異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

文字の大きさ
42 / 78

生け贄

しおりを挟む
ガーゴイルの事を調べ終わった後もそのまま奥へ続くようにダンジョンの各部屋を回っていると、B1Fへと続く階段を見つける事ができた。

「1Fの部屋って全部見たっけ?」
「んだ。間違いねえべ」

コロンがマップを確認しながら首を縦に振る。
時間にすると恐らくではあるが、2~3時間ほどが経過しているはずだ。
初見で打ち合わせをしながら、間にガーゴイルとの戦闘を挟み数時間で1Fの最奥まで来た。
ちょっと他のダンジョンを試したことがないので、なんとも言えないのだが、何となく物足りない気がする。
とは言っても、これからは俺たちが管理する側になるので、後からどうとでもなるのだが…
なんてことを考えながら、俺たちはB1Fへと続く階段を降りていった。

階段を降りたら先ずはコロンが地面にタッチをして周囲の様子と地図を見比べる。
確か俺の記憶だとトラップらしいものは無かったはずだが、そんな俺の知識もいまだにダンジョンの機能を全て網羅しているわけではない。
抜け穴的な物とかあると困るので、このくらいの用心は仕方がないだろう。

「んー…、あっちなんかありそうだべ…」

スキルを使用したコロンが立ち上がり、ふと一点を指差す。

「えっ…なんかって、トラップとかってこと?」
「罠の類いではなさそうだで、ただあれはいるがもなぁ?でもその手前にもなんかありそ…ん…いそうだど…」

上を指差すコロン。
恐らく彼女の言うあれと言うのは、ガーゴイルのことだろう。
確かこの階に☆1と☆2がそれぞれ1体ずついるはずだ。
なので、彼女の前半の言葉は理解できるのだが、後半部分、「ありそう」から「いそう」に言い直したところで思い出した。

「あー…そう言えばなんか3つ位、数字書いた印みたいのがあったよね。ゴブリン、お前たち以外にここに誰かいる?」

ここに来る前に見たマップではB1Fに、『もしかしたら侵入者かもしれない』と考えられる数字があった。
その数字は確か70と15と1だったはず。

「ソレハイケニエノコトデショウカ」
「生け贄…?」

今、一瞬だけだが不穏な言葉が聞こえた気がしたので、俺はとりあえずコロンが察知した場所に向かうことにした。

★☆★☆


ゴブリンとコロンの案内に従ってダンジョンのB1Fを歩いた俺たちは、とある部屋の前までたどり着く。
地図でみる限り奥から二番目にある部屋で、今までみてきた部屋に比べると扉もしっかりしていて何だか重々しい感じがする。

「ここにその生け贄ってのがいるの?」
「ハイイマス」
「多分、ここ中にもう一つと更に奥の部屋が一つあるど」

軽く扉を叩いたり扉に耳を当てたりしてみたが、中の様子は分からない。
分からないのだが、どうやらコロンにはどういった部屋になっているのかは想像できているようだ。

「とりあえず開けるね……って…」

そう言いながら俺には扉を開け中に進むと、そこには三人の女性が気絶した状態で縛られていた。

「おい、コレお前!」

とっさの出来事に思わず感情的になってしまった。

「ハイ……」
「はい、じゃねーよ!コロン、とりあえず何とかなりそうか?」
「ちょっと待っててくんろ」

いち早く俺の感情を察知してくれたようで、コロンが素早く少女のロープをほどく。
そうしたら女性が崩れ落ちないように、俺が支え先ずは三人の女性を床に寝かせる。

息があるのは確認できた。

「おい、ゴブリン。ちょっと詳しく話聞きたいからお前ちょっと隣の部屋に移動してろよ」

ゴブリンの口から生け贄なんて聞こえる言葉があっただけに、なんとなくこんな感じだろうなと言うのは想像はしていた。
想像はしていたのだが、現実に目の当たりにするとなんとも怒りの感情が押し寄せてくるものだ。
本当なら生むも言わさずにぶん殴ってやりたい気持ちはあるのだが、そうは言っても一度仲間にすると決めただけに、先ずは彼らの言い分だけでも聞いてみた方がいいのだろう。

「コロン。とりあえず俺はゴブリンに何でこんなことをしたのか聞いてくる。その間に彼女たちが目覚めたら普通の水と食料じゃなくて、カロリーのスキルで作った方をあげてくれないか?あっちは少しなら体力も回復するし、状態異常も回復するらしいから」
「ええど。まかせてくんろ」

俺はコロンに後のことを任せてゴブリンから話を聞くために隣の部屋に移動した。

「アッ…アッ…オオヨ」
「よるな」

隣の部屋に入った瞬間、ゴブリンが土下座の姿勢で俺にすり寄ってくる。
だが今の俺の精神状態は、そんなことに気にかけている余裕などない。
先ずはゴブリンの言い分の方を聞かせてほしい。

「なんでお前らあんなことしてんだよ」
「シュノホゾンノタメ」
「ん?種の保存?どういうことだ?」
「ワレワレモイキモノデス。イキルケンリトシテコヲノコサネバナリマセン」

ゴブリンの話をまとめると以下のようなものだった。
このダンジョンには、2ヶ所ほどゴブリンのコロニーが存在している。
今回仲間となったゴブリンたちは、当然だがそのダンジョンの機能であるコロニーにより定期的に召喚されたゴブリンたちだ。
本来であればダンジョンの中に俺やリンのような存在がいて、ゴブリンたちに色々と教えるというのが通常の流れなのだが、いつからかは分からないがこのダンジョンにはそういった管理する存在と言うのがいない。
となると誰も教えてくれない状況の中で、なぜ自分達が生まれたのかと言うのを彼らなりに考える必要がある。
その結果、紆余曲折の果てにあのコロニーはストーンゴブリンたちと繋がっているのだと結論に至ったそうだ。
ストーンゴブリンがコロニーを管理する存在で自分たちの父である存在。
ということは母なる存在もまた必要なわけで、母なる存在ということで人間の女性を拐い生け贄にしていたらしい。

この話を聞いたとき、「お前ら変な宗教かよ!」と突っ込みそうになったが、前にゴブリンたちは雄しかいないというのをカロリーから聞いた。
雄しかいない中で、苗床がなんとかという話を聞いたときに俺はてっきり自分達で増やす方法をとっているのだとばかり思ったのだが…
どうやらゴブリンたちの頭の中はコウノトリが運んでくると同じようなレベルだったらしい。
とりあえず変な知識は今の段階で与えたくない俺は、生け贄は今後必要ないというのだけを強めに教えることにした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

処理中です...