている場合ではないが、学院卒だったりスキル必須だったりでどれも条件に合わないのだ。
「冒険者になりませんか」
悩んでいると、横から澄んだ声が聞こえた。
振り向くと誰もいない。
誰かの会話か? 耳に残るきれいな声だった。
「冒険者か……」
先程の冒険者募集の張り紙を見る。
「……悩むより行動だな」
一先ずギルドに行ってみるか。
くるりと振り向くと、視界の端に異物が映る。
あ、と思った時には遅かった。
「うわ!」
腹のあたりに衝撃が来て、目の前で少年が尻餅をつく。
「す、すまない。大丈夫か?」
「……」
無言で立ち上がった少年はこちらを睨みながら向こうへと走って行った………と思ったら、すっ転んだ。
「お、おい!」
慌てて駆け寄ろうとすると、にゅっと長い脚が横から現れる。
「おいおい少年~人のものはぁ、とっちゃいけませんって教わらなかったのかい」
「え?」
喋りながらふらふらと路地から出てきたのは背の高い女性。
無造作に伸ばした黒い髪と手に持っている酒瓶がやけに似合っている。
唖然としている少年に近づくと、そのままひょいと身体を持ち上げる。
ポケットに手を突っ込むと、少年が焦り出した。
「くそ! やめろはなせ!」
「暴れんなって~…。と、ほらよにいちゃん」
「え、あ」
女性は何かを投げてきた。
思わず受け取った小袋の中身は、ボイドからもらった俺の全財産だった。
「この辺はスリが多発してんだよねぇ。ほら少年、謝んなぁ」
「……」
「お~い」
「……おれたちから奪った奴らから奪い返して何が悪いんだよ!」
そう叫ぶと少年は今度こそ走り去ってしまった。
奪った? 奪い返す? 何の話だ。
俺を知っている子か?
「ん~あの子は知り合いかい?」
「いや……知らないはずだ」
「ふぅん。ま、気ぃつけなぁ」
その女性はひらひらと手を振り鼻歌を歌いながら颯爽と来た路地に消えていった。
かなり懐かしい、どこかで聞いたことのある歌だ。
また会えるだろうか。
アンニュイな雰囲気の酒臭い女性だったな。覚えておこう。
「あ! お礼と名前…聞いてないな……」
まあ次に会えたらお礼をしよう。
それにしても、旅立ちの前はスリを見かけたことすらなかった。
そこまで貧相な暮らしをしているようには見えなかったが、今の王都はそこまで落ちているのだろうか。
心なしか周りを歩く人々の顔もどこか暗く感じる。
「一体何があったんだ…?」
――ゴーンゴーン――
15時の鐘の音が聞こえてハッとした。
ぼーっとしている場合じゃない。
冒険者ギルドが閉まる前に急ごう。
俺は急ぎ足でその場を離れた。
とりあえず王都まで来てみたはいいものの、節約のためにここまで歩いてきたから数日間あまり休めていない。
とはいえ手持ちの5000ペルだけじゃすぐに尽きてしまう。
まずは職を探さないと。
パーティに加入する前は街の小さな料理店で働いていたが、もう数年前だし今更戻る気にもなれない。
頭を悩ませながらぼーっと歩き回っていると、やはり料理店に目がいく。
いい匂いで溢れている。お腹もすいたな。
王都の料理店はどこも繁盛していて、誘惑が押し寄せてくる。
そのまま匂いにつられて一つの民族料理店の扉を開けた。
「いらっしゃい!」
ふわりとした香ばしい匂いが鼻をくすぐる。
元気がいい大将一人でここはやっているようだ。
俺も昔は店を持つことが夢だった。
お金がなかったから諦めたけど、いつか落ち着いて機会があれば考えてみるか。
そんなことを考えながら、その店で一番人気の定番をまずはいただく。
コバラ肉のほろほろとした食感とフィルムベリーの辛さがご飯と非常に相性がいい。
モルトゴフのスープはほどよいしょっぱさで後味を綺麗にしてくれる。
デザートのナラベリーアイスもとても甘く、五感全てに染み渡った。
「ご馳走様でした」
これで少しは元気になるはずだ。
