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90.レティへの報告
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「これはレティシアナへの慰謝料になる」
そう言って取り出したのは白金貨の入った袋
「白金貨67枚だ。通常どこかにとらわれて時間を奪われた際の補償が1月あたり20万G、それが5年で1,200万Gだが、子供はその半額になる」
最後の7か月だけ大人価格ってことか
俺のなかで”たったそれだけなのか”と怒りが沸き上がる
いっそエルゲスの持ってた資産すべてを被害者で山分けするくらいの気概はみせて欲しい
「それが国が定めた”平民の命の額”ってこと?」
俺が尋ねるとコーラルさんは申し訳なさそうに頷いた
おそらくレティが貴族だったらその額はもっと大きくなるだろう
平民の命は貴族と比べるのが馬鹿らしくなるほど軽い
それを考えれば補償があるだけでも感謝すべきなのかもしれない
でも、額の問題以前に奪われた時間も傷付いた心も金で取り戻せるものじゃない
「もちろんこんなもので時間が戻ってくるわけじゃないがな…」
俺の心を読み取ったかのようにコーラルさんはつぶやいた
「それでも…あの人にこの先狙われることがないと分かっただけでもありがたいです」
そう言ったレティの目には涙が溜っていた
油断して捕まったとはいえ狙われていること自体が恐怖となるのは事実だ
その相手がどういう人物か分かってるだけにレティの抱えていた恐怖は計り知れない
「獣人の子たちはどうなるの?」
「彼らは彼らのいた集落に送り届けた。突然さらわれてからずっと探していたようだ」
「当然よね…」
「きちんといるべき場所に帰してやれてよかったよ」
その言葉には実感がこもってるように感じた
「もう一つ、エルゲスの交友関係を洗って行くことで、レティシアナのような希少種を狙う者にたどり着けることが分かった。今はさらにその先の交友関係を洗っているところだ」
「じゃぁハーフだとしてもレティシアナは同じ種族の人と会えるかもしれないのね」
会えるってことは同じように囚われてるってことだから素直に喜べない気もするけどな…
「念のため龍神族が見つかれば報告が来るようになってはいるんだ。レティシアナが会うかどうかは君次第だがね」
「私次第…」
「もちろん強制じゃない。だが種族の者にしかわからない話もあるかもしれないからね。幼いころから孤立しているせいで、君が困ることがあればその時に連絡を取れるなら少しは安心できるだろう?」
「…ありがとう…ございます」
レティはそう言って座ったままだけど深く頭を下げた
「私からの報告は以上だ」
そう言ったコーラルさんはこの後父さんから色んな魔物の話を聞きだし始めた
どこまで言ってもぶれない人だと思いながら俺はレティと一緒にリトスを迎えに行くことにした
そう言って取り出したのは白金貨の入った袋
「白金貨67枚だ。通常どこかにとらわれて時間を奪われた際の補償が1月あたり20万G、それが5年で1,200万Gだが、子供はその半額になる」
最後の7か月だけ大人価格ってことか
俺のなかで”たったそれだけなのか”と怒りが沸き上がる
いっそエルゲスの持ってた資産すべてを被害者で山分けするくらいの気概はみせて欲しい
「それが国が定めた”平民の命の額”ってこと?」
俺が尋ねるとコーラルさんは申し訳なさそうに頷いた
おそらくレティが貴族だったらその額はもっと大きくなるだろう
平民の命は貴族と比べるのが馬鹿らしくなるほど軽い
それを考えれば補償があるだけでも感謝すべきなのかもしれない
でも、額の問題以前に奪われた時間も傷付いた心も金で取り戻せるものじゃない
「もちろんこんなもので時間が戻ってくるわけじゃないがな…」
俺の心を読み取ったかのようにコーラルさんはつぶやいた
「それでも…あの人にこの先狙われることがないと分かっただけでもありがたいです」
そう言ったレティの目には涙が溜っていた
油断して捕まったとはいえ狙われていること自体が恐怖となるのは事実だ
その相手がどういう人物か分かってるだけにレティの抱えていた恐怖は計り知れない
「獣人の子たちはどうなるの?」
「彼らは彼らのいた集落に送り届けた。突然さらわれてからずっと探していたようだ」
「当然よね…」
「きちんといるべき場所に帰してやれてよかったよ」
その言葉には実感がこもってるように感じた
「もう一つ、エルゲスの交友関係を洗って行くことで、レティシアナのような希少種を狙う者にたどり着けることが分かった。今はさらにその先の交友関係を洗っているところだ」
「じゃぁハーフだとしてもレティシアナは同じ種族の人と会えるかもしれないのね」
会えるってことは同じように囚われてるってことだから素直に喜べない気もするけどな…
「念のため龍神族が見つかれば報告が来るようになってはいるんだ。レティシアナが会うかどうかは君次第だがね」
「私次第…」
「もちろん強制じゃない。だが種族の者にしかわからない話もあるかもしれないからね。幼いころから孤立しているせいで、君が困ることがあればその時に連絡を取れるなら少しは安心できるだろう?」
「…ありがとう…ございます」
レティはそう言って座ったままだけど深く頭を下げた
「私からの報告は以上だ」
そう言ったコーラルさんはこの後父さんから色んな魔物の話を聞きだし始めた
どこまで言ってもぶれない人だと思いながら俺はレティと一緒にリトスを迎えに行くことにした
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