異世界でダンジョンと過ごすことになりました

床間信生

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下山

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レントによって連れてこられたガイアス様は、俺とゴブ、トゴブの三人を見るや否や事情をある程度察してくれたようで、俺たち三人だけを奥の別室へと通し、他の人たちの方はルカに相手をするように命じた。

「なるほどのぅ。大体の事情は掴めたわい。まー、緊急の手段というのであれば仕方がないがのぅ。今度から人数を増やす際には、事前に儂に相談するんじゃぞ。ということでこれが、二人のカードじゃ」
「申し訳ありません。次からは気を付けます」

俺はガイアス様から二枚のカードを受け取りながら頭を下げた。
受け取ったカードというのはゴブとトゴブの為に用意されたクランカードで、二人の年齢が30歳に登録されている。

危なかった…

彼らのステータスを俺の方で確認すると、彼らの年齢は3歳となっている。
俺の年齢は26。
彼らの場合、召喚すると同時に生を受けることになるとかで、この3歳という年齢で正しいらしい。
となると普通に街などでクランとしての登録を行った場合、彼らは3歳と登録される。
見た目はマッチョなおっさんでも3歳…
そうなると、色々と面倒くさくなるということで、ガイアス様が偽造してくれた。
ちなみにコロンは本人の希望で20歳で登録されているらしい。
いつの間にという気がする…

「神様なのにそんなことをしていいのか?」なんてことを一瞬、心に思ってしまったのだが、彼の言い分としてはアビリティーという能力は神の力を人類に貸しているに過ぎない。
なので使用権というのは自分達にあるので好きにしてもいいんだとか。

とまぁ騒動はあったが、なんやかんやで俺たちは昼前には無事に拠点をたち、待ちへと向かうことが出来た。

★☆★☆

拠点を出発するまでは一悶着あったが、拠点を出発してからの道のりは結構順調だったと思う。

メンバーは俺、ゴブ、トゴブ、コロン、レント、フローラ、ミンネの7人である。

最初はミンネがゴブ、トゴブの二人を警戒していたようだったが、それもホントに最初だけ。

彼女は何の訓練などもしていない普通の9歳の女の子。
いつまでも俺たちと一緒に歩くことなどできるわけがないのだ。
数時間すると疲れが見えたようで、一気に歩みが遅くなっていた。
「大丈夫か?」と聞くと一応は「大丈夫」と返事するミンネ。
だが返事をしたからと言って、一気に体力が回復するわけではなかった。
なるべく進みたいが、彼女を置いていくわけにはいかない。

何か手だてを考えようと思ったときに、トゴブが彼女を肩車すると言い出した。

それを聞いた彼女。
疲れて歩くのが嫌ということもあり、最初はしぶしぶ言うことを聞いていたようだったが、ふと気づくとトゴブと仲良く話をしていたのだ。
幸いにも一番の危険というのは、俺が踏破した
ゴブリンダンジョンくらいらしい。

それであれば別に大した問題はないだろうと思ったので、そのままにしていたところ、一気にみんなの雰囲気が明るくなった。

一瞬だけ
ミンネが肩車してもらっている大きな男は実はね…
なんてことを心に思ってしまったりもしたが、もちろんそんなことを実際に言うわけにはいかない。

みんな仲良く俺たちは街までの旅路を楽しんだ。

ちなみにこの山、下山してみて分かったのだが、なかなか厳しい山である。

というのも山を降りきる際に途中で一泊、麓で一泊と下山するだけでも丸二日かかってしまった。
もしかすると俺たちが小さい子も含めているので、移動が遅いというのもあるのだろうが、それにしても結構な厳しさではないかと思う。

俺の人生の中では小学校の遠足以来の山登り。
終始余裕の表情を保っていたが、実は俺もメチャクチャキツかった…

★☆★☆

麓で一泊した日の夕方

「あー。みなさん、あれです!見えますか?」

フローラが指を差しながら大きな声をあげる。
それに従い顔を向け若干だけ目を細めると、肉眼ギリギリ遠くに何やら長い壁の様なものが見えた。

「あれは…壁ですか?」
「はい。あそこから先がガーネット領になります」

そういえば前にこの辺りの事情を聞いたとき、ベンケーの被害に、困った領主が山の周りを壁でおおったみたいなことを言っていたので、恐らくはあれがその壁ということなのだろう。

「なるほど。ということは、どこかに入り口というか受付みたいな場所ってあるんですか?」
「はい。確か…あの辺に関所があったはずです」

そう言いながら彼女が指を差した先では、遠くでハッキリとは判別しにくいが馬?のような動物が見えるのと、人が複数人いるのが確認できた。

「あー…確かに人や乗り物があそこから入っていくのが見えますね」
「あれは恐らく荷車ですね。なんの使役動物かは分かりませんけど」
「荷車ですか…?」

思わず声のトーンが1トーン下がる。

あー…
小屋の様子やミンネやレントたちの話や様子などから薄々はそうじゃないかとは思っていたのですが…

どうやら自動車とかは走っているような世界ではないようですね。

「どうしました?」
「あっ…いえいえ。さっきの動物って馬ですか?」
「馬というか…恐らくペダソスか何かだと思うんですけど?」

おっ?
先ほど一瞬、馬のように見えた動物。
やんわりとだが、否定されたということであればどうやら馬ではないようだ。

文明期待値は下がってしまったが、その代わりにファンタジーへの期待はしていいのかもしれない。
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