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第七話 侵略者
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「どうしたんだいメシア団長。リックに用かい?」
「はい。あの男に時間があるのならば、鍛錬に誘おうと思いまして」
「ほう・・・・・、私の許しも得ずにかい?」
「何故、リリカ殿の許しが必要なのですか?」
「あの男は私の所有物だよ。勝手に持っていかれては困る」
一時間ほど前、参謀長執務室の扉の前では、火花を散らす二人の女性が、女の戦いを勃発させていた。彼女たちを知る誰もが、巻き込まれるのを恐れて近付こうとしない、最強対最凶の戦い。
そこに、偶然通りかかってしまったのが、ヘルベルトとロベルトである。当然巻き込まれてしまった。
「げっ、嫌な戦いが始まってやがる」
「良いところに来たね二人とも。聞いておくれよ、メシア団長が私のリックを独り占めしようとしているのさ。どう思う?」
「どうもこうもないですぜ姉御。隊長は女王のもんですぜ」
「そうだな。女王陛下だけが隊長を独占できる」
正論を述べる二人に対し、不満げな表情のリリカ。
しまったと思ったヘルベルト。このまま彼女を不機嫌にしてしまうと、後から何をされるかわからない。どうにかして、機嫌を良くして貰わなければ、ストレス解消のために、何人の犠牲者が出てしまうのか・・・・・・。
「まあまあ落ち着いて下さいよ姉御。いいじゃないですか今日くらい。メシア団長なら、間違いが起こる事もねぇですぜ」
「何を言っている、彼女だから問題なのだ。いいかい、銀髪褐色肌の美人騎士なのだよ?あの男が彼女と二人きりになって、間違いが起こらないと思うかい?」
「・・・・・・思いません」
この喧嘩の原因となっている男ならば、憧れの女性である彼女と一緒の状況で、己の性的興奮を抑えられるとは思えない。今までは何も起こらなかったが、次も大丈夫という保証はないのだ。
「あっ、そう言えば・・・・・・」
「何だい?何か知っているのかな?」
「やべっ!?いや何も知らないですぜ。この前、隊長と団長が怪しい感じになってたなんて口が裂けても------」
「・・・・・・どういう事か聞かせて貰おうか。ねぇ、メシア団長?」
この場で、しかもこの状況で、言ってはならなかった事を漏らしてしまい、慌てて口を塞いだヘルベルトであったが、もう手遅れであった。隣のロベルトが溜息をつき、激化の様相を見せた戦いに呆れる。
ヘルベルトの悪い癖であるのだが、彼は時々、不図した拍子に、隠し事をばらしてしまう。このせいで、何度減給を言い渡された事か・・・・・・。
「私はリックに、愛の告白をしてしまったようです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
衝撃的な彼女の言葉に、言葉を失ったリリカ。いつもの妖艶な笑みと余裕は何処へ消えたのか、無表情で絶句している。
「リックが言うには、愛の告白をした女性は、相手の男に抱かれなければならないと教わり、行為に及ぼうとしていたところを、ヘルベルトに見られただけの事です」
(あの戦闘狂、何て大嘘つきやがるんだ!?どうすんだよこれ、姉御がご立腹だ!!)
「そうかそうか。私の知らないところでそんな事を・・・・・・」
火に油を注いでしまった事を、本当に、心の底から後悔しているヘルベルトは、とにかく願った。「誰でもいい!この二人を止めてくれ!!」と。
だが、その願いが届く事はない。
「勝負しようか、メシア団長・・・・・。私のものに手を出した罪は重いよ・・・・・・」
これが、中庭での対峙へと繋がる。
「はい。あの男に時間があるのならば、鍛錬に誘おうと思いまして」
「ほう・・・・・、私の許しも得ずにかい?」
「何故、リリカ殿の許しが必要なのですか?」
「あの男は私の所有物だよ。勝手に持っていかれては困る」
一時間ほど前、参謀長執務室の扉の前では、火花を散らす二人の女性が、女の戦いを勃発させていた。彼女たちを知る誰もが、巻き込まれるのを恐れて近付こうとしない、最強対最凶の戦い。
そこに、偶然通りかかってしまったのが、ヘルベルトとロベルトである。当然巻き込まれてしまった。
「げっ、嫌な戦いが始まってやがる」
「良いところに来たね二人とも。聞いておくれよ、メシア団長が私のリックを独り占めしようとしているのさ。どう思う?」
「どうもこうもないですぜ姉御。隊長は女王のもんですぜ」
「そうだな。女王陛下だけが隊長を独占できる」
正論を述べる二人に対し、不満げな表情のリリカ。
しまったと思ったヘルベルト。このまま彼女を不機嫌にしてしまうと、後から何をされるかわからない。どうにかして、機嫌を良くして貰わなければ、ストレス解消のために、何人の犠牲者が出てしまうのか・・・・・・。
「まあまあ落ち着いて下さいよ姉御。いいじゃないですか今日くらい。メシア団長なら、間違いが起こる事もねぇですぜ」
「何を言っている、彼女だから問題なのだ。いいかい、銀髪褐色肌の美人騎士なのだよ?あの男が彼女と二人きりになって、間違いが起こらないと思うかい?」
「・・・・・・思いません」
この喧嘩の原因となっている男ならば、憧れの女性である彼女と一緒の状況で、己の性的興奮を抑えられるとは思えない。今までは何も起こらなかったが、次も大丈夫という保証はないのだ。
「あっ、そう言えば・・・・・・」
「何だい?何か知っているのかな?」
「やべっ!?いや何も知らないですぜ。この前、隊長と団長が怪しい感じになってたなんて口が裂けても------」
「・・・・・・どういう事か聞かせて貰おうか。ねぇ、メシア団長?」
この場で、しかもこの状況で、言ってはならなかった事を漏らしてしまい、慌てて口を塞いだヘルベルトであったが、もう手遅れであった。隣のロベルトが溜息をつき、激化の様相を見せた戦いに呆れる。
ヘルベルトの悪い癖であるのだが、彼は時々、不図した拍子に、隠し事をばらしてしまう。このせいで、何度減給を言い渡された事か・・・・・・。
「私はリックに、愛の告白をしてしまったようです」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
衝撃的な彼女の言葉に、言葉を失ったリリカ。いつもの妖艶な笑みと余裕は何処へ消えたのか、無表情で絶句している。
「リックが言うには、愛の告白をした女性は、相手の男に抱かれなければならないと教わり、行為に及ぼうとしていたところを、ヘルベルトに見られただけの事です」
(あの戦闘狂、何て大嘘つきやがるんだ!?どうすんだよこれ、姉御がご立腹だ!!)
「そうかそうか。私の知らないところでそんな事を・・・・・・」
火に油を注いでしまった事を、本当に、心の底から後悔しているヘルベルトは、とにかく願った。「誰でもいい!この二人を止めてくれ!!」と。
だが、その願いが届く事はない。
「勝負しようか、メシア団長・・・・・。私のものに手を出した罪は重いよ・・・・・・」
これが、中庭での対峙へと繋がる。
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