家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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公園に入ってあらためて見ると、その女性はやはり彩香であることがわかった。
俯いていてよく見えないが、少なくとも楽しそうな顔ではないようだった。
それに気づいた鷹文は、隣の男性をを睨むようにして横からベンチに近づいていった。
そばまで来ると、気づいた男性が鷹文に声をかけた。
「何か用かな?」
「彼女と待ち合わせしていたので、迎えにきました。そういうあなたは誰ですか?」
こみ上げてくる怒りを抑えながら、鷹文は彩香の隣に座っている男性に尋ねた。
「たかふみくん。ごめん・・・連絡くれてたよね」
鷹文に気づいた彩香は、慌ててスマホを確認した。
「彼女は以前うちの隣に住んでいたんだ」
鷹文の言葉に、史紀は乾いた声で答えた。
「そう、ですか・・・」
どうやら不審者ではないらしいと分かった鷹文は、ふうと力を抜いた。
「・・・前住んでたところのお隣さんだった、山本史紀さんっていうの」
「彩香と同じクラスの斉藤鷹文です」
鷹文はいつも以上に冷めた口調だった。
「よろしく」
史紀も最低限の言葉しか口にしなかった。
なぜか険悪な雰囲気の2人を気にした彩香は、
「あのね・・・鷹文くんはバイト先の家の息子さんなの」
といらぬことを付け加えた。
「そうなんだ・・・」
彩香の言葉に頷きながらも、史紀は鷹文に視線を送っていた。
「彩香、そろそろ戻らないと」
鷹文は彩香の方を向いた。
「・・・そうだね。ごめんね史紀くん」
彩香はゆっくり立ち上がった。
「彩香!また、会えるかな?」
史紀は彩香をじっと見つめた。
「うん・・・連絡ちょうだいね」
彩香はぎこちなく微笑んだ。
「わかった。今度は必ず連絡してからにする」
「じゃあ、また、ね」
鷹文の後を追うように彩香も公園を後にした。

公園を出てからしばらくして、鷹文はやっと彩香に話しかけた。
「・・・悪かったな。じゃまして」
「そんなことないよ。私の方こそごめんね。連絡くれてたのに」
彩香は申し訳なさそうに、横から鷹文の顔を覗き込んだ。
「いや・・・」
それきり会話は止まってしまった。

「・・・隣の学校、見た?」
しばらくして、今度は彩香が話しかけた。
「ああ。横通ってきた。学校の名前は京都っぽいな」
「うん。私が通ってた小学校なの」
「へえ・・・」
会話が続かない。
「・・・怒ってる?」
「・・・別に」
「・・・ふふ」
彩香が突然笑った。
「な、なんだよ、いきなり」
動揺する鷹文。
「なんかいつもの鷹文くんだなぁって」
笑顔になった彩香が鷹文の顔を覗きこんだ。
「・・・明衣がうるさいから、速く戻るぞ」
鷹文は恥ずかしそうに顔を逸らした。
「うん・・・あれ?」
彩香のスマホがブルブル震えていた。
「明衣からだ、怒ってるかもね」
と彩香は笑顔で電話をとった。
「・・・えっ!」
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