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89.思わぬ繋がり
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「シアに報告すべき点はここからだ」
「へ?」
事件に伴いあの花畑が自然発生ではなく、意図的に作られたものだったという報告だと思ったら違ったらしい
「彼女たちの相手の中にイカロス・ミュラーリア・サブマリンの名前があった」
「ミュラーリア・サブマリン…」
俺の心臓が激しく脈打つのが分かる
その名を忘れるはずがない
シャノンを賭博に引き込み俺を取り込もうとした元貴族の女、エリザベス・ミュラーリア・サブマリンの家名と同じだからだ
もっともエリザベスは父親を含め一族もろとも処罰を受けてるはずだけど
「ご想像の通りエリザベスの父親だ。あの時の”媚薬”の入手元が今回ようやく判明した」
どれだけ探してもそれだけは突き止められなかったと聞いている
国内では媚薬は禁制扱いだから他国にまで調査を広げても入手ルートがわからなかった
でもあれが”媚薬もどき”であるなら筋は通る
「…まぁ違法と分かってる以上双方証拠は残さない…か」
「互いの名を明かせない魔法契約を交わしてたようだ。イカロスは道連れにしたくても叶わなかったんだろう」
「魔法契約交わしてたのによくわかったな?」
「彼女たちに関わる売り上げは娼館の売り上げと同様の扱いになっていた。その顧客リストがそのまま媚薬に関する顧客リストだったようだな」
「…ばか?」
魔法契約まで交わしてるのに顧客リストを作る意味が分からない
「貴族の間で個人的に娼館を営む者はそれなりにいる。届けを出すこと、顧客リストを調査員に見せること、この2点さえ守ればそれ以上の調査が入る事もないし愛人も囲いやすい」
「なんで?」
「普通に愛人を囲おうと思ったら衣食住を私財から支払う必要があるだろう?」
「あー娼館に置けば娼婦の稼いだ金で衣食住を確保するってことか…」
「正解。だから娼館としての運営がされてなくても届け出されている娼館は沢山あるということだ」
「つまり貴族では愛人を囲うのが当たり前ってことか。そんなせこい事するくらいなら愛人なんて囲うなよ」
俺が呆れたように言うとコーラルさんは豪快に笑い出した
「実にいい反応だね。そういう考え方の出来るシアの相手は幸せ者だろう。そう思わないかレティシアナ」
「…はい」
突然話を振られたレティは困惑しながらも頷いた
なんでみんなレティに同意を求めるかな…
しかもその返事を聞いた後に俺を見るのはやめてくれ
「まぁ、何にしても気になってた事件まで解決できたのは御の字だ。シアに関しては自ら鉄槌を下したも同然だ」
「鉄槌って…」
大げさだろ
「でもあの時の”媚薬”が”媚薬もどき”だったのなら、下手したらシアが令嬢達の様になった可能性もあったってことよね?」
「シアがそう簡単に取り込まれるとは思わないが可能性としてはそうなるな」
「…父さんも母さんもぞっとするからそう言う想像はやめてくれよ」
俺がため息交じりに言うと皆が笑い出した
「へ?」
事件に伴いあの花畑が自然発生ではなく、意図的に作られたものだったという報告だと思ったら違ったらしい
「彼女たちの相手の中にイカロス・ミュラーリア・サブマリンの名前があった」
「ミュラーリア・サブマリン…」
俺の心臓が激しく脈打つのが分かる
その名を忘れるはずがない
シャノンを賭博に引き込み俺を取り込もうとした元貴族の女、エリザベス・ミュラーリア・サブマリンの家名と同じだからだ
もっともエリザベスは父親を含め一族もろとも処罰を受けてるはずだけど
「ご想像の通りエリザベスの父親だ。あの時の”媚薬”の入手元が今回ようやく判明した」
どれだけ探してもそれだけは突き止められなかったと聞いている
国内では媚薬は禁制扱いだから他国にまで調査を広げても入手ルートがわからなかった
でもあれが”媚薬もどき”であるなら筋は通る
「…まぁ違法と分かってる以上双方証拠は残さない…か」
「互いの名を明かせない魔法契約を交わしてたようだ。イカロスは道連れにしたくても叶わなかったんだろう」
「魔法契約交わしてたのによくわかったな?」
「彼女たちに関わる売り上げは娼館の売り上げと同様の扱いになっていた。その顧客リストがそのまま媚薬に関する顧客リストだったようだな」
「…ばか?」
魔法契約まで交わしてるのに顧客リストを作る意味が分からない
「貴族の間で個人的に娼館を営む者はそれなりにいる。届けを出すこと、顧客リストを調査員に見せること、この2点さえ守ればそれ以上の調査が入る事もないし愛人も囲いやすい」
「なんで?」
「普通に愛人を囲おうと思ったら衣食住を私財から支払う必要があるだろう?」
「あー娼館に置けば娼婦の稼いだ金で衣食住を確保するってことか…」
「正解。だから娼館としての運営がされてなくても届け出されている娼館は沢山あるということだ」
「つまり貴族では愛人を囲うのが当たり前ってことか。そんなせこい事するくらいなら愛人なんて囲うなよ」
俺が呆れたように言うとコーラルさんは豪快に笑い出した
「実にいい反応だね。そういう考え方の出来るシアの相手は幸せ者だろう。そう思わないかレティシアナ」
「…はい」
突然話を振られたレティは困惑しながらも頷いた
なんでみんなレティに同意を求めるかな…
しかもその返事を聞いた後に俺を見るのはやめてくれ
「まぁ、何にしても気になってた事件まで解決できたのは御の字だ。シアに関しては自ら鉄槌を下したも同然だ」
「鉄槌って…」
大げさだろ
「でもあの時の”媚薬”が”媚薬もどき”だったのなら、下手したらシアが令嬢達の様になった可能性もあったってことよね?」
「シアがそう簡単に取り込まれるとは思わないが可能性としてはそうなるな」
「…父さんも母さんもぞっとするからそう言う想像はやめてくれよ」
俺がため息交じりに言うと皆が笑い出した
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