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42.復活?

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翌朝、いつになくスッキリ目が覚めた
「体が軽い…?」
昨日の重さが嘘のように消えていた

『しあぁ』
リトスがムニャムニャと聞こえてきそうな状態ですり寄ってくる

「おはようリトス」
『おぁよぉ…』
手のひらに乗せてやるといつものように指に吸い付いた
そう言えば俺の魔力で生命維持って…これで魔力取り込んでる、とかじゃないよな?
と、思いながらも何となくあり得そうな状態に何とも言えない何かが沸き上がる
別にリトスに魔力をやるのはいいけど指から吸うのはいかがなものか

「リトス、俺の指は上手いのか?」
『しあのまりょく、おいしぃ』
「…そうか。そうやって吸わないと取り込めないのか?」
『わかんない。でもこれすき。だめ?』
今にも涙が溢れ出しそうな目で見られてダメとは言えないよなぁ…

「うん。まぁ…リトスの好きにしろ」
『わぁい。しあ、だいすき』
幼いシャノンをこれでもかと言う程甘やかしていた父さんたちの気持ちが、この状況になって初めて理解できたかもしれない
そんなことを思いながら体を起こしてテントから出る

「食糧調達でもしに行くか」
テーブルにメモを残して洞窟を出ると眩しいくらいの日差しが差し込んで来た

『しあ、あそこ』
リトスの指した方を見ると果実があった

「ブルーチェリーか。相変わらず良く見つけるな」
褒める様に頭をなでてから少し先の木になっているブルーチェリーを収穫していく

『たべる』
リトスは俺の肩から飛び上がり少し上になっていたブルーチェリーを器用に採ると、再び肩に戻ってきた
ブルーチェリーは直径2センチほどの青い実で味はサクランボに似ている
実の成り方はブルーベリーに近くて普通のサクランボみたいに2股になってるわけじゃない
チェリーという名がなぜ付いたのか不思議なくらいだ
種もなく皮ごと食べられるし何よりジューシー
甘みもあって旅の途中にはとてもありがたい
そのブルーチェリーをリトスが4本の足でしっかり掴みかぶり付く姿は何度見ても飽きない
だって5cmの体で2cmの果実を抱え込んでかじってるんだぞ?
しかも食べ終えたらストック分を自ら採って袋に押し込んでるんだぞ?
可愛くないわけがない
そんなリトスの姿に癒されながら食べ頃の実を採ってはインベントリに入れていく

『むこう、なにかいる』
距離的にルークたちの気配察知ではかからないあたりかな?

「ちょうどいい」
俺はリトスをポケットに入れて走り出す

「なんか体が軽いな」
旅に出る前よりはるかに軽くなった気がする

「グリーンバードか」
掴んだ魔物の気配に向かって走ると体調50cm程の鳥が2羽
風魔法で仕留めて血抜きをしてからインベントリに入れる

「番ということは…」
周辺を見渡すと木の枝の上に巣があった
中を確認すると卵が6つ
鑑定するとどれも生んでから10日以内だった

この世界の魔物の卵は温めていても生まれてから20日くらいまでは普通に食べることが出来る
グリーンバードの卵は直径10cm程の球形でそれなりの重さがある
これ1つで普通の鶏の卵4~5個分くらいの量になる
俺達は朝ごはんでもこれを1人1つ軽く平らげる
旅の途中で卵を入手する機会は少ないからあいつらも喜ぶだろう
鶏肉と卵とブルーチェリー
「朝ごはんには充分だな」
心配かけたお詫びという訳でもないけど、気休めくらいにはなるかな
そんな事を考えながら卵をインベントリに入れた
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