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 私はセレーナ。ピンクの髪に赤い瞳をしている。

 5歳の頃、無関心な両親の顔も覚えきれぬうちに、お嫁に出された私は乳母に抱かれながら、目の前に聳え立つ屋敷を眺めていた。

 これから私が嫁ぐ屋敷は、屋根がルビーの様に真っ赤な光景が目につくものだった。

 私の実家であるウィスミー公爵家と、嫁ぎ先のプライアー公爵家の婚姻は王国を確固たるものにする為の政略的結婚だった。

 だから当人同士の意思など関係なく式もせずに速やかに行われたのだった。

 私は大好きな乳母がおり、もとより両親を恋しいと思う感情がなく、新しい家に過ごすだけなのだと思っていた。

 部屋に案内され乳母の腕から降りて椅子に腰掛けて待っていると、部屋のドアが開いた。

 そこに現れたのは、緑色の目をくりくりとさせてくせ毛の黒髪をした男の子と両親が入ってきた。

 彼らの姿を確認すると屋敷で教わったお辞儀をした。

 すると男の子は笑顔を駆け寄ってきた。

「僕はハリアだよ。これからよろしくね!」

「うん!」

 あまりの笑顔に、つられて笑った。

 ハリアの両親も気さくな性格なのか、何の問題もなく打ち解けていった。

 みんなで食事を囲い、その後これから使う部屋に通された。

 まだ子供ということなのか、ハリアと同じ部屋で過ごす様だった。

 寝巻き姿に着替えてベッドに横になったその時、目の前にこちらを覗き込むハリアがいた。

「どうしたの?」

 そう聞くと、ハリアは笑って言った。

「これからもよろしくね。僕たちは友達だ!」

 その言葉が嬉しくなって、私も笑って頷いた。

 一番の親友ができたことがすごく嬉しかった。

 次の日からわたしは、彼の後ろを追いかけて回った。

 公爵家の若奥様としての教養をを受けつつ、合間はハリアとかけっこして回った。

「ハリア!待ってよー!」

「早く!早く!」

 ここに来られてよかったと、本当に思った。

 今はお茶の時間を2人で過ごしながら、自分たちは何が好きなのか言い合った。

「僕はね!馬が好きなんだ!大きくて早いだろ?」

「そうなのね!でも怖くない?」

 したから見上げる馬には圧倒されて自分は中々好きになれないなと思った。

「慣れたら簡単だよ。もう少し大きくなったら、一緒に乗ってどこかへ出かけようね。」

「それは楽しみね…なら私も大きくなったら馬に乗れる様にするわ!そしたら2人で楽しく過ごせるもの!」

 私が鼻を広げて得意げに話す姿がおかしかったのか、ハリアは声をあげて笑っていた。

そして私もつられる様にお腹を抱えて笑ったのだった。


 
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