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84.お土産披露

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旅から帰ってきた翌日、再び皆に集まってもらっていた
「一体何が始まるのかしら?」
母さんは何となく察しているだろうにそう聞いてくる
そしてその言葉にチビ達の期待に満ちた目がこっちに向けられる
相変わらず母さんのそういう煽り方は健在ってことか…

「みんなへのお土産がいっぱいあるんだ」
「殆どセトイカの物なんだけどね」
俺が言うとシャノンが横から口を出す
道中は基本魔物しかいないから土産にするような物はあまりない
ポイズンベアの素材やファシスネーションフラワーみたいに、レア素材と言われる物はいくつかあるけど、それは土産とはちょっと違う位置づけな気もする

それに素材に関してはコーラルさんに先にみせようってことで俺達の中で決めている
面倒ごとを押し付けてるからその見返りだな
実際この旅の中でかなり動いてもらったり頼りにさせてもらったから

「これは多分母さんが一番喜ぶと思うんだけど…」
「私?」
母さんがキョトンとした顔をする
30代半ばなのに可愛く見えるから不思議だ
まさか自分の名前が上がると思ってなかったって感じが母さんらしい
とは言っても母さん経由でみんなの元に行くのは確実なんだけど
ってか母さんを経由しないと無理か?

「魔物じゃない魚介類」
俺はそう言いながら順に取り出していく
それを見るたび母さんの顔が嬉しそうに見えるから間違ってはいなかったらしい

「何だコレ?クラーケンみたいだけど随分小さいな?」
「イカだよ。生でも煮てもいいし、焼いても揚げてもいける。まぁイカに限らず大抵のものがそうなんだけどさ」
簡単に説明しながら次々と取り出す
それを順に母さんが自分のインベントリにしまっていくのが何故か笑えるんだけどな

「魔物はお刺身で食べれるのが少ないから嬉しいわ」
「食べれなくはないけど癖が強すぎるもんな」
母さんと一緒にかなりの種類をためしたけど美味しいと思えたのは1割もなかった
逆に生で食えるのは火を通すとまずくなるから不思議だ

「それにしてもセトイカは随分種類が豊富なのね?お料理のし甲斐があるわ」
母さんの悪戯を思いついたときのような笑顔を久々に見た気がする
もっとも帰ってきたのが1年ぶりだし当然と言えば当然だけど

「一応それで全種類。量はその10倍ストックしてるから後で母さんに渡すよ。今出したのは皆にも見てもらいたかっただけだからさ」
「あら、それなら当分楽しめるわね」
「その料理は俺達が来てる時にしてくれよ?」
「それは僕も切に願うよ」
マリクの言葉にバルドさんが乗っかった
その横でリアムが激しく首を縦に振っている
まぁ気持ちは分かるけど

「マリクもリアムももっと頻繁に帰ってくればいいだけじゃないの?」
「スージー…それだと自立したと言えなくなっちまうよ」
リアムが苦笑しながら言う
2人は養子だからか俺達より自立心は強い
“いつか恩返しする”それが口癖だから
何にしても皆が喜んでくれてホッとした
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