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36.屈辱

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「だから何?僕たちはおそらく罠で傷を負った魔物に襲われそうになっていた子供を助けました。泣き続けるその子をあの場所から一番近いこの集落に連れてくる途中で突然捉えられたんだ」
「そうよ。そもそもあなた達が子供から目を離したのが悪いんでしょう?それなのにこんな扱いされるなんてあんまりだわ」
男の態度にルークとシャノンも怒りに任せて叫ぶ

「俺達にはこの3日間水も食料も提供されなかった。マジックバッグを持ってなければ衰弱してただろうな」
「何…だと?」
「牢番がいたのにそんなはずは…」
「あんたたちが信じないのは勝手だけど、ないと言えるのか?誰も牢に入ってこなかったのに?」
「それは…」
「事実の確認をする者も様子を見る者も訪れない。あんたたちがやってるのは殺人と変わらない」
「そんなものと一緒にするな!俺達は何も悪いことはしていない」
「初っ端にあの牢番の男は水差しを壁に投げつけた。その事を知ってる者は?」
「…」
「いるわけがないよな?誰も来なかったんだから。無実の人間を牢に放り込んで、自分たちは正義の行いをしたとそう勘違いしてただけじゃないか」
その場に居た全ての者が黙り込む

「子どもが失踪して混乱するのは分かる。でも話も聞かずに罪人として捉えて3日放置って異常だろ?しかも冤罪だとわかって牢から出されるときも、謝罪の一つもなく引っ張り出された。人助けしてこんな屈辱を味わうなんて思わなかったよ」
皮肉交じりに吐き捨てる

「これで体調が悪くなってたりしたらどう責任取るつもりだったの?私達無実なのに」
「だから謝ってるじゃないか!」
「そうよ!こっちが下手に出たらいい気になって…」
「やめないか!」
ざわめきを止めたのは長だった

「この者達が申し訳ない」
「長!」
「何の謝罪かわかったもんじゃないな。あんたたちがしたことは謝って済むことなのか?」
「何?」
「あんたの子供が俺達と同じ扱いされても簡単に許せるのか?…あんたたちみたいな態度で謝られても許すのか?」
「!」
「言ってることも聞いてもらえず、無実のまま飲む物も食べる物も与えられなくても?」
「“だから謝ってるじゃないか!”って言われて気分が晴れるの?」
シャノンは言いながら涙をこぼした
ずっとこらえてたのに流石に我慢できなくなったらしい
それを見て言い返してくる者はいなかった

「彼らの言うことは正しい。彼らは息子を救ってくれた。そのお礼を伝えるどころか彼らの言葉を疑いうわべだけの謝罪をしていたお前たちに非があるのは明らかだ。彼女の言葉に言い返せなくなったのが何よりの証拠ではないか」
長の言葉に反論してきた者達がバツの悪そうな顔をした

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