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「無理ってなんだ」
「いや、おかしいですよね……。入るわけない。物理的におかしい」
「物理的におかしいってなんだ」
「だって、思っていたよりも、大きい……」
「それは、褒めてると思っていいんだよな」
「ひっ……!!」

 下の入り口に熱いものが押し付けられた。

「ほら……。先っぽはすぐに入った」

 それでもレインハルト殿下は、はぁと熱い吐息を吐いて、私の胸元に額をペタっとくっつける。

「やばい。先っちょだけでも、気持ちいい……。ちょっと、休憩……」

 足を大きく開脚している私としては、この姿勢のままレインハルト殿下の頭をなでなでし続けるのは、股関節が痛い。
 もじもじと足を動かすと、彼は手をついて姿勢を整える。さらに、私の腰を掴み直した。

「はあ。アンリの中は、どこもかしこも熱くて、溶けそうだ……。痛むか?」

 一応、私を気遣う余裕はあるようだ。

「大丈夫です」

 だって、先っちょだけだから。
 私は彼の背に手を回す。

「力、抜けよ? 僕だって初めてだって言っただろ? 入れてる途中で出たらどうするんだ?」
「別に、どうもしません……っ!!」

 ぐぐっと、彼が腰を進めてきている。だけど、めちゃくちゃ痛い。痛いものは痛い。

「いたいいたいいたいいたい……」
「だから、力を抜け」
「……ひぅっ……」

 彼は、私の赤く熟れた陰核を、くにくにっと捻くり回す。

「ひゃっ……」

 そこから与えられる刺激は、身体が飛び跳ねてしまうもの。

「くっ」

 苦しそうに彼も声をあげる。だけど、その隙にずぼずぼっと奥まで入ってきた。

「……ん、んっ……ふぅ……」

 痛くて涙が零れそうになる。

「頑張ったな。全部、入ったぞ」

 こういうときだけ、私を子供扱いしてくる。優しく目尻の涙を舌先で舐めとった。

「あぁ……。アンリの中、めちゃくちゃ気持ちいい……」

 私のあそこは、まだじわっと痛む。

「痛い?」

 困ったように目尻を下げて尋ねてくるその表情は、わんこのようだ。

「大丈夫、です……」

 彼を安心させるためにも、ちょっとだけ微笑んでみた。

「本当は、痛いくせに」

 ちゅっと音を立てて、頬に口づけを落とされた。

「あぁ~。アンリがめちゃくちゃ可愛い……。そろそろ、動きたいんだけどいい? アンリを気遣って、ここまで我慢した僕を褒めて欲しい」

 隙間なく下半身をくっつけた状態で、何をどうやって褒めろと? ナニをか?

「え、と……。どこに褒める要素がありますか?」
「そういう返しができるってことは、もう、痛くないんだね」

 そう言われると、先ほどよりは痛みは引いている。

「すぐ、出そうだけど」
 と言いながら、レインハルト殿下は私の腰を持ち直した。

「はぁ……。気持ちいい……」

 ゆっくりと腰を引き、ぐんと奥を穿つ。

「ひゃっ……」

 奥を打たれた衝撃で、私の胸もふるっと震える。
 彼は真剣な眼差しで規則的に腰を揺すっている。そのたびに、私の身体もずんずんと動く。

 痛かったのは最初のほうだけで、今では膣襞を擦られるたびに、淡く心地よい疼きが生まれる。

「あっ、あっ、あっ……」

 彼の動きに合わせて、私の恥ずかしい嬌声も漏れ出す。

「やっ……、それ、一緒、ダメ……」

 どさくさに紛れて、彼の指は私の敏感な場所に触れている。中からも外からも攻められたら、どうしようもない。

「やっ……、ん、んっ……」

 また先ほどと同じように、快感の波が背中から押し寄せて、私を飲み込んだ。

「あっ、あぁ……」

 一際高く、はしたない声を出して、二度目の絶頂を迎えた。ぎゅうぎゅうと私の中は痙攣している。
 だらりと力は抜けていくけれど、彼はしっかりと腰を押さえているため、繋がっている部分は未だに繋がっている。

 律動が速まった。

「くぅっ……、で、でる……」

 ぐぐっと彼が腰を押し付けてきた。
 どくどくと熱いものがお腹の中を満たしていく。

 へたりと、またレインハルト殿下は私のほうに身体を預けてくる。

「失敗、しなかっただろ?」
「そ、そうですね……」
「アンリ……。キスしていい?」
「はい」

 私も彼の背に回していた手に力を込め、彼を引き寄せた。

 ちゅ、と触れるだけの静かな口づけだったけれど、彼からの愛情を充分に感じられた。

「これから、よろしくね。僕の婚約者」
「は、はい……。十も年上の面倒くさい女ではありますが……。殿下の……」
「じゃなくて、名前」
「あ……、レインの婚約者として恥じぬように精一杯努めさせていただきます」
「あ、うん。そういうところが面倒くさい。ま、それも可愛いんだけどね」

 そう言って笑ったレインハルト殿下こそ、可愛らしかった。

 きっと私はこれから、彼のこのような姿を独り占めできるのだろう。そんな優越感に目覚めた。
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