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エピソード2
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「ここどこ」
エラは辺りを見渡すが、そこには何も無い。
いや。
何かあるのかも知れないが何も見えない。
そこは「真っ黒」が果てしなく広がっている。
上も下も左も右も、ただダダ「真っ黒」が広がっている。
怖くなったエラは、「誰か!」と声の陰り叫ぶ。
「誰かいませんか!」
同じ言葉を何回も叫ぶ。
エラの言葉は、反響してエラの耳に戻ってくる。
まるで、やまびこのように。
同じ言葉を10回ほど叫んだ時、遠くの方でボヤっとした明かりが見えた。
エラはその明かりにホットして、自然に笑みがでる。
「良かった」
その明かりを目指して走る。
明かりに早く照らされたい。
いつも感じてる明かりが、こんなに安心できるものだと知らなかった。
数分も立たない内に、ボヤっとしていた明かりはハッキリしたものになる。
(人影?)
明かりの下には二人の人影が見えた。
その二人の人影は、エラを見ているのだろうが?・・・・エラの方に体を向かせている。
少し不気味だったが、この変な場所に1人では居たくないのでエラは人影に近づく。
「え」
その人影は、エラの知った顔だった。
高そうな服を纏った男女。
豪華な服に比肩を取らないほど、男も女も美形。
女は羽の付いたセンスで、ゆっくりと自分の顔を仰いでいる。
男は不敵な笑みを浮かべてエラを見つめている。
(なんで)
エラはその場に立ちすくんでしまう。
ジョンとメアリー。
エラの元夫とジョンと、ジョンの1番のお気に入りの愛人メアリー。
エラを自殺を追い込んだ2人。
「なんで」
先程思った言葉を今度は口に出す。
ジョンは不敵な笑みを浮かべた口を開く。
「諦めろ」
短く言い放たれた言葉。
「何を?」
エラは両親の敵であるジョンに噛みつくように言う。
答えたのはジョンでは無くメアリーだ。
高いメアリーの声は良く響く。
「あなた、私たちに復讐しようとしてるでしょ」
そういったメアリーは、ジョンに近づくとジョンの頬を撫でる。
「無駄なことはよせ。」
メアリーに変わり喋り初めたジョンは続ける。
「お前がいくら足掻いたところで、隣国の伯爵と結婚したところで、王族の俺たちにはかなわない。」
「だいたい」
そこで言葉を切ったジョンは、メアリーの頭を撫でたかと思うと、
目を細め、耳に届きそうなほど口角を上げてエラを見る。
「あんな事ぐらいで自殺するお前の両親が弱かっただけだろ」
「そうよ!私たちのせいにされても困るわ。
そんな弱虫共のせいで私たちの幸せな結婚生活を壊さないでちょうだい」
高笑いをする二人に、エラは怒りの目を向ける。
ジョンやメアリーに言われた言葉が、何度もエラの頭の中で繰り返される。
憎い
こんなに人を憎んだのは初めてだ。
「両親はそんな人じゃない!」
そう叫んだエラは、ジョンに掴みかかろうとする
が
エラは突然、浮遊感に襲われる。
さっきまで立っていた場所が無くなり、二人を見上げる高さまで落ちる。
ジョンとメアリーは、笑っている。
まるで、愉快なショーでも見ているかのようだ。
「ツッ」
眉を潜め、2人を睨み付けたが、助けてくれるわけがない。
エラは為す術なく、ただダダ落ちていく。
(誰か助けて)
そう思って、落ちてきた上に手を伸ばす。
肩に痛みを感じるほど思いっきり伸ばした手は、何かに包まれた。
その何かはとても暖かい。
(落ち着く)
その温もりはとても心地よかった。
「・・・・ラ」
「・・・・・・エ・・ラ・」
エラは、誰かに名前を呼ばれているのに気がつく。
その声は知っているような知らないような声。
優しい声。
段々とその言葉が、ハッキリと近くなっていく。
「エラ」
もう一度名前を呼ばれた時、
「んぅ」という声を上げたエラの瞼が無意識に開く。
エラの目には心配そうに眉を顰める男が映る。
長い綺麗な金髪。
サファイアのような青い目。
綺麗な白い肌。
「ルイス伯爵様」
エラは反射的にでも、ゆっくりとした口調で目の前の男の名前を言う。
ルイス・ライデッカー伯爵。
エラの二度目の夫。
自分の手に温もりも感じたエラは、自分の手を見る。
エラの手には伯爵の手が握られている。
(さっきの手、この人だったのか)
ぼんやりする意識の中でエラはそう思った。
エラは辺りを見渡すが、そこには何も無い。
いや。
何かあるのかも知れないが何も見えない。
そこは「真っ黒」が果てしなく広がっている。
上も下も左も右も、ただダダ「真っ黒」が広がっている。
怖くなったエラは、「誰か!」と声の陰り叫ぶ。
「誰かいませんか!」
同じ言葉を何回も叫ぶ。
エラの言葉は、反響してエラの耳に戻ってくる。
まるで、やまびこのように。
同じ言葉を10回ほど叫んだ時、遠くの方でボヤっとした明かりが見えた。
エラはその明かりにホットして、自然に笑みがでる。
「良かった」
その明かりを目指して走る。
明かりに早く照らされたい。
いつも感じてる明かりが、こんなに安心できるものだと知らなかった。
数分も立たない内に、ボヤっとしていた明かりはハッキリしたものになる。
(人影?)
