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7.羨ましがられた

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「そういえばエンドレスって遭遇できる階層に制限があったりする?」
「どうかしら。でも10層以下で遭遇したことは無いわね」
「最初のボス倒す前に遭遇しても困るけどな。特に初級」
「そりゃそうだ。迷宮ド素人がエンドレスなんてシャレにもならん」
たしかにそれは嫌かもしれない

「何にしてもシアは5人の中でも1番の規格外だったってことね」
「何でだよ?それならルークとシャノンも一緒だって」
「え~僕たちはエンドレスなんて遭遇しなかったけど?」
「そうよ。シアと組んでからだもん」
「それはそうかもしれないけど…変わんないよな?母さん」
俺は唯一味方をしてくれそうな母さんを見る

「そうね…下の4人とシアはちょっと違うかもしれないわね」
「へ?」
まさかの俺だけ違う発言

「下の4人は私やレイの血を引いてるからで説明がつくけど、シアはちょっと特殊でしょう?」
「特殊?どこが?」
「前世の記憶」
「あ…」
確かにそれは下の4人達と決定的に違う点だ

「そう言えば前世持ちも何らかの補正がかかるっていうな」
「え?」
「サラサは間違いなく特殊だけどな。そのせいで俺まで意味不明な体験してるくらいだし。下の4人のスキルは生まれつき持ってたものか祝福で得たものだ」
「それは俺も一緒じゃん」
「違うわよ」
「え?」
「シアの念動力だけはそのどちらでもないもの」
「まじ?」
それは流石に知らなかった
物心つく前から使ってたからてっきり生まれ持ったものだと思ってたし…

「ある日突然使えるようになったのよ。同時にステータスに表示されるようになったから、何かのトリガーがあったのかもしれないけど、それ自体が普通じゃないから」
サラッと告げる母さんの言葉が左から右に抜けていく

「その上達も早かった。まぁその辺はサラサの血を引いてるからとは思ったが」
「良かったじゃんシア。立派な規格外」
「ヘンリー?」
「でもエンドレスに遭遇するって補正なら俺も欲しいな」
「ヘンリーの言う通りよね。同ランクの討伐数450でも探すのと寄ってくるのじゃけた違いだもん」
「シャノン達はシアと行けるからいいじゃん。俺なんてまだEランクなんだぞ?」
「ヘンリー、お前は比べる相手を間違うなよ?」
「けど…」
「同じ年でもシャノンとルークは別だ。勿論1つ上のシアもな」
「…」
アランさんの言葉にヘンリーだけでなく俺たちまで黙り込む

「成人前でEランクになってる時点で普通は凄いことだからな?」
「そうよヘンリー。マリクやリアムも似たようなものだったでしょ」
「そうだけど…」
「ヘンリーはある意味災難だな。一番身近なのがこの3人だ。そりゃ凹みもするだろう」
「5人の中でもスカイとケインはそこまで規格外な感じはないのにね」
ナターシャさんがしみじみと言う

「それはカーロも言ってたじゃん。サラサの魔力の割合の問題だろ」
「スカイとケインは半々だったか」
「シア9割、ルークとシャノンは7割。レイ自身俺達よりずば抜けてるからな」
「ごめんねヘンリー。お母さん魔力ほとんどないのよね」
メリッサさんがヘンリーを抱きしめる

「うわっ…母さんやめてよ。僕そんなつもりで言ったんじゃないし…!」
皆の前でそんなことされたヘンリーはたじたじになっている
それを見て皆が笑い出す

「シアはエンドレスに遭遇できるのを当たり前と思わないようにしないとね」
「あんま実感ないけど気を付ける」
“羨ましい”は“妬み”に変わることが多い
それは小さい頃から散々実感してきたことだ
余計なトラブルは避けたい俺は素直に従うことにした
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