NTRたので証拠を集めていたら宰相様にNTRました

ぱっつんぱつお

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部屋に飾られる大きな鏡

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「これが、ホテルへ入る二人……、それでこっちは……あ。ルームサービスが運ばれるところです。で、チェックアウトして帰る二人に、屋敷で繋がっている二人です」
「うわ、アイビー! こんなところまで撮ったの!? 本当に大胆なことするねぇ! だけど……これ、敷地に入ってる? だとしたら不法侵入だって言われるんじゃない?」
「や、やはりそうですか……。声もバッチリ聞こえてたんですけど……録音程度にしとけばよかったですかね……」
「ううん……それもどうかな……」

 この写真は本当に最後の手札だね、とアイザック様はファッキンちょめちょめ中の写真を眺め、ウイスキーのロックを一口。
 時刻は十九時──、仕事を終わらせ直ぐに来てくれたであろうアイザック様。
 じっと写真を眺めている黄金色の瞳に、私はらしくもなく、やっぱり若い方が良いのね、なんて思ってしまう。
 モニカクソアマは現在十六歳だそうだ。成人したてのホヤホヤぴちぴちである。
 したてホヤホヤぴちぴちであそこまで精力的に活動できるとは。若さとは素晴らしいな。
(とか言ってる場合じゃねぇぞ自分)


「ハァーー……全く。……何度見ても情けないわ……自分の婚約者がこんな……」
「モニカちゃんは随分と華奢だねぇ」
「…………アイザック様?」
「ん? なぁに? もしかして嫉妬してくれているの?」
「いや何故私がアイザック様に嫉妬するのですか、貴方様が若い女の裸をじっと眺めているからですよ!」
「君だって随分と若いだろうに」
「モニカさんは私より四つも下です!」
「なら君の裸を見せてくれる? よっぽど刺激的だと思うな」
「な、なななな! かっ、からかうのはよして下さい!!」
「あはは、君って本当に可愛いね」

 何故なにゆえこうも人を弄ぶのか。
 仕事をしていれば色々な人と話すけれど、さすが貴族、と言っていいのか、甘いマスクと微笑みと雰囲気が、庶民の戯れとは全く違う。いや単純にズルい。


「あ! そういえば私、リンデンバウム侯爵領へ視察に行ったことがあるんですよ! 観光と称してですけど」
「そうなの? うちの領は何も無いだろうに」
「いえいえ、メリーウェザーの領と違って侯爵領の特産品は貴族向けでそれに歴史も古いですから、どんな風に栽培管理しているのか大変興味がありましてね」
「それで、どうだった?」
「やはり手間の掛け方が違いますね。私達は領全ての商品を一つの場所で管理し、そのまま直ぐに出荷します。極限までコストを抑え、より良い品をより安く提供するために常に効率化を測っていますが……。侯爵領は真逆でした。が、やり甲斐は大変にありそうです」
「すごいねアイビーは。まだ若いのに、メリーウェザーもロズワールも管理して……」
「ふふふ、なんたってメリーウェザーですもの。私より弟の方がきっと優秀になりますよ? もう既に頭角を現してますからね!」
「へぇ、弟が?」
「ええ! まだ八歳ですけれど」


 弟が成人して、メリーウェザーを正式に継げる歳になれば、私はジャンと結婚し、この同時進行から抜け出せる。
 父は身体を悪くしているからメリーウェザーを管理するのは、家族として貴族として当然だ。
 本当はジャンにももう少し上手くやってほしいのだけど、やって駄目だったのだから仕方無い。
 幼き頃に浮気し離婚して出ていった母と、認知症の父に、兄弟も居らずまともな親戚も居ない。
 ビジネスのやり方も習わず、情緒が不安定だった父の代わりに社交界に参加していたジャン。
 いつから介護をしていたのか分からないけれど、ジャンは一人で頑張ってきたんだ。母親の愛情に飢えているんだ。だから私が支えてあげないと。

 ──酒が入り、暫く経つと身の上話だってしてしまう。
 アイザック様は、「ジャン君にも色々あるんだね」とそっと私の手を握り、君もよく頑張ってるよと、褒めてくれる。
 心がこそばゆくって、アルコールのせいか頬が染まる。

「アイビー、君はこんなに頑張っているのに。もっと褒められてもいいんだよ?」
「えっ、あっ。アイザック様……!」

 握った手を引き寄せられると、ジャンよりも大きな腕に包まれた。
 温もりとこそばゆさと抱き締められるドキドキが、ぜんぶ入り混じって息がしにくい。
 そして髪の流れに沿って頭を撫でられる。

「アイザック様……わ、わたし子供じゃありません……!」
「ジャン君だってアイビーに甘えているじゃないか。だから君も甘えていいんだよ」

 ね、と低くて甘い声が脳まで溶かしそうだ。
 アイビー偉いねと、そんな耳のすぐ近くで囁かれたら、ぞくりと背中が震える。
 思わず、「んはっ……」と吐息が漏れた。

「ん? どうしたの?」
「は……っ。い、いえ、その……」
「何してほしい?」
「あ、アイザックさまっ……」

 背中に巻き付いている腕が、するりするりと腰へ移動していく。そのたびに擦れる指の腹の感触が、じくりと私を疼かすのだ。
 はぁはぁと荒い息と定まらぬ視点。
 鏡の中の悪魔は、ニヤリと悪戯に笑っている。

「あ、ッ……!」
「どうしたのアイビー。何してほしいの? 言ってごらん」

 彼の唇が、ほんの少しだけ耳の先に触れた。
 鼓膜の奥まで響く声。子宮がどくんと呼吸をすると、同時に中から溢れてくる。

「ほら。何でもしてあげるから。隠さずに言ってごらんよ」
「っ~~~……アイザック様っ! も、もう結構ですからっ……! じゅ、十分、十分に甘えさせていただきましたからッ!!」
「…………そう?」
「そそそうですそうです! ええ! もう十分過ぎるほどに!!」
「…………そう」

 相手オトコがいる女性には手を出さないアイザック様。
 鏡に映る悪魔は、何故だかほんの少し、残念そうだった。
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