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27.踏破
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「…やった?」
「終わった…」
「やったー!!」
順にルーク、俺、シャノンの言葉だ
ここは中級迷宮の50階層
俺達はたった今念願の踏破を果たした
目の前にはたてがみや尻尾、肉、魔石なんかが転がっている
ここのボスであるケルベロス2体分のドロップ品だ
「ルーク、シャノン」
「「ん?」」
「ありがとな」
それは自然と口から出た心からの気持ちだった
今回のことがあるまでソロでやってきた俺にとって、こいつらがいてくれることがどれだけ有り難い事か身に染みていた
「お前たちがいてくれてよかった」
「シア…」
「私もシアがお兄ちゃんで良かった」
シャノンはそう言って背後から飛びついてくる
「僕も、シアの弟で良かったって思うよ」
「ルーク」
「まさか予定通りに踏破できるなんて思ってなかった。あと数か月はかかるんじゃないかって最初は思ってたんだけどなぁ」
「それは俺も思ってたよ。希望ではあったけど」
「そうなの?」
「実際エンドレスがなかったら無理だったと思うしな」
「「あ~」」
2人は間の抜けた声を出す
「確かにエンドレスのお陰だよね」
「間違いない。あれがなきゃ僕たちのランクアップもまだだったかも」
「勿論俺のランクアップもな」
訳の分からない称号ではあるけど、確実に役に立つ称号ではある
きっと上を目指す冒険者なら誰もが欲しいと思うだろう称号
”エンドレスの申し子”
「よし、今日は報告も兼ねて終わりにするか」
「うん」
「賛成」
すぐに同意した2人と共にドロップ品を回収して迷宮を出る
「今週はこのまま46階層開始のボス部屋でエンドレス?」
「それが一番いいと思ってるけどBの討伐稼ぐならその手前でもいいぞ?」
「僕はボス部屋がいいな。1体でも4か所から同時に攻撃されるなんてそうそうないし」
「私もそれでいいよ。来月のボス巡りもあるしケルベロスには慣れときたい」
「なら決まりだな。俺も母さんみたいに色々試してみるかな?」
「そういえばお母さん、全属性試したんだっけ?」
「そんなこと言ってたなぁ…あれを相手によくそんな余裕あったよね?」
ルークはさっき倒したばかりのケルベロスを思い浮かべながら言ってる感じだな
「まぁ、母さんだし」
何となくその一言で充分すぎる気がした
その日の晩、急遽踏破祝いのパーティーが開かれた
マリクとリルさんのパーティーメンバーに、マリクの彼女であるローラとその父親であるギルマスまでいる
大人数だからお約束のバーベキューなのはいいんだけどさ…
「なんでコーラルさんまで?」
平民しかいないこの場に護衛を連れた場違いな人がいた
「ギルドマスターと打ち合わせをしていたところにローラから話を聞いたものでね」
「シア、そいつはサラサの料理が好きなだけだ。害はないから諦めろ」
仮にも後ろ盾の貴族に対して“害”って…
カルムさんのそんな物言いにもコーラルさんもその護衛も一切動じない
むしろその気安さを喜んでいるようにも見える
これが弾丸とコーラルさんの通常運転なのだと理解した
いや、本当にそれでいいのかって疑問は消えないけどな
「終わった…」
「やったー!!」
順にルーク、俺、シャノンの言葉だ
ここは中級迷宮の50階層
俺達はたった今念願の踏破を果たした
目の前にはたてがみや尻尾、肉、魔石なんかが転がっている
ここのボスであるケルベロス2体分のドロップ品だ
「ルーク、シャノン」
「「ん?」」
「ありがとな」
それは自然と口から出た心からの気持ちだった
今回のことがあるまでソロでやってきた俺にとって、こいつらがいてくれることがどれだけ有り難い事か身に染みていた
「お前たちがいてくれてよかった」
「シア…」
「私もシアがお兄ちゃんで良かった」
シャノンはそう言って背後から飛びついてくる
「僕も、シアの弟で良かったって思うよ」
「ルーク」
「まさか予定通りに踏破できるなんて思ってなかった。あと数か月はかかるんじゃないかって最初は思ってたんだけどなぁ」
「それは俺も思ってたよ。希望ではあったけど」
「そうなの?」
「実際エンドレスがなかったら無理だったと思うしな」
「「あ~」」
2人は間の抜けた声を出す
「確かにエンドレスのお陰だよね」
「間違いない。あれがなきゃ僕たちのランクアップもまだだったかも」
「勿論俺のランクアップもな」
訳の分からない称号ではあるけど、確実に役に立つ称号ではある
きっと上を目指す冒険者なら誰もが欲しいと思うだろう称号
”エンドレスの申し子”
「よし、今日は報告も兼ねて終わりにするか」
「うん」
「賛成」
すぐに同意した2人と共にドロップ品を回収して迷宮を出る
「今週はこのまま46階層開始のボス部屋でエンドレス?」
「それが一番いいと思ってるけどBの討伐稼ぐならその手前でもいいぞ?」
「僕はボス部屋がいいな。1体でも4か所から同時に攻撃されるなんてそうそうないし」
「私もそれでいいよ。来月のボス巡りもあるしケルベロスには慣れときたい」
「なら決まりだな。俺も母さんみたいに色々試してみるかな?」
「そういえばお母さん、全属性試したんだっけ?」
「そんなこと言ってたなぁ…あれを相手によくそんな余裕あったよね?」
ルークはさっき倒したばかりのケルベロスを思い浮かべながら言ってる感じだな
「まぁ、母さんだし」
何となくその一言で充分すぎる気がした
その日の晩、急遽踏破祝いのパーティーが開かれた
マリクとリルさんのパーティーメンバーに、マリクの彼女であるローラとその父親であるギルマスまでいる
大人数だからお約束のバーベキューなのはいいんだけどさ…
「なんでコーラルさんまで?」
平民しかいないこの場に護衛を連れた場違いな人がいた
「ギルドマスターと打ち合わせをしていたところにローラから話を聞いたものでね」
「シア、そいつはサラサの料理が好きなだけだ。害はないから諦めろ」
仮にも後ろ盾の貴族に対して“害”って…
カルムさんのそんな物言いにもコーラルさんもその護衛も一切動じない
むしろその気安さを喜んでいるようにも見える
これが弾丸とコーラルさんの通常運転なのだと理解した
いや、本当にそれでいいのかって疑問は消えないけどな
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