七欲の王~封印から覚めた魔王は再び神殺しを目指す~

シロサギ

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第一章 王国動乱篇

第二十話 耐性①

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 王都に存在する六大迷宮、第十階層へと向かう転移魔法陣付近。

 迫りくる狼型の魔獣を【時空断裂切り裂き】、一息吐く。

 三桁を越え、数えるのが億劫になるほどの敵を屠ってきた。ノンストップであったため、流石に体力の消耗が激しい。魔力の方も、三割程度は削れてしまっているか。魔術をなるべく温存し、殴り続けた結果がこれだ。ライラの方も半分は消費してしまった様子。


「これを何十回も行うのは、少々骨が折れるな」

「ちょっとー、ペースがー、早すぎるんですけどー」


 時間短縮のため、立ち止まっている時間は基本的に一瞬たりともなかった。

 探知を常時広く展開、敵の反応が少なければそのまま突進、同じ場所に三以上あれば先に魔術を詠唱し、最速での行動を続けていた。

 罠も当然、強引に突破してきた。

 迫りくる複数の毒矢を弾き返し、転がる巨大な岩を砕き、モンスターハウスへの転移魔法陣は【消魔パニッシュ】で無効化した。攻略とは口が裂けても言えない、悲惨なものだった。

 最初は慢心が過ぎるのでは、と思っていたが、他の六大迷宮に挑んでいるライラからのお墨付きをもらった。間違っても、このあたりで私が死ぬ可能性が万に一つもないと。
 であれば、多少手荒な真似をしても問題はない。

 倒した敵が落とした魔石だけは丁寧に回収している。使い道はたくさんあるからな。


「休むか?」

「む。その必要は――――……うー、では少しだけー」


 意地でもあったのか、そのまま次の階層へと向かおうとしたライラだったが、安全を優先したのか休む選択をした。
 実際、心許ない魔力で危険を冒す必要はない。
 ここにいれば、まあたまに敵は襲ってくるだろうが、それで消費する魔力より回復する魔力のほうが多い。


 さて、ここまでをまとめるか。


「ライラ、やはりここの敵は、私の魔術に多少なりとも耐性があるとみて間違いないな」

「だと思いますよー。多分迷宮の核の影響なんですかねー。まおーさまの魔力で出来たって言っても過言じゃないですからー」


 そう、ここに出てくる敵は全て、一般的な物理や魔術耐性に加え、私の魔術――――魔力に耐性があることが分かった。
 最初のゴーレムに私の魔術があまり効かなかったのも、そのためだ。

 しかし、私の魔力を元に生まれたライラの魔術に耐性はなかった。

 つまり、少しでも魔力波長が異なってしまえば耐性は発揮されないと。
 なんともまあ、ピンポイントな耐性だ。これでは私への対策と言っているようなものではないか。

 それに気付いてからは、一応ライラの魔術と私の物理攻撃を主体に攻めを続けていた、というわけだ。

 この先にいるであろう階層ボスでも、それは変わらないのかもしれないな。


 しばらくゆったりとした時間を過ごす。
 その間、特に敵が襲ってくるという事もなく、魔力の回復に専念することが出来た。


「さて、それじゃあ行くか」

「おっけーですー。叩きのめしますよー!」


 いざ、階層ボスへ。
 私たちは魔法陣へと足を乗せた。
 

 
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