明かりの下には二人の人影が見えた。
その二人の人影は、エラを見ているのだろうが?・・・・エラの方に体を向かせている。
少し不気味だったが、この変な場所に1人では居たくないのでエラは人影に近づく。
「え」
その人影は、エラの知った顔だった。
高そうな服を纏った男女。
豪華な服に比肩を取らないほど、男も女も美形。
女は羽の付いたセンスで、ゆっくりと自分の顔を仰いでいる。
男は不敵な笑みを浮かべてエラを見つめている。
(なんで)
エラはその場に立ちすくんでしまう。
ジョンとメアリー。
エラの元夫とジョンと、ジョンの1番のお気に入りの愛人メアリー。
エラを自殺を追い込んだ2人。
「なんで」
先程思った言葉を今度は口に出す。
ジョンは不敵な笑みを浮かべた口を開く。
「諦めろ」
短く言い放たれた言葉。
「何を?」
エラは両親の敵であるジョンに噛みつくように言う。
答えたのはジョンでは無くメアリーだ。
高いメアリーの声は良く響く。
「あなた、私たちに復讐しようとしてるでしょ」
そういったメアリーは、ジョンに近づくとジョンの頬を撫でる。
「無駄なことはよせ。」
メアリーに変わり喋り初めたジョンは続ける。
「お前がいくら足掻いたところで、隣国の伯爵と結婚したところで、王族の俺たちにはかなわない。」
「だいたい」
そこで言葉を切ったジョンは、メアリーの頭を撫でたかと思うと、
目を細め、耳に届きそうなほど口角を上げてエラを見る。
「あんな事ぐらいで自殺するお前の両親が弱かっただけだろ」
「そうよ!私たちのせいにされても困るわ。
そんな弱虫共のせいで私たちの幸せな結婚生活を壊さないでちょうだい」
高笑いをする二人に、エラは怒りの目を向ける。
ジョンやメアリーに言われた言葉が、何度もエラの頭の中で繰り返される。
憎い
こんなに人を憎んだのは初めてだ。
「両親はそんな人じゃない!」
そう叫んだエラは、ジョンに掴みかかろうとする
が
エラは突然、浮遊感に襲われる。
さっきまで立っていた場所が無くなり、二人を見上げる高さまで落ちる。
ジョンとメアリーは、笑っている。
まるで、愉快なショーでも見ているかのようだ。
「ツッ」
眉を潜め、2人を睨み付けたが、助けてくれるわけがない。
エラは為す術なく、ただダダ落ちていく。
(誰か助けて)
そう思って、落ちてきた上に手を伸ばす。
肩に痛みを感じるほど思いっきり伸ばした手は、何かに包まれた。
その何かはとても暖かい。
(落ち着く)
その温もりはとても心地よかった。
「・・・・ラ」
「・・・・・・エ・・ラ・」
エラは、誰かに名前を呼ばれているのに気がつく。
その声は知っているような知らないような声。
優しい声。
段々とその言葉が、ハッキリと近くなっていく。
「エラ」
もう一度名前を呼ばれた時、
「んぅ」という声を上げたエラの瞼が無意識に開く。
エラの目には心配そうに眉を顰める男が映る。
長い綺麗な金髪。
サファイアのような青い目。
綺麗な白い肌。
「ルイス伯爵様」
エラは反射的にでも、ゆっくりとした口調で目の前の男の名前を言う。
ルイス・ライデッカー伯爵。
エラの二度目の夫。
自分の手に温もりも感じたエラは、自分の手を見る。
エラの手には伯爵の手が握られている。
(さっきの手、この人だったのか)
ぼんやりする意識の中でエラはそう思った。
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