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22.令嬢達の処罰

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「シア、君には不快な思いをさせて申し訳なかったね。お詫びと言っては何だが個人的に贈り物をさせてもらいたい」
「贈り物って、俺は別に…」
「君達は旅に出ると聞いた。行く先々で今回のような面倒ごとに遭遇するかもしれないだろう?」
「それは…」
無いことを願いたいけど、俺の意思でどうこうできる問題でもない

「だからこれを君に渡しておこうと思ってね」
そう言って手渡されたのは短剣だった

「この紋章って…」
短剣にはコーラルさんの襟元にある襟章の家紋だけではなく、この国の王家の紋章まで刻まれていた

「我が家は爵位こそ伯爵だが数代置きに王家から嫁を取る家系でね」
「この書面は我が家から正当に授けたという証だ。勿論偽造は出来ない。今回の様に何かあった時は遠慮なく使うといい」
「…こんなの渡していいのかよ?」
「レイとサラサの血を引き、弾丸に守り育てられた君が悪用するとは思いませんよ」
俺の思考を読んだのか先に言われてしまった

「相変わらずあんたは想定外の事をするな」
カルムさんがため息交じりに言った

「弾丸にはお世話になっていますからね。これで少しでも怒りを鎮めて貰えれば安いものだ」
あけすけな物言いに父さんたちも苦笑する
この人だから後ろ盾になることを受け入れたのだと嫌でもわかる

「あぁ、旅の途中の愚か者の密告も大歓迎だよ?勿論相応の報酬も用意させてもらう。何なら君達の後ろ盾も大歓迎だ」
「…」
「今回の関係者の最終的な処遇は後日報告させてもらう。とりあえず今日はこのままその粗大ゴミを持って帰るよ」
元とはいえ貴族令嬢を粗大ゴミ
まぁ反論する気もないけど
コーラルさんは相変わらず黒い笑みを見せてから帰って行った


「…何か疲れた」
「そうだな。まぁお前が無事で良かった」
「シャノンの件とも関係してるとは思わなかったけどね」
「シアはマリクみたいに特定の彼女とっとと作った方がいいんじゃないか?」
「…今回ので余計嫌になったんだけど?」
マジで女に関わるの自体が億劫だ
自分に向けられる好意がおぞましい

「今回のは特殊だと思うが…そう簡単に割り切れるものでもないか」
「そもそも話したこともない人間に好きだとか言われても意味わかんないし」
「それは分からんでもないけどな…お前にも俺にとってのサラサのような存在ができる事を願うよ」
父さんにとっての母さん
人間不信で感情を無くしてた父さんに感情を取り戻させた存在か…

「…何にしても当分は一人でいいよ。旅もあるしね」
俺の言葉に皆が苦笑するのを見なかったことにした

散々疲れて帰った俺は、商会で購入した紙を手にして大はしゃぎするケインに癒された
シャノンはお金が返ってくると知って大泣きした
碌な一日じゃなかったけど進展のなかった問題が解決したのが唯一の救いだった
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