料理人の作った料理は『バフ』や『回復』効果があり、それぞれの特性が違う。
が、あまり変わった感じはしないな。
疲れも眠気も取れない。
メニューにも効果は書いていなかったし、不思議な料理店だ。
980ペルを支払い、俺は店を出た。
次は宿を探したいところだがその前に当面の生活を考えないと。
そこではっと思い出し、急いである場所に向かう。
『本日のお知らせ』
掲示板だ。
大体はここで求人を見たり情報を仕入れる。
冒険者募集の張り紙もあるが、今時の冒険者は儲かるのだろうか。
もしも儲かるなら勇者パーティも資金不足にはならなかったはずだが。
『勇者パーティ、解散』
一つの記事が目に止まり、心臓が一瞬どくりと脈打つ。
まぁ、解散したも同然だ。
実質二人。活動もしていない。
王都に来てみて、勇者は死んだのかとまで言われていた。
それにしても魔王討伐時はあんなに騒がれた勇者パーティがこんな小さな記事になるとは。
どうやら勇者というのは流行りではないらしい。
「うーん……」
なかなかこれだと思う求人が見当たらない。
選り好みしている場合ではないが、学院卒だったりスキル必須だったりでどれも条件に合わないのだ。
「冒険者になりませんか」
悩んでいると、横から澄んだ声が聞こえた。
振り向くと誰もいない。
誰かの会話か? 耳に残るきれいな声だった。
「冒険者か……」
先程の冒険者募集の張り紙を見る。
「……悩むより行動だな」
一先ずギルドに行ってみるか。
くるりと振り向くと、視界の端に異物が映る。
あ、と思った時には遅かった。
「うわ!」
腹のあたりに衝撃が来て、目の前で少年が尻餅をつく。
「す、すまない。大丈夫か?」
「……」
無言で立ち上がった少年はこちらを睨みながら向こうへと走って行った………と思ったら、すっ転んだ。
「お、おい!」
慌てて駆け寄ろうとすると、にゅっと長い脚が横から現れる。
「おいおい少年~人のものはぁ、とっちゃいけませんって教わらなかったのかい」
「え?」
喋りながらふらふらと路地から出てきたのは背の高い女性。
無造作に伸ばした黒い髪と手に持っている酒瓶がやけに似合っている。
唖然としている少年に近づくと、そのままひょいと身体を持ち上げる。
ポケットに手を突っ込むと、少年が焦り出した。
「くそ! やめろはなせ!」
「暴れんなって~…。と、ほらよにいちゃん」
「え、あ」
女性は何かを投げてきた。
思わず受け取った小袋の中身は、ボイドからもらった俺の全財産だった。
「この辺はスリが多発してんだよねぇ。ほら少年、謝んなぁ」
「……」
「お~い」
「……おれたちから奪った奴らから奪い返して何が悪いんだよ!」
そう叫ぶと少年は今度こそ走り去ってしまった。
奪った? 奪い返す? 何の話だ。
俺を知っている子か?
「ん~あの子は知り合いかい?」
「いや……知らないはずだ」
「ふぅん。ま、気ぃつけなぁ」
その女性はひらひらと手を振り鼻歌を歌いながら颯爽と来た路地に消えていった。
かなり懐かしい、どこかで聞いたことのある歌だ。
また会えるだろうか。
アンニュイな雰囲気の酒臭い女性だったな。覚えておこう。
「あ! お礼と名前…聞いてないな……」
まあ次に会えたらお礼をしよう。
それにしても、旅立ちの前はスリを見かけたことすらなかった。
そこまで貧相な暮らしをしているようには見えなかったが、今の王都はそこまで落ちているのだろうか。
心なしか周りを歩く人々の顔もどこか暗く感じる。
「一体何があったんだ…?」
――ゴーンゴーン――
15時の鐘の音が聞こえてハッとした。
ぼーっとしている場合じゃない。
冒険者ギルドが閉まる前に急ごう。
俺は急ぎ足でその場を離れた。
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